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2012/01/10 00:32
「一年の計は元旦にあり」なんて言葉を引き出すまでもなく年の初めは1年先、10年先、
20年先のことを考えますよね。
私たち業者はもちろん、翡翠好きの方にとってはこれからヒスイの価格はどうなっていくんだろう?
と気になるところです。
中国人が大好きな翡翠は中国国内の経済状況によって大きく変わります。
どのように変わるかは経済の専門家にお任せするとして今回は供給側のミャンマーの
問題についてお話します。
まず第一に重要なのは
前回もお話ししましたようにミャンマーは世界で唯一翡翠を大規模に商業生産している国です。
ミャンマーの動き次第で大きく変化する可能性があります。
第2番目に重要なのは鉱山の問題です。
ご存知の方が多いと思いますが産地はミャンマー北部のパカン鉱山を中心とした
一定の範囲内です。
その鉱山の状況が15~20年の間にだいぶ変わってきました。
1995年ごろまでは削岩機かツルハシで掘り土砂は人力で運んでいました。
当時はウル川およびその支流(ウル川はエーヤーワディー川に合流する
チンドウイン川の支流で翡翠鉱山のほぼ中央を流れる)
の河川敷を盛んに掘っていました。河川敷は固い岩盤もなく掘り易かったのですが
それも2000年ごろにはほぼ掘りつくし山の掘削に変わりました。
掘削にもバックホーやダンプカーなどが使われるようになりその性能も近年一段と向上し
台数も増えました。
当然生産量も増えオークションに出品されるロット数も2000年代に入ってからようやく
1000ロットを超えるようになりさらに最近は10000ロットを大幅に上回っています。
(政府主催のオークションは通常年3回、首都ネピードウにて開催されます。
200年代初めごろまではオークション以外でも輸出することが出来ましたが生産量が
増えてきていることは事実です)
生産量が増えるのはいいのですが問題点も顕在化してきました。
この地域は雨期と乾期があり雨期には大量の土砂を押し流しウル川の河床も上昇してきています。
時間の経過とともに下流でも河床の上昇、堤防の決壊の危険性が増していきます。
また禿山が多くなり山の保水能力が低下してきています。
また機械化により効率的に掘れるようになり断崖絶壁が多くなり乾期はいいとして雨期には
大変危険な場所が多くなってきています。
特に雨期と乾期の気候の変わり目には土砂崩れなど大災害が起こりやすくなるのです。
これらを総合的に見て
環境に悪影響を与え、人命の危険度もまして来ています。
早急に改善する必要があるでしょう。
そうはいっても今すぐは無理.でも10年以内には環境保全、安全第一の観点から
改善されるものと思います。
それらはコスト増につながるのは明らかです。
いずれにしても翡翠の生産量がどんどん増えていくのはこの先長くて10年以内に
終わりあとは漸減していくものと思われます。
ご参考までに
(あくまで私の予測です)
最終更新:2012/01/10 11:40