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2010/03/12 14:44
ろうかん勾玉が載っているこの図録、A4より少し大きく厚さは5Cmの和綴じの立派なものです。
写真は厚手の上質の紙を使用しており、説明はそれより少し劣るもののそれでもA4普通紙より上質です。
多くは白黒の写真で注目の出品物はカラー写真で目をひきます。
紹介の勾玉も当初から注目されていたらしくカラー写真です。
ちなみに天正大判、慶長大判など古金銀は白黒でした。
まずはじっくりと見てください。
写真では透明度が今一つはっきりしないですが全体に色むらの少ない上質の硬玉勾玉のようです。
ろうかんの大型の勾玉、そして十字型、獣形、丁字頭の線刻入りなど他に類例が非常に少ないものばかり
で確かに高額になったのは理解できます。
それにしてもよくこれだけ集めたなと感心しました。
しかし、こんなに素晴らしいのにどうして翡翠関係の本にも載らないしどこかで展示されたという話も聞かない。
と疑問に思い改めて「日本古玉器雑こう」をひも解いてみました。
この本の著者梅原末治氏は戦前の考古学草創期から活躍されている考古学界に大変貢献された方です。
そうしましたら非常によく似た勾玉が載っていました。
さらに良く読むと 次のような文が見つかりました。
『 尾張の国知多郡小鈴ヶ谷村の森田氏所蔵という1個(十字型を指す)は、多数の硬玉勾玉とともに
後また大阪藤田家の所有となったが、昭和十年代の初めに再び世に出て、神戸の故中村準策翁の有に帰し
いま寧楽美術館に所蔵する。
しかしこの玉は戦災にあって著しく破損して殆ど原形をなくしたのは惜しむべきである。
・・・・私は中村翁の手に入ってから程経た昭和15年5月に実見したが、神田氏も書いているように
これも半透明の緑色したいわゆる琅かんで作られたものであった』(194ページ)
3月11日昼 早速奈良東大寺西隣にあるという依水園 寧楽美術館に電話したのですが担当の方が
会議中で忙しく明確なお返事をいただくことができませんでした。
後日改めてお聞きしたいと思います。
同様のものが二つとない大型、ろうかん、形状のものであり寧楽美術館にあるものにほぼ間違いものと
思われます。
しかし原形をほとんど失ったとは大変残念なことですね。
(1寸は約3.03Cm)
さて、次回は香雪斎、東京美術倶楽部のことなど補足の説明になることですがお伝えいたします。
そうそう 明日3月12日は「山田方谷星」発見の記念日です。
「山田方谷」御存じの方も多いと思いますが私も敬仰している偉人です。
最終更新:2010/03/12 14:44