2017 mid winter & 2018 early spring I　4/4

Y&ME

忘れたつもりだったのに　ふと思い出す
今日は　あの人の誕生日

一年前のあの日　あなたはどこを見ていたのかな

年に1度
365日の中の大切な1日
その1回が　こんなにも痛いなんて

生まれてきてくれてありがとう　と
大好きだったあの人に言いたくなれないなんて

目を見つめるたび
あなたの口癖に触れるたび
世界は　優しく　甘くなった

右から左に流れない　愛しい声
ゆっくりと耳から心に　浸透していく

不特定多数に向けられたラブソングや
　 ド定番な甘い言葉も
あなたの口から出れば　永遠に近い気がしたの

かっこをつけた愛の言葉よりも　心をポカポカにしてくれたのは
シンプルな「大好き」

あなたのすべてを　私に教えて

いつからだろう
ふたりの立ち位置が変わって　見える景色も違っていったのは

隣にいることに甘えて
見つめなくなったのは　お互いの目と心

生まれた溝から目をそむけた　あの恋は
うわべだけの「逢いたい」を作り出したね

どんな気持ちで　好きをくれるの？
どんな心で　私を見つめるの？
どんな想いで　恋愛をしているの？

全部全部、教えて
あなたの言葉で　聞かせてほしかった

並ばなくなった肩にも
繋がなくなった手にも　慣れたら
冷えた空気も　痛くなくなった

一歩後ろを下がるあなたを　冷静に見つめている私
前を向く私から視線をそらす　あなた
まるで　ハリネズミみたいな関係のふたり

あなたに向けた「どうでもいいよ」 の一言には
「愛が欲しい」と泣いている心が　詰まっていた

こんな弱さに気づかせるくせに
あなたの心は　もうそばにいないね

まったりと流れる　いつもの時間
沈黙でも伝わる　あなたの心
無言でもいられる　特別な空間

あの日　ふたりで見ていた映画の内容は
もう　お互いに忘れてしまったけれど
涙をこらえていたあなたの顔は　鮮明な想い出

かわいい　とか
かっこいい　よりも
落ち着ける　が褒め言葉になったね

ゆったりと流れる　穏やかな時間
サプライズなイベントも
気の利いた言葉もない私たちの時間が　幸せ

うつむいた世界の中で　ひとりぼっちなあなた
泣ける場所がないなら　一緒に遠くへ行こう

開いた距離は　言葉と体温で埋めよう
閉ざした瞳は　希望と愛で満たそう

作り上げた高い壁に　花を咲かせて　
モノクロになった景色に　明かりを灯す

抱えてきた重荷も
並べてきた愛想笑いも捨てて　
不器用な笑顔で　思いっきり笑おう

疲れた心には　私が笑顔を咲かせるよ
ふさいだ心は　温もりで暖めるよ

2人だけが笑える世界を見に行こうよ

photographers: Atsushi Sakamoto
model: Yumi
poetry and prose: Yuka Furukawa