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2021/03/17 18:17
おはようございます。
バラの家楽天店店長の木村やすはるです。
今日はバラ苗の生産についておはなししたいと思います。
まずは、よく頂くご質問を紹介します。
Q,届いた苗の株元に綿(スポンジ)のようなものがあります。
これは取り除くべきなのでしょうか?生育に影響はありませんか?
綿のようなものとは↑こちらの株元に見えるものです。
綿のようなものはロックウールになります。
商品ページにも画像つきで紹介していますが、
癌腫抵抗性台木使用のロサオリエンティスは特殊な接ぎ木法の為、
一部を除きほぼすべての苗でロックウールを使用しています。
ロックウールの主成分はケイ酸とカルシウムのため
微量の肥料分も含み物理性の改善に役立っており取らなくても問題ありません。
また、土には還りますが時間はとても長くかかるので、
気になる場合は休眠期になりましたら取り除いてください。
一般的に園芸種を増やす時には種を蒔いても違うバラが生まれ、
全く同じ性質を持つバラは生まれません。
そこで、原種であるノイバラの種を蒔き台木として畑で育て、
夏から秋に掛けて芽を接ぐ芽接ぎと、
冬に掘り上げた台木に枝を接ぐ切り接ぎで増やします。
しかしながら、癌腫抵抗性台木の場合は他の園芸種と同じで、
種を蒔いても違うバラしか生えて来ません。
そのため、園芸種の接ぎ木と台木の挿し木を同時に行います。
その際に台木を挿すのがロックウールです。
癌腫抵抗性台木の挿し木
昨年までは接ぎ挿し苗だけでしたが、
今年からは挿し木した癌腫抵抗性台木を育てて、
夏から秋に芽接ぎした苗も流通するようになります。
ロックウールの良いところは吸水性と保水性に優れ、
根に空気も行きわりやすくバラを始め植物の生育に最適です。
さらにもうひとつ良いのが“無菌”ということです。
もともと癌腫に感染しにくい癌腫抵抗性台木を
無菌のロックウールで生産することで、
さらに癌腫病の感染リスクを軽減することができるんです。
ロックウールで挿し木や接ぎ挿しした苗は、
しっかりと消毒され、他の苗とは隔離した場所で発根発芽させます。
しばらくロックウール栽培をした苗は、
癌腫の感染対策として真新しい培養土で植え付けます。
癌腫病が日本に入ってきたのは明治時代と言われています。
癌腫の菌はバラ以外の植物にも感染するため、
バラ以外の農地や、接ぎ木や挿し木で増やした植物が植えられている場所などでも、
長い年月をかけて癌腫の菌が繁殖してしまっています。
そのため、発芽や植え付け作業などは隔離された工場のような場所で行い、
培養土もただ新しいだけではなく、
原材料も癌腫の菌のいない地層の深い場所から掘り上げられる赤玉土やピートモス、
また、癌腫の菌が寄生できない単子葉植物のココピートなどを使用しています。
見えるのは癌腫抵抗性台木使用の接ぎ挿し苗
接ぎ挿しではなく、挿し木の癌腫抵抗性台木に芽接ぎした苗
バラの家では他社のブランドローズを除き、
ほぼすべての苗を自社で生産しています。
本当は自社生産の苗はすべて癌腫抵抗性台木で生産するのがベストなのですが、
ノイバラの切り接ぎや芽接ぎに比べて癌腫抵抗性台木の生産は、
手間や場所、時間が必要で、さらにコストも掛かるため、
これ以上は生産量を増やすのは難しいのが現実です。
そのため、一般品種などにつきましては、
ノイバラ台木での生産をメインとして行っています。
また、一般品種でもロックウール生産も試験的に行っているため
株元にロックウールを使用している場合もございます。
もちろんノイバラ生産でも癌腫感染対策はしっかりと行っています。
ノイバラの種はしっかりと消毒されたトレーを使い、
真新しい培養土に蒔き、消毒されたビニールで隔離しています。
接ぎ木した苗は、感染リスクを軽減するために
苗床で発根や発芽はさせず、直接真新しい培養土に植え付けます。
真新しい培養土、ポットに植え付け発芽したばかりの切り接ぎ苗
切り接ぎは主に少量生産品種で行っています。
少量生産品種は品種間違いのないように
植え付けと一緒に品種ラベルも付けて行くので、
現在は新芽よりもラベルのほうが目立つ状態です
こちらは芽接ぎ苗。
主に大量生産する人気の定番品種で行っています。
現在は品種が変わる境目だけにラベルが刺さっています。
多いものでは何千と同じ品種が並んでいるんですよ!
今年も4月中旬ころより、
バラ新苗の販売を順次開始する予定です。
あと一ヶ月ほどとなりました。
楽しみにお待ちの皆様も多いと思いますが、
新苗の販売開始まで楽しみにお待ちくださいませ^^
木村裕治
最終更新:2021/07/01 11:40