2016.7.7

革について

革と合皮、どう見分ける?

エイジングが楽しめ、使い込むほどに愛着が増す革製品。メンテナンスフリーの使いやすさが嬉しい合成皮革。どちらも魅力的ではありますが、パッと見ではどちらか判別しにくいものもあります。見分けるポイントをご紹介しましょう。

そもそも革と合成皮革って?

革小物の表示でよく見かける「革」とは、動物の皮を革にしたもの。そもそも、動物の 「皮」は、そのままだと腐ったり、固くなってしまったりします。それをなめし加工することで、長くしなやかに保つことができる「革」になります。牛を始め、馬や豚、羊といった定番のものから、ヘビやトカゲといったエキゾチックレザーと呼ばれるものまで、すべてが「革」に分類されます。その中でも、「本革」とは銀面があるものを指します。皮をなめして染色しただけの革となり、銀付き革・本染め革とも呼ばれます。

革の魅力は使い込んでいくうちにエイジングによって味が出てくること、そして丈夫なことが挙げられます。
ただ、水やカビに弱く、定期的なメンテナンスが必要ではあります。

一方、合成皮革は「PUレザー」「合皮」「フェイクレザー」などと呼ばれることもあります。布の上に合成樹脂を塗り、革の風合いを出したものです。「PU」というのはポリウレタンの略。それ以外にも、塩化ビニールを使うこともあります。

 合成皮革は耐水性に優れ、汚れがつきにくいのが特徴です。忙しいビジネスマンにとっては、メンテナンスフリーというのは大きな魅力でしょう。ただ、ポリウレタンは空気中に含まれる水分と結合して劣化する性質があるので、寿命は3年程度と短めです。

見分け方1 断面を見る

動物の皮は基本的に、太い繊維や細い繊維が縦横に絡まり合ってできています。ベルトの穴やバッグの持ち手など断面が見える場合はそこをチェックしてみましょう。毛羽立ったり、しわが寄ったりして見えるようであれば本革です。

合皮の場合は、断面部分に厚く塗料が塗ってあるだけの場合が多いようです。財布の内側など切りっぱなしのところを見ると、合皮の場合は布地の断面が見えることもあります。

見分け方2 におい

一番わかりやすいのが、単純なようですがにおいでチェックすること。 どんな動物の革でも、本革の製品は独特なにおいがあります。手持ちの革製品のにおいを嗅いで確かめておくと、店頭で見分ける際はとても便利です。合皮の場合は、ビニールっぽいにおいがしたり、無臭だったりします。

見分け方3 もやす

なかなか機会はないかもしれませんが、燃やせばすぐに判別できます。本革は、燃やすと有機物(たんぱく質)が燃える牛乳のようなにおいがします。一方、合成皮革はプラスチックを燃やしたような(化学物質が燃えた)ツンとくるにおいです。

見分け方4 毛穴を見る

本革はもともと、毛が生えた動物の革。なめしの過程で処理されますが、ライトの下でよく見ると毛穴が見えるものがあります。合皮にはこの毛穴がありません。ただし、加工の方法によっては毛穴が見えにくい本革製品もあります。

最も確実なのは、表示を確認すること

店頭でもネット通販でも、確実に見分けるためには表示の確認が第一。表示は必ず確認しましょう。とは言っても、ネット通販となると、確認したくてもできないということがほとんどではないでしょうか。そんなときの判断基準の一つとしておすすめしたいのが、本革と表記されている場合に、皮革名とお手入れ方法が明記されているかを確認すること。

というのも、旅行かばん、事務用かばん、ランドセルといったバッグの場合、家庭用品品質表示法により外面積の60%以上が銀付き革(表皮付きの牛革)の製品は「皮革名」と「お手入れ方法」を明確に表示することが定められています。

適切な表示方法で販売を行っている優良店舗であれば、本革製品の場合には必ずこれらの表記がされているはず。ただ、ネット通販で販売されている商品の中にはついていないものもあるようです。

まずは、販売ページ内で表示の確認をし、それでも分からない場合は、店舗に問い合わせて確認しましょう。
※ハンドバッグや財布等の袋物は対象となりません

<素材について>
・「牛革」「馬革」「豚革」「羊革」「やぎ革」のものについては、その皮革名を用いる。
・これら皮革のうち二者あるいは三者の混合のかばんは、それぞれ「牛革・馬革混用」「牛革・豚革混用」「馬革・豚革混用」「牛革・馬革・豚革混用」「床革(皮革を二枚にそいだ場合の表皮の付かない内側の革)」の用語を用いて表示する。

<お手入れ方法及び保存方法>
次に掲げる事項を製品の品質に応じて適切に表示する。
《イ》素材にあったクリーナー、クリームや中性洗剤などで手入れをする旨。
《ロ》濡れたときは、陰干しで乾かす旨。
《ハ》保存するときは、湿度の高い場所を避ける旨。

専門バイヤーが答える! バッグのお悩み解決コーナー

お客様から寄せられる悩みを疑問を、 Transicスタッフ山家が質問するお悩み解決コーナーです。

今回のテーマ 「プロはどうやって合皮と革を見分けるの? 」
  • スタッフ 山家 「最近は高品質な合皮も多くなったと聞きました。でもやっぱり革のバッグを持ちたい!プロはどうやって見分けているんですか?」というご意見をいただきました。私はいつもにおいで判断しています。燃やしてみればわかるという話もありますが、そもそもやりたくありませんよね(笑)川端さんはどうですか?
  • 専門バイヤー 川端 パッと見た目で革と合皮を見分けるのは、やはり難しいです。においや、断面を見たり、タグなどの表示を確認するのが一番確実だと思います。革は、同じ原皮でもタンナーの個性や工夫が加わると、似たような工程をたどっても、些細なつくり方の違いで多様な表情が生まれます。また、デザインや、革のどの部分を使用するかによっても、ひとつひとつ違った仕上がりになります。それが天然素材ゆえの面白さですよね。たくさんの革と出合い、スタイルや気分に合わせて自分好みの革を見つけてください!

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最近人気の「サフィアーノレザー」って?

  • サフィアーノレザーとは、牛革に型押し加工をしたものです。非常に複雑で細かな押し型を使うため、手間と熟練の技が必要とされています。高級ブランドのバッグや財布によく使われており、汚れや傷がつきにくく、比較的型崩れもしにくいのがメリット。
    また、革は水に弱いのが難点ですが、サフィアーノレザーは撥水性があり、雨に濡れても水気を拭き取ればシミの心配もさほどせずに済みます。ただ、その分エイジングはしないので、“育てる楽しみ”を求める方には物足りないかもしれません。お手入れはブラシでホコリや汚れを払った後、クリームを塗って再度ブラッシング。乾拭きをして仕上げます。