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2012/08/07 13:37
「翡翠には五つの徳がある」
とはよく言われるところですがその徳がどういう意味なのかよく分からずにいました。
きっとNETのどこかに詳しく載っているかもしれませんが最近になってわかりやすく
解説してある本を見つけましたのでご紹介します。
林 巳奈夫 著 「中国古玉器総説」1999年 吉川弘文館 より一部コピー
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中国人のいう「玉」とは何か。
後漢時代に著わされた「説文解字」という字書の玉部を見ると、
玉の性質を人間の徳にたとえ、玉は石の美しいもので五つの徳を持つ。
潤いがあって暖かい感じがあるのは仁の道である。
目があって外から中の様子がわかるのは義の道である。
たたくと余韻のあるよく通る音がして遠くまで聞こえるのは智の道である。
弾力がなく、撓(たわ)まないで折れるのは勇の道である。
角が立っているが反抗的ではない(あまり鋭くて人を傷つけたりはしない)のは潔の道である
という。
列挙された性質のうち、たたくと高い音が出る、撓まないで折れる、等は他の種類の堅い石、硬玉とか瑪瑙
などについても言えることでろうが、第一に挙げられる、潤いがあって温かい感じ、というのは磨かれた軟玉の
顕著な特色である。
硬玉とか瑪瑙はテカテカとガラス光沢をもち、悪光するものである。このことからみて「玉」といった時、
古代中国の人はパール・エクセランスに軟玉を指したことは疑いないところである。
ハンスフォードは中国でビルマ産硬玉が一般的になったのは18世紀になってからであり明末の万暦帝の定陵
からの出土品に硬玉製品が欠けていることを指摘している。
それはわかったとして、玉の性質が人間の徳目になぞらえて数えられているのは突飛なことと感ぜられないであろうか。
玉は鉱物であって人間のような知性のある生物ではないからである。
これについては「管子」水地篇に説明が行われている。その論旨は次のごとくである。
血は万物の本源で諸々の生あるものの生まれるところでくぁる。水は地の血気であり、人体の筋脈のごとくで、地に万物を生ぜしめる。水には以下のような得が具わっている。すなわち、柔弱であるが人の汚れを洗い落とす。これは仁。
その色は黒、あるいは透明である。これは清純。枡に入れても上を木でならす必要はなく、一杯になればそこで止まる。
これは正・・・・・・。こういうわけで水は万物の水準、諸々の生あるものより生ずる唾のようなもので、是非特質の本である。どこにでも存在し、天地の間に集まり、何にでも入っている。故に水は神である。草木はこれを適度に得て、成長して実を結び、鳥獣はこれを適度に得て、大きくなる。万物がそのかすかなきざしを超えて本来の形をとるに至るのは、水の分量が
適度であることによるのである、と。
ここで注3に引いた
「説文」に似た文のみられる条が来る。
「それ玉の尊ばれるところは九徳がこれより出(いずる)がためなり。それ玉の温潤にしてもって沢あるは仁なり、云い云いと
以下略
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言うまでもなく古代中国にはミャンマー産翡翠(硬玉)はなく、軟玉でした。
その軟玉もいろいろと種類があり産地も違っています。
その軟玉の善し悪しや他の石と見分けるその眼の確かさにはほんとにおどろきます。
古代軟玉につきましては改めてお話しする機会もあると思います。
御暇の方へ
「中国古玉器総説」最近になって図書館で見つけた本ですが内容もよく、もうすぐに欲しくなってしまいました。
早速 アマゾンで検索してみたところ 「高い」!
3冊あって最低価格は2万8千円、その次が4万円台、最もお高いのが7万円台、所有欲はありますが・・・・。
ちょっとね。見送りです。
最終更新:2012/08/07 13:37