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2014/11/04 10:20
大きな大きなハードルは品種保護の申請の難しさ。
そしてそれに絡むさまざまな事。
日本や欧米と違い、ほとんどそういう文化がなく、
あったとしても国や多国籍企業が少し行うだけ。
それでもほとんど活用されていない…
一般の農家や人々がやっている事ではなかったし、
やれるレベルのものでもなかったんです。
許さんや息子さんが語る。
「品種登録をやりたい!
今までもやりたいと思ってきたけど、台湾で新たな品種を登録することは本当に難しい事なんです。」
まず先例がほとんどない、どうやって申請をすれば良いか、
それを教えてくれるところがない。
また費用や手間がとてもかかる。
それを経費として入れて販売すると、それは高い価格になってしまう。
日本と違い人口も少ないし、園芸もそれほど盛んでないから。
だから悔しいけどやってこなかったんです。」
「でもやらないと何もはじまらないでしょ?」
そう言おうと思ったけど、僕が責任を負えるわけでもないので、
黙っていました。
バラへの気持ちも、品種保護の活動も、パートナーとしての規模や品質も、
なにかも揃っていたのに最後のワンピースがはまらない。
でも僕のロサオリエンティスはすごく興味があるみたい。
「前向きに検討する、
品種登録を一から勉強する、
販売ルートを増やし販売数を可能な販売数にする。」
そんな言葉と共に最初の訪台を終え帰国しました。
手ごたえはあった、でも実現は厳しい。
新品種育成者の権利保護、思いはあっても大きな壁があったのです。
4月に入り、5月、
バラを生業とするものは一年で一番忙しい季節。
正直台湾の事はすっかり忘れてしまっていました。
ひとつの事に夢中になると、
他はいっさい忘れてしまう僕の悪い癖。
5月の西武ドーム、国際バラとガーデニングショウに芳香さんご家族が来られ、
ドームとバラの家を見学したい、そのことは聞いていましたが、
ほぼ忘れていて、直前になって聞いて思い出す。
ダメだったけど、台湾の素敵なバラ友達が出来た!
もうそれだけで十分。他には何も求めない。
そんな気持ちでいた僕に、
ドームで会った彼らは奇蹟を起こしてくれたんです。
ご家族みなさんで起こした奇蹟ですが、
一番頑張ったのはきっと、父母の悔しい思いを見続けてきて、それを思い出し泣いた息子さん。
品種登録について猛勉強し、
完全に自分のものにしてしまったのです。
その他の課題も一つずつクリアし、
5月に会った時には僕よりも彼らの方が、
「なんとか台湾の現状を変えてやる!」
「ぜったいにロサオリエンティスを台湾でバラの愛好家の方々に正式に買えるようにする!」
熱い眼差しで僕に語りかけてきました…
なんとも頼もしいパートナーになっていたんです。
そこから先はもうどんどん進んだ。
いっきに進んだ。
数か月前では考えられないような事になった。
本当に僕の訪台に関わってくれたみんなのおかげ。
ぐぐっと前向きにすすんで、
10月31日を迎えた。ロサオリエンティスの台湾正式販売日。
台湾の芳香バラ園さんの店頭で、
こんな風に並んだ…
台北のお店でも。
あの子から「どうなるのか心配」、そうメールがあったけど、
僕は「なるようになるさ」ただそれだけ答えた。
だって人生本当にそうなんだもの。
なるようにしかならない。ただ目の前の事を一生懸命やるだけ。
それ以上は神のみぞ知る。
夕方連絡があった。
お店もネットも(販売量を増やすため、新規に出店)順調に売れて、
台北のお店も朝から大繁盛だったらしい。
ネットに関しては開始2時間で売り切れだとか…
許さんの娘さんがとても頑張って立ち上げてくれた。
みんないる場所は違えど、
あの時いたみんなと乾杯したい!
僕の思いを実現してくれたみんなありがとう。
みんなの思いと行動が奇蹟を起こした!
ひとりのわがまま、そしてバラへの思いが形になった。
とおいとおい異国の地で。
本当にありがとう。
そしてバラの育種はここから始まる。
バラの育種はアジアで完成する。
きっと近い将来、台湾から世界に通用するバラの育種家が現れるだろう。
世界を驚かせるバラの育種家が誕生するだろう!
すべての下地は揃ったのだから…
バラって最高!
それは何故かは?いつかお伝えいたします。
ローズクリエイター 木村たくのり
最終更新:2014/11/04 10:20