気楽なふとん屋さんのカナダ出張記2

5月31日 (1日目)

10時55分のANA便で羽田に向かう。
今回は、羽毛の原料チェックを行うために、カナダへの出張である。
羽田からトロントを経由してモントリオールに入り、最終的にはケベックシティまで行く予定である。

12時過ぎに羽田到着。
国際線に向かいロマンス小杉の引地さんと合流する。
彼は、当社の営業担当なので同行することになったそうだが、海外に行くのは新婚旅行以来の2度目らしく、緊張するやらワクワクするやら大変そう。
羽田空港自体に来るのが初めてということで嬉しくて仕方なく、予定便を一本繰り上げて到着し、空港内をあちらこちら見て回ったとのこと。

昼食を奢ってくれるということなので、日本を離れる前にと寿司屋に入る。しかし、思ったよりも値段が高めで失敗したかなと、こちらは思っているのに、引地さんは、値段も見ずにイクラやうなぎなどの値段が高いネタを次々頼むので驚いてしまう。
私が「気が大きくなっているだろう」と指摘すると、久しぶりの海外や初めての羽田空港、仮払いを15万円してきて持ち付けない金を持ち歩いていることもあり、かなり緊張しているとのこと。
私の指摘を受けて、次の注文を玉子に変えたのは、可愛らしいが、先が思いやられる。 「財布の中の仮払いの金は自分の金じゃない、金じゃない」と何度も呟いているのを聞くと、これまた、非常に不安になってくる。

食後、引地さんは初めてカードラウンジを使える機会ということで、エグゼクティブだけが使える凄いラウンジに行きたいと心がはやっていたが、最近は、誰でもゴールドカードを持っているので、「たいしたことないよ」と言ったのは、夢を壊してしまっただろうか?
場所だけ教えてあげて、私は、航空会社のビジネスラウンジに行く。
今回は、前後の日程が立て込んでいるので、ビジネスクラスで行くことにしたのである。

ビジネスラウンジに行くと、貧乏性なのか、もらえるものは全て食べたくなり、2度目のランチとなるカレーライス、鶏のからあげ、サンドイッチなどを食べた上に、ナイトキャップにワインとウィスキーを少しだけ飲んでしまう。

実は医者に酒を止められていて、酒を飲むのは5ヶ月ぶりで、少しの量でもよくまわる。
4時30分になったのでボーディングゲートへ向かうが、引地さんは期待しすぎたラウンジに飽きてもっと前からゲート付近をうろうろしていたようである。

ボーディングは4時55分に予定通り始まるが、機体の整備に時間がかかったのか、30分ほど遅れての出発となる。
離陸してすぐに食事が出て、今度は夕食。
更にフルーツやティラミス、ポテトチップスなどが出てきたので、全てもらって食べ、自由に頼めるラーメン、シュウマイなども頼んでしまい、いったいどれだけ食べているか分からなくなる。

到着の1時間前にはブランチが出てきたが、さすがにこれはほとんど残してしまい、フライトアテンダントに「お口に合いませんでしたか?」と心配されてしまう。

到着直前にアナウンスが流れ、我々がトロントで乗り換える予定のAC834便には到着時間が遅れたため乗ることができないので、次の便に予約が自動的に変更になった旨が知らされる。
しかし、この飛行機でフェザーインダストリー社の社長であるブライアン氏たちと一緒にモントリオールへ向かうことになっているので、非常に困ったことだと感じる。

予定表を見ると、そもそも乗り換え時間が1時間15分としか設定されておらず、行程自体に無理がある。
フライトアテンダントに相談すると、ブライアン氏との連絡をとってくれるとのことであるが、引地さんのことを話すと、現在、モントリオールへの乗り換えは6人だが、次の便で確保できているのは5席であり、一人だけ更にもう一便後になるということ。
また、ビジネスクラスである私は次の便が確定しているが、エコノミークラスに乗っている引地さんが6人目となる可能性が高いことがわかる。
これはカウンターで交渉する必要があるかと到着後、急いで入国審査を終え荷物をピッキングするが、何故か引地さんが入国審査に引っかかってしまいなかなか出てこない。
捨てていくわけにもいかず待ってから一緒にカウンターへ向かうが、引地さんはパニック状態でわけがわかっていないよう。 しかし、よく考えてみると、そのまま急いで出てくれば、予定の便にギリギリ乗れていたかもしれない時間だったので、引地さんが入国審査で引っかかったのが悔やまれる。

カウンターに行き、交渉するがやはり、引地さんの席の確保は無理なようで、時間切れとなりゲートへ行く。
右も左もわからない引地さんを残して行くのは本当に心配だったが、仕方ないので先にモントリオールへと出発する。

このフライトでは席が窓際だったので、地上をよく見ることができたが、やはりカナダの国土は広大である。
また、個人の住宅にも多くの木々があるのをうらやましく感じる。

1時間少々のフライトの後、ブライアン氏と合流。

その後、引地さんも無事に合流できて、本当によかったと感じる。
飛行機の中でチーズとクラッカー程度は出たが、少しお腹が減ったので食事に出る。
ホテル自体がチャイナタウンにあるので、軽くラーメンでもと思い注文するも、かなりの量が出てきて苦労する。

ホテルの部屋は豪華ではないもののWi-Fiもつながり不都合はない。
トイレがウォシュレットでなく、風呂がシャワーだけなので、以前、よく一緒に出張していた大痔主のロマンス小杉の武本さんなら大変なことになるが、まあ、これも我慢できる。
今回、枕は「ラクネル」という空気で高さ調節できる枕を持ってきたので快適である。

疲れていたので、最低限の仕事をして23時に就寝。

6月1日 (2日目)

3時起床、昨日やり残した仕事を片付ける。
5時ごろまで仕事をすると夜が明けてきたので準備をして散歩へ行く。
ホテルを出て、まずはノートルダム大聖堂を目指し南東へと歩みを進める。
歩きながら看板を見ると、やはりどれもフランス語表記で、カナダの中でも特別な町であるということを再認識する。

10分ぐらい歩くとノートルダム大聖堂に到着するが、早朝なので当然ながら入場はできない。
しかし、外から見学するだけでも重厚なたたずまいは一見の価値がある。

ノートルダム大聖堂というと、誰もがパリのものを思い起こすが、聖母マリアに捧げられ名づけられたもの(ノートルダムはフランス語で私たちの貴婦人)で、ノートルダムを冠する聖堂はフランスだけでも数ヶ所あり、 ベルギーやルクセンブルクにもあるようである。

ここモントリオールのノートルダム大聖堂は1830年の建設で世界遺産にも含まれている。

ノートルダム大聖堂を見た後、更に南東へと進みセントローレンス川へと至る。
たくさんの商業施設などがあり、休日の昼間に来ればかなりにぎわっていそうである。

帰りは川沿いに少し北へと移動し、ジャック・カルティエ広場を抜けてホテルに向かう。 ジャック・カルティエとは、フランスの探検家で、ケベックがフランス領になる基礎を作った人であるが、広場にはなぜか彼の銅像ではなく、英国海軍士官であったネルソン提督の銅像が立っている。

ホテルに帰るとちょうど1時間ほどが過ぎており、良い運動になったと感じる。 朝食が7時からということで少し早めに準備して、レストランへと向かうが時間ちょうどまで開かない。
7時ちょうどに入り、ビュッフェスタイルなので、朝食を自分で取りに行くが、あるのはパンが数種類とシリアル、チーズ1種類、冷えたゆで玉子、後はフルーツと飲み物といったところで、野菜やハム・ソーセージなどの肉類は全くないのでとまどってしまう。
早く来たので、後から出てくるかもとも思ったが、最後まで出てこなかったので、そもそもこんなものなのであろう。

部屋に帰るとき、両替をしておらず、チップがないことに気がついたので、引地さんに1ドル貸してほしいと話をするが、引地さんから「チップっているんですか?どうやって渡すんですか?来るのを待っといて ハイって渡すんですよね」と言われて呆気にとられる。
よく聞いてみると、彼はこれまでの人生の中でチップを置いたことがないとのこと。 まあ、人生二回目の海外旅行なので、仕方ないのかと思い、説明をする。

食事はみんなで7時ということになっていたが、結局ブライアン氏は現れず、部屋に帰ると8時の出発予定を9時に変更との連絡がある。
少し片づけをしてから早めにロビーへと降り、9時過ぎにブルームレイクへ向けて出発。
1時間半ほど走り、農場へと到着する。
これまでの一般的な農場とはかなり違い、農場にオフィス、食肉加工場、販売店が併設されており、かなり近代的な経営をやっているようである。

迎えてくれたのは、副社長のブルーノ・ジュニアーニ氏で見た目通りの気さくなカナディアンである。
今回は店舗以外ほぼ写真や動画は不可ということが残念であるが、先進的な取り組みをしているので仕方がないとあきらめる。

まず、食肉加工場を見学するが、かなりの規模で大勢の社員さんが働いている。
屠殺施設も見学するか確認され、私は気が進まないが、引地さんは初めてなので、なんでも見たいということで見学することになった。
予想通り私は気分が悪くなるが、引地さんは全く平気だとのことで、逆に変な人と感じる。
屠殺施設の見学後は採取後の羽毛を回収、乾燥する設備を見るが、我々にとってこれは重要なチェックポイントである。
羽毛の採取後の処理が悪ければ、羽毛が痛んだり腐ったりしてファイバーが増えがちで、綺麗に製毛してもダウン比率が上がらなくなるからである。
ここの設備や仕組みは非常に優れているので、これなら間違いないと感じる。

続いて、羽毛原料のストック状況をチェックして、実際にベールを開けて粗毛の状態を確認するが、これも問題ない。
粗毛のダウン比率は一般的に11%〜30%程度であるが、この粗毛をトロントまで陸路で運び製毛して日本へ輸出することになる。

次に飼育施設を見学するが、建屋内で温度管理された中で飼育されている。
卵の採取、孵卵、育雛、飼育と全て一貫して農場内で完結できるとのことである。

オフィスに戻り、全体の説明を受け、いくつか質問に答えてもらう。
最後に、ペーストをお土産にもらい、記念撮影を行ってから13時すぎに農場を後にする。
昼食は紹介してもらった近所のレストランでとることにする。
ハンバーガーを頼むが、量が多く、食べるのに苦労したので、ポテトは引地さんに手伝ってもらう。
彼は、こうゆう時には、非常に頼りになる。

食後、モントリオールには、16時半頃に到着。
両替のために銀行へ行くが、窓口で「ここは、時間がかかるし、交換料率も悪いので、近くの両替屋を紹介する」といわれる。
親切な人だと思い、お店に行き、両替を済ませ、ホテルに帰る。
しかし、念のために、調べてみると2万円の両替に4千円、20%以上の手数料をとられていることになる。
日本円の取り扱いが少ないからなのか、騙されたのかは微妙であるが、非常にがっかりである。

17時に待ち合わせして、15分くらい歩いてIi Focolaio という地元では人気のレストランに着く。
夕食にはパスタを食べたいとリクエストしてあったのでイタリアンレストランを探して予約したのだと思うが実際には、ピザ屋さんでパスタはない。
イタリア料理では、ピッツェリアっというピザの専門店が一般的でおそらく、そういう形式なのだと思う。
ピザとサラダをシェアしながら食べたが、かなりの量で、お腹いっぱいとなる。

食後は、水を買って帰り10時過ぎに就寝。