記事詳細
2011/11/30 18:16
元駐ミャンマー大使によるミャンマーの歴史の本である。
筆者が前書きで書いているように
「本書の題名は「歴史物語ミャンマーとなっているがあくまでも史実のみを忠実に記述するものであり、
フィクションは一切排除されている」というように史実をほんとに物語のように書いているので未知の国を
題材とした小説のような面白さがある。
ミャンマーの歴史の本と言えばごく少数のヨーロッパ人の書いたものを訳したものがあるが(現在は入手が
大変難しくなっている)どうしても客観性に欠けるところがあるといわれる。
また、日本ではもともとミャンマー関係の本は少ない。歴史のことを書いたものでも断片的なのにとどまっていたのが現状である。
それだけにこの本が出版されたことは大変うれしいことです。
マルコポーロの「東方見聞録」に元軍が一二七二年、ビルマに攻め入り2000頭の象部隊を擁するパカン軍を撃破し王国を
滅ぼした話が載っていますが「歴史物語ミャンマーの方」がより詳しく理解しやすいように書かれていて小説を読むような楽しさがあります。
上下2冊の本はそこここに面白い話が載っていますが読み進むうちにミャンマーという国をいかに先入観念によって理解していたかきづかされます。
あとがきで
「欧米諸国やマスメディアは歴史に遡るミャンマーへの無理解ゆえにこの国の実情についてゆがめられた認識を持ち
、それに基づいて軍政バッシングを続けてきた」
「筆者はこの国に心を寄せる者として、世にはびこるゆがんだ見方を是正しようと、長年にわたって努力してきたが
この努力もついに無用となることを期待している」と結んでいる。
その見方は人によって違和感を持つ人もあるかもしれないがそうかといってこの本の価値を損なうものではないと思う。
ミャンマーに関心のある方に一読をおすすめしたい。
「歴史物語ミャンマー 上、下」
著者 山口 洋一
発行所 カナリア書房
2011年10月31日発行
楽天で買えます。
最終更新:2011/11/30 18:16