Beoplay EX

Bang & Olufsen「Beoplay EX」の⾳はとことんニュートラルで上質。
ルックスもハイクラスな完全ワイヤレスをレビュー

2023/12/07 ⼭本 敦

デンマークのプレミアムオーディオブランド、Bang & Olufsen(バング・アンド・オルフセン)は間もなく創⽴から100周年を迎える。いつの時代も先⼈が継承してきた伝統に敬意を払いながら、最先端のオーディオテクノロジーも貪欲に採り⼊れてきたBang & Olufsenは、2017年に当時いち早く左右独⽴型の完全ワイヤレスイヤホン「Beoplay E8」を発売した。今回は、その系譜を継ぐ最新モデルの「Beoplay EX」を紹介しよう。

Bang & Olufsen「Beoplay EX」 価格:47,900円(税込)

Beoplay EXの製品仕様:スティック型デザインで通話もより⾼品質に

Bang & Olufsenのオーディオプロダクトの共通点は、すべてのモデルがエレガントなサウンドとデザインの融合を果たしているところにある。Beoplay EXもその例外ではない。

E8は正円形のカナル型デザインだった。最新モデルのBeoplay EXでは、ブランドの左右独⽴型の完全ワイヤレスイヤホンとして初めてスティック型デザインを採⽤した。イヤホンは本体の側⾯にタッチセンサー⽅式のリモコンを内蔵している。操作に対する感度は最適化されているが、さらにスティック部分に指を添える形でケースから取り出して、⽿に着脱するように取り扱えばリモコンの誤操作が防げる。このような配慮も新デザインが採⽤された背景に垣間⾒える。

スティック型デザインは、Bluetooth接続の安定性や通話性能の向上にも寄与

また⽚側に3基を内蔵するハンズフリー通話⽤のマイクも、スティック側に2基をレイアウトし、可能な限り⼝元近くにまで距離を寄せた。声を正確にピックアップすることが狙いだ。

⾳声通話時にはユーザーのバックグラウンドノイズをフィルタリング処理により削減して、ユーザーの声が聞きやすくなるように調整する「オウンボイス」の機能が稼働する。筆者も家族にイヤホンを装着してもらい、内蔵マイクの⾳質を試してみた。

ユーザーの声の輪郭を明瞭に捉えながら、⾳像を前⽅に⼒強く⽴体的に定位させ、Beoplay EXを装着しているユーザーの通話⾳声は実体感が鮮やかで聞きやすかった。ビデオ通話等のコミュニケーション⽤途にも適していると思う。

Beoplay EXにはBang & Olufsenのカスタム設計による9.2mmダイナミックドライバーが内蔵されている。本体のデザインをスティック型としたことで、バッテリーやマイクをスティックの中に集めて、⼤⼝径ドライバーを格納するハウジングの容積を⼗分に確保できているのだ。

イヤホンのハウジングは、⽿に触れる内側の形状に柔らかな丸みを持たせることにより、とても⼼地よいフィット感を実現。左右サイドのタッチセンサー部分にはガラス素材のフェイスプレートを被せている。

ガラス素材のフェイスプレートは、光に当たるとキラキラと輝いて美しさが増す

筆者が試⽤したカラーバリエーション「Anthracite Oxygen」は、メタリックブルーのフェイスプレートがクールで美しい。プレートの周囲は誤操作を防ぐため、アルミニウムのリングを配置して少しかさ上げしている。

着脱可能なシリコン製のイヤーピースはXS/S/M/Lの4サイズと、コンプライのフォームイヤーチップのMサイズを同梱する。ほかの市販品との着脱交換もできるので、ユーザーの⽿に最も⼼地よいフィット感に調整したり、パッシブな遮⾳性能を⾼めることも⾃由⾃在だ。

また、Beoplay EXはアクティブノイズキャンセリングと外⾳取り込みの機能を備え、それぞれの設定をiOS/Android対応のモバイルアプリでカスタマイズできる。 Bluetoothオーディオのコーデックについては、aptX Adaptiveのほか、AACとSBCをサポートしている。

内蔵バッテリーによる最⼤再⽣時間はAACコーデックによる接続でノイキャンをオンにした場合で約6時間、オフなら約8時間。充電ケースのバッテリーにより最⼤2回分のチャージができる。ケースのチャージはQi互換のワイヤレス充電にも対応する。

Beoplay EXのサウンド:⾳楽ジャンルを問わない原⾳に忠実な⾼⾳質

今回、試聴はiPhone 15 Proを接続して、Apple Musicで配信されている楽曲を聴いた。

伝統と最先端の融合により、最⾼の結果を導き出すBang & Olufsenのクラフツマンシップは、その「⾳づくり」に最も⾊濃く反映されている。

原⾳に忠実でニュートラル。歪みなくクリアなバランスで、⼼地よく⾳楽を楽しめる

原⾳に忠実でニュートラルなバランスが、あらゆるタイプの⾳楽と⾃然に馴染む。⾳場が豊かに広がり、奥⾏きが深く⾒渡せる。

ヒラリー・ハーンの『パガニーニ:24の奇想曲第24番』ではバイオリンの華やかで透き通る⾳⾊に魅了された。Bang & Olufsenのオーディオプロダクトは弦楽器との相性がとても良く、細かな⾳を⼒強くしなやかな線で描ける。

Vaundyのアルバム『replica』から「トドメの⼀撃」では、ボーカルの⼒強さが満ちあふれる。原⾳に対して忠実でありながら、⾳楽のエネルギーを余すところなく存分に引き出す⾳づくりもBang & Olufsenならでは。コリー・ウォンが演奏するギターのカッティングも粒⽴ちが鮮やかで⼩気味良い。ベース、ドラムスの低⾳は⾁付きがよくタイト。⽴ち上がりが鋭く、⽣演奏を⽬の前にしながら聴いているような緊張感が漂ってくる。

上原ひろみのアルバム『Sonicwonderland』から「Up」を聴いた。ピアノのメロディが伸びやかに歌う。S/Nがよく、歪みのないサウンドが⽴体的な⾳場の隅々にまで広がる。トランペットのシルキーな質感、温かみに満ちた余韻にも息を呑んだ。演奏者の体温を感じさせるサウンドだ。

奥⾏きまで⾒渡せる、⽴体的な⾳場の再現⼒も⾒事だ

エレキベースの熱量もぐんと前に迫ってくる。ドラムスのリズムが刻む精緻なリズムがすこぶる安定している。ドラマー、ジーン・コイのパワフルでありながら繊細なスティックさばきの様⼦が⽬に浮かぶようだ。

Bang & Olufsenのオーディオプロダクトは、とことん原⾳に忠実でニュートラルなバランスを特徴としている。楽しむ曲によっては、モバイルアプリの「Beosonicイコライザー」を活⽤して思い思いのチューニングを加えてもいい。

サウンドモードはデフォルトの「最適」のほか「Sport」「Commute」「Clear」「Podcast」の5種類をプリセットとして⽤意している。カスタマイズした設定値は1件を保存して、プリセットのどれかひとつと⼊れ替えることで繰り返し使える。

ブライト/ウォーム/リラックス/エネルギーの4象限マトリクスの中で、任意の場所に⽩いポインターを移動させながら、プレビューを聴いて好みのサウンドに追い込める仕様を以前のアプリから継承している。

ノイズキャンセリングとトランスペアレンシーはそれぞれ、強度を3段階で調整できる

Beoplay EXのノイズキャンセリング機能については使⽤環境に合わせてレベルを⾃動調整する「アダプティブANC」がデフォルトでオンになっている。

基本はこの機能を活⽤する⽅向で良いと思う。⾳楽に深く没⼊できるバランスを重視したナチュラルな消⾳効果がとても好印象だ。

モバイルアプリには、ノイズキャンセリングとトランスペアレンシー(外⾳取り込み)のレベルを任意に調整できる機能もある。スライダーを左右に動かして、1から3の三段階で強弱を調整する。環境⾳の聞こえ⽅がとてもクリアで、ノイキャンからモードをシフトした時にも⾳のバランスが崩れない。⾵騒⾳の低減機能も野外でのリスニング時に重宝した。

Beoplay EXはサウンドと機能、ルックスまですべてがゴージャスな完全ワイヤレスイヤホンだ。アクセサリー感覚で⾝につけられるスタイリッシュさだけでなく、アルマイト処理を施した上質な仕上げのアルミニウムケースは、スムーズに開閉するフタのハンドリング感までもが⼼地よい。⾳楽を愛する⼤切な友⼈への贈り物にも最適だ。価値ある体験に触れてみてほしい。

⼤切な⼈へのプレゼントにも薦めたい、デザインにも品質にも優れた⼀台だ

(掲載元:PHILE WEB)