写真上　翡翠鉱山風景　
2010年7月上旬撮影　すでに雨期に入っており、一部を除いて翡翠採掘は行われていない



翡翠鉱山のあるカチン州の現況を政府及びカチン独立軍双方に偏ることなくルポした内容で
わかりやすく翡翠に関心のある方にはきっと参考になると思いまして載せさせていただきました。


ルポ　ミャンマー民主化

ミャンマーは翡翠の一大産地として知られる。
世界市場をほぼ独占し、鉱山の大半は北部のカチン州にある。
　
カチン州では国軍とカチン族の武装組織「カチン独立軍（KIA)」が激しい攻防戦を繰り広げている。
ミッチーナへの途上、翡翠の集積地、旧都マンダレーの市場で最高品質「インペリアルジェイド」
に触れた。

やや黄味を帯びた緑。濃くもなく薄くもない。透明でも不透明でもない。
透明さや輝きを至高とする一般の宝石にはない価値を知った。

仲買業者の一人は、「翡翠の行きつく先はほとんど中国人です。といった。
カチン州は中国と国境を接する。

中国人は古来、翡翠に不老不死や再生の力があると信じ、金やほかの宝石以上に珍重してきた。
「地上と天国を結ぶ神聖な石」ともされる。



中国人は元々、本物を知らずにいたが、１８世紀にミャンマーから高品質の翡翠がもたらされ、
歴代の皇帝や皇后を魅了した。「インペリアル」の名が冠せられた由来だという。

ミャンマーでの翡翠生産は年間数万トン、ミャンマー人が翡翠を商売の対象としか見ない中で
中国人を抜きにこの国の翡翠産業は立ち行かないのだ。

ミャンマー北部カチン州の州都ミッチーナで「翡翠学校」を営むウークー氏の拠点はパカン鉱山だ。
質、量ともに他を圧倒する世界最大規模。だが、「今は、戦闘が激しくて戻れないんです」と漏らす。

国軍とカチン独立軍KIAの内戦が昨年６月に再開して以降、パカンは攻防戦の主舞台の一つだ。
パカン鉱山はもともとはカチン独立軍が支配し、翡翠利権は武装闘争の重要な資金源になっていた。

だが、９４年の停戦合意で権益は政府の手に移る。
当時、停戦の見返りとして、カチン側に様々な「利益」が供与された。カチン州の中国国境地帯に
新設された「特区」での関税や通行料の徴収権。

パカン鉱山の採掘権やチーク材の採掘権もそれぞれ一部がカチン独立軍の幹部に譲渡された。
けし栽培やヘロインの取引も黙認となる。当時の軍政は少数民族の武装組織に譲歩しつつ、
相次ぎ停戦を結んだ。
外交筋は「アウンサンスーチー氏率いる民主化運動が（８８年）以降本格化したことで二正面作戦を回避
したかったからでは」と分析する。

だが、昨年３月の民生移行を前に、国軍は兵力を早強し、武装勢力に「国境警備隊」への編入を迫る。
ニュース誌イラワジによると、カチン独立軍はこれに反発し、長く放棄していたパカンの採掘業者への
課税を再開する。
「パカン鉱山はカチン族のものだ」と奪還を宣言した格好だ。
ただ、政権としては、スーチー氏など民主化勢力と折り合いがついた今、棚上げしていた「武装組織」
との決着を迫られている。

将来の内戦の芽を摘むために、、また和平交渉を有利な立場で進めるためにも、巨大利権をやすやすと
渡すわけにはいかないのだ。

ミッチーナの宿泊先で「麻薬は簡単に手に入るよ」と教えられた。
カチン州は麻薬汚染が深刻らしい。元凶の一つが、外国人立ち入り禁止のパカン鉱山だという。
落盤や地滑りが頻発する過酷な労働環境にある。

国内各地から大勢の労働者が集まり、事業者が「精神安定剤」として麻薬を支給しているという
うわさが流れるほどだ。

慰安所もあり東南アジア有数のエイズ感染源でもあるという。
麻薬に対し国軍もカチン独立軍も「撲滅運動を推進している」と主張する。

独立軍は「国軍がカチンの若者を骨抜きにするために拡散させている」と非難している。
心理戦の様相だ。

「地上と天国をつなぐ神聖な石」の聖地が邪悪を引き寄せ、地獄への深淵をのぞかせている。
【ミッチーナとマンダレーで春日孝之】

２０１２年１０月１１日朝刊より　注　一部翡翠に関係のない部分を削除しました。


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今回の記事はまさにミャンマー国内のことですが中国人バイヤーが以前より翡翠を買いにくく

なっている事情もありミャンマー政府及び関係者には今までになく悪い状況が続いています。

日本も対ミャンマービジネスに積極的になっており、早く鉱山の安全のためにも日本が貢献

できる状況になってもらいたいものです。







写真
2010年7月上旬　翡翠鉱山で働いていた知人が撮影したものです。
鉱山労働者の宿舎の隣は川　大雨で犠牲者が出ることも、
鉱山は崩れやすく道路はぬかるみ陸の孤島になりやすいです。

洪水、土砂崩れの危険が常にあり
安全をおろそかにし利益優先のやり方は早急に改める必要があります。