翡翠のことを調べていたら面白い記事に当りましたのでご紹介します。

1925年（大正14年）の時事新報の記事から

翡翠の産地ビルマ国境に近い辺境の州税徴収の話である。

見るからに高額そうな翡翠を持って入省しようとするする者に役人は法外な高税を吹っかける。

吹っかけられた方はそんなに高い税金を払うなら何とか買い手を探して処分しようと考える。

それを見透かした役人は密かに手を回して買いとる。

このような役人は州政府から税の徴収を請け負っていて年に5万元とか10万元を納めていたという。

しかし、これだけでは大した利益にならないのでこんな悪計をめぐらして1年か2年のうちに相当な財産を作ったという。

　我田引水とお国自慢から容易に自国の事物を悪く言わない中国人もこの税（り金という）についてだけは異口同音に

その悪弊に耐えずと言っていたというからよほどの悪税だったようである。

そのひとつの例として雲南省という遠い辺境の話は仮に誰かに聞かれたとしても無難ということで広く知られていたかも

しれません。

この新聞記事とは関係ないですが

「某国の道路には検問所があり密輸を取り締まっている。

ところがこの検問所に勤務している役人の知人や家族が密かに検問所を迂回して運ぶ運搬人になっている。

だから密輸は絶対安全だ。」

という話を昔聞いたことがあります。いかにもありそうな話ですが事実を確認したわけでもありませんので

御留意を。


以上　外国の話でしたが次回は同時代の日本の税関と密輸のお話です。



※　釐金（りきん）について　

　　時事新報 1925.10.22-1925.11.14(大正14)から一部抜粋


釐金は本来軍事費の補充の為め賦課された一時的義捐金であった清の咸豊三年洪秀全が南京を奪った時、
楊州に軍を治めて居た清廷の大常寺卿雷以鍼が軍用金に窮した挙句案出した税法であると云われ釐は価格百分の一と
云う意味である。

其後□の釐金の税法は胡文忠に依って湖北に伝えられ洪楊の大乱が終って国庫及地方財政も平時に復したにも
拘わらず釐金は遠慮なく各地方に伝波した。
一時的であるべきその性質が失われて水陸の要衝には多数の釐局が設けられたが商人も之に対抗し脱税の方法を
講じたので又之を取締る為め分局を設けると云う始末であった。
咸豊十一年には重要都市の釐局の外偏僻地方及小商人の往来する処に在る釐局を撤廃すべき旨の上諭が下ったが
それにも拘わらず釐局は益々増加し清の光緒年間は其弊害が著しかったと云われ、江蘇省一省内に四百余所の
分局があった程である。

(今日は全国を通じて七百三十五ヶ所である)民国三年に政府は釐金を国税とする事とし釐金の収入は各省の財政聴
に納収すると定めて今日に至って居るが釐金収入が果して国庫の収入になって居るか否か頗る疑問である。
(但し歳入予算案には貨物税なる一款に釐金其他釐金類似の二税が計上されてある。)
　従って実際に於ては地方官憲がその必要から騰手に徴収して居る税金であって貨物の出入通過に課税して居る
ものであると解して差支えない。

　釐金の種類の第一は貨物が生産地又は市場から運搬を初める時に起釐出産税の名目を以て賦課する第二は貨物
運搬の途中に於いて進(入)省税、出省税、験釐等の名称で賦課する。第三は貨物の到着地に於て落地税、銷場税等の
名目で賦課する。

尚最近釐金の新徴収法として統捐(右三釐金を一時に徴収するもの)と□銷税(出産税(生産税)と銷場税(消費税)のみを
徴収し第二の釐金を徴入しない)の二種が広く行われて居る。