記事詳細
2014/11/03 19:47
許さんとのちょっとした会話や、
店舗のバラ管理レベル。
許さんの奥さんや息子さんの笑顔。
そして働かれてるスタッフさんの雰囲気…
ほんの一瞬で、ビビビと、
台湾で一緒に仕事をするならこの人だ!この会社だと感じました。
これはバラの新品種を出す時と感覚は一緒かな?
悩みに悩んで最後は魂の気づき、直観!
馬鹿みたいですが、僕はそういう右脳人間。
それで失敗もいっぱいしてきたけど、こうやってしか生きられない。
許さんとバラの話をすればするほど盛り上がる!
バラへの思いも僕と一緒。
仕事としてバラをしているのではなく、
バラが好きだからこの仕事をしている。
どんなにバラが仕事としてなりたたなくなったとしても、
他の仕事へは行かず、きっとバラの仕事を続けるだろう。
そんな彼だから、品種保護の考えは単刀直入に聞いた。
「バラの話とビジネスはまた違う話だよ」 そう言われると思ったが、
彼の口からは意外な言葉が…
「私も本当に悔しい思いをしてきた。
品種育成者の権利保護はとても大事な仕事。台湾でこれから進めなければいけないことだ!」
悔しい思い? えっ? なにそれ…
そんな戸惑いが顔に現れただろうけど、彼は話を続けた。
彼は台湾では珍しいバラの育種家。
ほとんどの生産農家はバラを増やすことはしていてもバラの育種はしていない。
オリジナルの品種はあったとしても枝変わりだ。
「自分が育種したバラを台湾市場に出しても、バラ生産者や販売者は、
よく出来たバラほど、
『このバラはお前が育種したものではない!海外から取り寄せたものだろ!
そのバラをまるで自分が育種したかのように言うなんてどうかしてる!』
そう言われ、自分が育種した品種が勝手に増やされ、作出すら認められないのが台湾。」
かたわらで息子さんが泣き出す。
もう良い歳した息子さんが人前でだ。
幼いころから両親のそういう悔しい思いを見聞きしてきたのだろう。
「パパとママは、その問題で本当に苦労してきた」と言いながら…
人は人の好き嫌いはあれど、
もっとも自分の気持ちを理解してもらうことで大切な要素は「立場」だ。
バラの育種家という立場が一緒で、
同じく悔しい思いをしてきたこの家族なら、僕の思いも理解してくれるだろう?
バラの育種は早くて4~5年、長いと10年以上もかかる仕事、
一日も欠かさず観察し、
良いバラが出来たと思えば増やし、毎日お手入れする。
そんな血と汗と涙の結晶が新しいバラ。
そんな苦労があって、初めて新品種は世に出る。
おかしな慣習を変えていこうとする仲間に会えた、
それだけで、僕は台湾に来たかいがあった。
でも、もうこれ以上望まない気持ちになっている自分がいた。
だって、気持ちを同じくする人間が見つかり進む方向性を同じくしても、、
台湾で品種を保護し、僕の新品種を販売していくことには、
大きな大きなハードルがあったから…
バラって最高!
ローズクリエイター 木村たくのり
最終更新:2014/11/03 19:55