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2010/12/26 18:15
先日掲載した輸入苗の『ムンステッドウッド』
最近よく聞かれますね~ この話題^^
「国産苗と輸入苗ってどう違うんですか?」って。。。
話すと長くなるんで(笑)
あまり話さないようにしてるんですが、
そろそろブログで書かないとな~と^^
例外はありますが、
基本的にはアメリカやヨーロッパでそちらの気候にあった、
外国産の台木(根の部分)を使い園芸種の枝(樹の部分)を接木し、
大苗まで外国で育てて日本に輸入されたのが『輸入苗』
それに対して…
これまた例外はありますが、
基本的には高温多湿な日本の気候にあった、
国内産の台木(根の部分)を使い園芸種の枝(樹の部分)し、
大苗まで国内で育てたのが『国産苗』
簡単に書くとこんな感じです。。。
で、生育はどう違うの? ってことですが、
その前にお客さまに言われる輸入苗のネガティブなご意見を。。。
「輸入苗は花咲く前に枯れる!」
「輸入苗は元気良いと思っていたら突然枯れる!」
大きく分けるとこの2点でしょうか。。
どうしてなのか?答えをお伝えする前に、
国産苗と輸入苗、どういう点でどちらが優れているのか?
比較しながらお伝えしますね~^^
【国産苗】 【輸入苗】
◆樹勢 強い 強いが夏場に落ちる場合も
◆初期成育 簡単で生育旺盛! とても難しく生育が遅め
◆秋の花数 少ない 一年目から秋に咲きやすい
(シュラブ系)
◆樹の大きさ 伸びて大きくなりやすい 国産苗に比べコンパクト
◆がん腫耐性 がん腫が出やすい がん腫はほとんど出ない
これを見ると初期成育と樹勢以外は、
輸入苗が意外と健闘している事が分かると思います。
では何故?輸入苗にネガティブな意見があるのでしょう?
それは輸入苗の初期成育にあった用土や環境管理、水管理が出来てなかったり、
輸入してすぐに販売してしまう事があったからです。。。
初期成育が難しいものを、
経験がない方にすぐに売ってしまったらどうなるか?
「輸入苗は花咲く前に枯れる!」というご意見に集約されますよね。。。
でも、逆に言うと…
輸入苗の初期成育にあった用土や環境管理、水管理を、
それに慣れたプロが行い、
どなたでも順調に育てられるところまで育て販売すれば。。
意外と輸入苗もいいものですよ!
例えばバラの家では、
こんな事もやってます^^
↓こちらは国産苗のイングリッシュローズ
でもって、
↓こちらは輸入苗のイングリッシュローズ!
何が違うか分かりますか?
?
?
?
剪定位置が大きく違うでしょ!!
枝の剪定位置が20cm前後違います。。。
この剪定位置がポイントの1つ!
そして…
バラの家培養土は、(水の管理の仕方にもよりますが)
輸入苗にもあってるので使う用土は両方同じですが。。
鉢の大きさと深さが全然違う!
これがポイント2つめ!
輸入苗の根は少しでも多く残し、
輸入苗の枝は少しでも少なくして株の負担を減らすんです。。
そしてなるべく地際まで剪定し、
株もとから枝を出し、来春出てくる枝は全て国内で出るようなものにするんです。。
また植え付け時期はなるべく年内!
堀りあげてからなるべく最短で植え込み新鮮な状態で植え込むんです^^
ポイントはそれ以外にも色々あるんですが、
企業秘密もあるのでこの辺で(笑)
それらの結果が↓こちら!
株もとから良い芽が出てるでしょ~♪
来春には、ほぼ枝は入れ替わって枝葉に関しては国内産みたいなものです(笑)
枯れてしまったりと、リスクを負うやり方ですが、
購入される方でなくお店がリスクを背負うなら。。
お客さまは喜ばれるだけですしね^^
何よりもがん腫が出づらいのはお客さまも、
お店も誰もが嬉しい事です!
でも出ないって事はないですよ!
輸入苗でもがん腫は出ます。。。
割合の問題です。。
あと輸入苗は好みの問題ですが、
イングリッシュローズの赤黒系とか、発色が綺麗な気がします^^
なんだか輸入苗礼讃!みたいなブログ書いちゃいましたが、
輸入苗の方が素晴らしいと言ってるわけではありません。
今まで輸入苗にあまりにもネガティブなご意見があったので、
このあたりで整理しないとな~^^
思ったので長く書きました!
日本の高温多湿の環境ですと国産苗の方が生育は良いですし、
生産者さんによっては国産苗でもがん腫がほとんど出ない方もいます。。
ですので私達バラ苗販売店は、
その種類の性質やブランド苗の生産者さん。。
それらをよく吟味しながら、
バラを愛されるみなさまへ!
一番良い選択をご提供できるよう、
(それはその方その方違います)
まずはより良い選択を、我々販売店がしなければいけません。。
お客さまのお気持ち。。
メーカーさまのお気持ち。。
生産者さまのお気持ち。。
全て分かるのは販売店だけです!
だからこそ!
お客さまに長くバラを愛して頂けますよう、
販売店は選択しご提供していかなければなりません。。
なんだか休日に長く熱く書いっちゃいましたが、
そんな事を書きたかった年末の夕暮れでした^^
最後に…
「輸入苗は元気良いと思っていたら突然枯れる!」
これは輸入苗は国産苗と同じように水あげすると
水のあげすぎで枯れるからです。。
バラの家では鉢植えの水管理はうるさいくらい注意しています^^
中島さんに「てんちょは鬼!」言われるくらい(笑)
でも中島さんの頑張りで、
この猛暑の夏でも輸入苗は一本も枯れませんでした!
バラも人間と同じで好みがあります。
同じように管理して枯れたではなく、
その子その子を見ながら、好みを把握し水あげする事が大切です^^
それは国産苗でも一緒!
種類や株の大きさによってあげる水の量や肥料の量は違います。。
また地植えの場合は、
地面より20~30cm前後高く植え水はけの良い用土を回りに入れると効果的!
何でもそうですが、
バラとの対話が一番勉強になります♪
バラは何も話しませんが、
新芽や葉や枝のはり、色つやなどで実は語りかけているんです。。。
バラって最高!
大掃除しないと^^;
ローズクリエイター 木村たくのり
最終更新:2012/08/30 15:40
コメント 6件
2010/12/26 20:32:10
我が家の輸入苗
ぷにゃこさん
アニエス・シルジェルとクレア・オースティンが輸入苗ですが、どちらも問題ありません。
アニエスは地植えにしてありますが、病気にかかりにくくコンパクトでかえって輸入苗で良かったな、と
思っております。確かに最初は成長が遅かったですけど、一年を超せばまったく問題なしです。
てんちょのおっしゃるように、その薔薇ごとに語りかけてくるので、その言葉に従ってお手入れしてます。少しづつ薔薇語がわかりかけてきた今日この頃。来年はもっとおしゃべりしたいな。
2010/12/26 20:49:35
輸入苗と国産苗
まねき猫さん
初めまして、です。私も購入希望の苗が輸入苗との事だったので、掲示板で違いについて質問させて頂いた事があります。その時に難しい初期管理をお店の方でやって頂いていると教えて頂き、安心して予約致しました。
今回、てんちょさんのブログで詳しく、具体的に教えて頂いて、こんなに管理を変えて見ているんだ~!と、とっても驚きました。来春に家に届くのがとても楽しみです。てんちょさんの熱意が伝わってきたのがとても嬉しかったので、コメントを書かせて頂きました。私もバラとお話しながら、大切に育てて行きたいと思います。
2010/12/26 20:58:31
我が家の輸入苗と国産苗
a-i0243さん
我が家にも、ERとデルバールの国産苗&輸入苗がありますが、
生育状況はどちらもあまり変わらない気がします。
店長がおっしゃったように、どこのお店で購入したか?の方が
違いがはっきり出る気がしました。
国産苗だけを販売するお店で何鉢か買った苗は、期待していた程の生育ではなかったですし。。
輸入苗でも、国産苗でも、どちらでも気にしませんが元気で花付きの良い苗が嬉しいかも♪
2010/12/27 06:28:20
なるほど!!
さくらskuraさん
詳しい説明ありがとうございます!!
知りたかった本当のことがわかると、今後も苗を育てやすくなります!
なるほどなるほど!
そして、てんちょさん含め、スタッフの皆様にも感謝感謝です!!
2010/12/27 17:57:35
わさびみたい!
karamomoさん
既に国産予約苗届いていますが
株元がすごくキレイにチェックされてる
そんな感じがビシビシ伝わってきましたよ~!^^
昨年お迎えした輸入台木苗は
四方に枝が良いバランスで出てこんもり育ったので
強剪定真似してみようかな…参考になりました^^
あとは
濃赤のERも少しお迎えしたのですが
台木による色味の違いというのをぜひ見てみたいです~^^
2010/12/28 01:02:55
読みごたえあり!
クラウディアさん
今回のブログは読みごたえありましたよ(^^)見ごたえのある写真も、もちろん良いのですが、長文もまた良いものです。バラのプロフェッショナルとしてのてんちょの熱意が伝わってきました。