採寸のポイント〔実践編〕

着物や長襦袢を仕立てる際に、その寸法をどのように決めるのか
これは、着易く仕立てが出来るか否かの大きな要素となります。

従って、当店にてお仕立てをお受けする場合は適切な寸法をお知らせいただく必要が生じてきます。

採寸するのには、主に2つの方法があります。

    1. その1
      身体から直接採寸させていただき、そこから寸法を割り出す方法


      この方法は、主に初めて着物や浴衣を誂える時に採る方法です。
      但し、毎回この方法でその都度寸法を決めると、微妙に寸法の異なる着物や浴衣が何枚も出来てしまうことがあります。

    2. その2
      既にお客様のお手持ちの着物や長襦袢から寸法を測り、同じ寸法に仕立てる方法


      お手持ちの中から、着心地の最も良い着物・浴衣を採寸して、ピッタリと同じ寸法にて仕立て上げれば、全て寸法が揃うことになります。

      羽織やコート・長襦袢を使いまわす時には袖丈・裄そして肩巾袖巾の振り分けが合っていないといけませんから、この方法がオススメです。

      但し、未だ1枚も持っていないもん!という方には、その1の方法しかダメになります。

そうそう!お手持ちの着物を採寸する場合、注意をしておかなければならないこと!
既製品仕立てのプレタの着物や絵羽と呼ばれる裾模様の着物の場合の身巾はあまり参考になりません。
と言うのは、プレタの場合は縫製ラインの効率を上げる為に身巾を広く作ってあることが多いからです。
また、絵羽の着物(留袖・訪問着・振袖など)は裾の柄合わせを優先させる為、やはり身巾を広く作らざるを得ないからです。

では、具体的にどのように仕立て寸法を決めていくのか・・・?と言うことになりますが
誂え(オーダー仕立て)にて、初めて作るときには
まず、浴衣を作られることをオススメしております。

この時は、採寸方法 その1で測ります。その時のポイントは以下の通りです。

ご自分一人では、測ることが出来ませんから誰かに手助けしていただくことになります。

実際に測るのは裄になります。着物の場合で長襦袢も仕立てる場合は襦袢丈もメジャーをお客様の身体にあてがって測ることになります。

  • 裄の計り方
    • 首の後ろ側の付根の部分にグリグリした処がおります。そこにメジャーの0cmを合わせそのままメジャーを肩に沿わせ伸ばしてゆきます。

      そうそう、その時には手を斜め下45°に広げて置いてくださいね

      メジャーを腕の付根のところで一回留めて、そこから45°に広げた腕に添わせて更にメジャーを伸ばしてゆきます。

      手首のグリグリの手前までの処まで伸ばして、その長さを測ります。

      手の位置は斜め下45°です。
      手を真横に伸ばした場合は採寸した長さが短くなりますし、真っ直ぐ下に伸ばした場合は45°の場合より長くなります。

      雑誌や着物のパンフレットでモデルさんが着用している姿を見ると、 真っ直ぐ下に伸ばした腕の手首に袖口がかかるくらい裄の長い着物を着ていることを見かけますが、 これでは実際のところ長過ぎです。

      これには、裏話があります。いづれ丁稚塾でこっそり教えます。

    で、話を戻しますが・・・

  • 長襦袢丈の計り方
    • こちらも、裄と同じように首の付根のグリグリのところにメジャーの0cmを合わせます。
      今度は、下に向けて背中の中心線に沿うようにメジャーを伸ばします。

      腰のくぼみで、一回押さえて、更に下方にメジャーを伸ばしてゆきます。
      両足のくるぶしを結ぶラインまでの長さを測ります。これが「背から」の長襦袢丈となります。

      長襦袢の実際の丈は肩の辺りの肉付きによっても左右されます。

      もっと良いのは、見本の長襦袢を実際に着用してもらい、腰紐もしっかり結んだ上で 裾の来るラインを見定め、見本の長襦袢より○○cm長くとか、短くとか決めた上で 長襦袢丈を決定する方法です。
      見本の長襦袢の丈はどう測ればよいのか?・・・これは後で説明します。

  • その他の寸法
    • 身丈は身長から、身巾はヒップサイズ(一番長くなるところの寸法)から割り出します。


    この辺りについては、「採寸のポイント〔概論〕」を参照してください。

    このような採寸方法で決められた寸法にて仕立て上げられた浴衣を、ひと夏 お召しになって下さい。

    着易く、不都合が出なければ それがその方の仕立て寸法の基準になります。
    やっぱり、裄が短かったとか、丈が長過ぎた・・・なんてことがあったら次回仕立てる際の寸法を微調整します。

    そのような過程で決まったベスト寸法は、呉服屋さんの場合 大抵 控えが保管されていますから、 次回も同じ呉服屋さんで作る場合には、「この前の寸法と同じで・・・」 とか、「丈を3cm長くしてください」などと指示をすればきっちり仕立て上げてくれます。

    それでは、今手持ちの着物の寸法を基準に前回買った呉服屋さんとは違う呉服屋さんに 仕立てを依頼する時には、仕立てあがった着物や浴衣・長襦袢から物差しで、計ってもらうことになります。

    これが、その2のパターンです。

    呉服屋さんの実店舗で買い物をして仕立ててもらう場合は見本の着物を持ち込んでお店の人に測ってもらえば OKですが、ネットでの買い物の時のように持ち込めない時にはご自身で、測ってもらう必要があります。

    以下、その手順を解説してゆきます。
    まず前提として、着物をピチッと畳んで置いてください。

    長くなりますが、しっかりマスターしておいてください。





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