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2010/08/06 12:26
上の写真はエポキシ樹脂を含浸したばかりの写真です。
通常はこのような写真は公開されないのでその意味で言いましたら貴重な写真と言えるでしょう。
複数の鑑別機関に提供しまして調べていただきましたところ、中心部まで含浸されているとのことでした。
写真で良くお分かりのように透明な樹脂です。
透明な樹脂を入れる【含浸】となぜ綺麗に見えるのかというと翡翠の透明度が増しガラス質の翡翠のように見え
あたかも品質の良い翡翠のように見えるのです。
ところで樹脂を入れるといっても樹脂が入る隙間といいますか空間がないと入りませんですよね。
単結晶の水晶には隙間がないので含浸することはできません。
翡翠の場合は小さな結晶が複雑に絡み合っています。当然結晶と結晶の間には隙間があるということなのですが
多くの場合には他の不純物で満たされています。
ですから「翡翠には樹脂含浸ができる」といっても全てが期待する結果が出るとは限りません。
「ろうかん翡翠」といわれる緑の高品質の翡翠にはもともと含浸して価値を上げることはしません(逆に価値が低くなる)が
仮にしようとしても全くできないか表面に近いごく浅いところだけになるでしょう。
もともと樹脂含浸する目的は「価値が低い翡翠を価値のある翡翠のように見せかける」ということです。
となれば品質の悪い【安い】翡翠でなおかつ容易に隙間の作りやすい翡翠に含浸することになります。
隙間を作りやすいとは安価な薬品で翡翠結晶と翡翠結晶の間に入っている不純物を溶かして外に出すことが
出来る翡翠でなければなりません。
翡翠と翡翠の結晶の間にはいろいろなものが入っています。
(弊社でも販売しています翡翠の本をご参考までに)
https://item.rakuten.co.jp/mjade/hon-1/
その中で鉄分が入っているものは良くご存じのように酸で溶かすことができます。
翡翠の表面が赤茶けたものは鉄分が入っていますから含浸されやすい翡翠です。
しかしそうはいっても溶かしただけでは中から取りだせる訳ではありません。
取りだすにはまだ次の工程が必要なのです。
含浸作業も同様に大変です。
樹脂含浸するのは零細企業がほとんどで安全管理の意識も低く強酸や染色用の薬品など
人体に非常に危険なものを使っています。
私は樹脂含浸している現場を実際に見たことはありませんが事情通によりますと
そこで働いている人は身体を壊すことが多く寿命が短いといいます。
樹脂含浸や染色した翡翠を買わないのがいろいろな面で良いことと思いますが皆様はどう思いますか?
(写真の翡翠は中国南部の某所で樹脂含浸されたものです。ミャンマーでは染色している会社を見に行ったことは
ありますが樹脂含浸している会社があるかどうかは不明です。仮にあるにしても多くはないと推測します)
最終更新:2010/08/06 16:54