【スマートな靴の脱ぎ履きとは】


みなさんは普段、どのようにして靴を脱ぎ履きしていますか?
ひもを解いて、靴ベラを使用するという方はどの程度いらっしゃるでしょうか?
店頭に立っていて「ひもをほどいての脱ぎ履きなんて面倒くさい。」というお声をよく耳にします。
たしかに、お気持ちはとてもよくわかります。
ですが、ひもをほどかずに靴を脱ぎ履きするということが、靴の寿命を縮めてしまっているのです。

今回は意外に知られていない『靴の正しい脱ぎ履き』について解説していきます。


ひもをほどかないのは何が悪いの?


ほとんどの靴はひもをほどき、履き口を広くとって脱ぎ履きすることを前提に設計されています。
そしてひもをしっかりと縛った状態で成形されます。
ひもをほどかないということは履き口が狭い状態で強引に足を出し入れしていることになります。
少し大袈裟な言い方ですが、『靴の本来の設計に反した行い』ともいえます。靴に対して大きく負担をかけることになり、型崩れに繋がったり、最悪の場合はひもを通す穴(アイレット)が裂けてしまうこともあります。
また、履き口やかかとに入っている芯材が潰れてしまい、履き心地が悪くなる場合もあります。


01.ひもの通し方を変えてみる


革靴購入時は、ほとんどの靴が「シングル」というひもの通し方になっています。
この通し方が最も早くひもを通せるため生産効率を上げるために「シングル」になっていることが多いのですが、実は「シングル」はひもの操作がしにくいのです。その結果ひもをほどくのが億劫に感じてしまうことに繋がっているように思います。

私たちがおすすめしているのは「パラレル」というひもの通し方です。
「パラレル」にしていると上から2列分のひもを同時に引っ張ることでひもが緩み、簡単に履き口を広げることができるので、しっかりと足入れの広さを確保できます。締める際は、2列同時に引っ張るだけです。ひもの操作が簡単なためスムーズな脱ぎ履きにつながります。

今まで「シングル」でひもをほどく事を億劫に感じていた方はぜひ一度「パラレル」にひもを通し変えてみてください。

▼動画でパラレル結びの通し方を見る


02.靴ベラを使わずに指を添わせて履いている?


靴ベラを使用せずにかかとに指を添わせて履いている方をよく目にしますが、指を添わせて履いてしまうと履き口が変形してしまう恐れがあります。

とくに、履き口周りにクッション材が使われていない革靴の場合、履き口が変形しやすく見た目も悪くなります。かかとに接する部分(カウンターライニング)がボロボロになっている方はこの履き方が原因の場合が多いです。

カウンターライニングの修理になると、片足だけで2,000円前後かかってしまいます。余計な修理費をかけないためにも靴ベラを使って履くことはとても重要です。


03.靴ベラの使い方/種類


靴ベラはかかと部に添わせる程度で構いません。奥まで入れてしまうと足を入れた際、靴ベラが抜けにくくなります。
あくまでも履き口を潰さず、足入れをスムーズにするための補助的なアイテムです。



靴ベラは素材や大きさの違いでたくさんの種類があります。


■木製のものは柔らかく表面が滑らかです。色合いの経年変化を楽しめるのもポイントです。

■アルミ合金やステンレスなどの金属製のものは、耐久性に優れており長い間使うことができます。携帯できるサイズの商品にもよく使用されています。

■革製のものは、豊富なカラーと型押し加工された商品などファッション性の高さが魅力で、木製同様に経年変化を楽しめるのもポイントです。

■プラスチック製のものは、カラーやデザインがユニークな商品が多くあり、安価に手に入れることができるので、「まずは試しに」という方におすすめです。

また、長さのあるものはかがまずに使用できるので、玄関などにあると便利です。スタンド付きのものや、玄関のドアにくっつくマグネット付きのものなど、インテリアにもなるおしゃれな商品が人気です。

ビジネスマンにおすすめなのは、携帯するのに便利な小さめの商品です。キーホルダータイプや、持ち手が折りたたみ式のものなど、ポケットに入る小さなサイズの商品が人気です。
豊富なカラーとデザインがあるため、プレゼントとしても喜ばれます。

04.脱ぐ際の注意点


左右の靴をすり合わせて脱ぐ方もよく目にします。
ですが、この脱ぎ方では靴のかかとや側面に傷がついてしまいます。ひもをほどき緩めた状態で靴のかかとをしっかりと持ち脱ぐことを心がけましょう。


まとめ


今回は靴の脱ぎ履きという誰もが日々、無意識に行なっていることに注目して解説しました。

『ひもをほどき緩める』、『靴ベラを使う』この2つを実践することが靴の寿命を大きく延ばします。

ショップのスタッフとして日々お客様の靴の脱ぎ履きを目にしているのですが、ひもをほどいて脱ぎ履きされている方は、服やカバンなども大切にされている方が多く(高価なものもそうでないものも)、とても上品でスマートに見えます。

最初は面倒かも知れませんが、「ひもをほどいて脱ぎ履きする」と言う動作だけで、靴の寿命を大いに伸ばす事に繋がります。ほんの少しだけ靴にも時間をさいて頂ければ嬉しいです。

余談ですが、まれにひもの端を内側に入れて履かれている方をお見かけします。
店頭に並んでいる靴はキレイに見える様に、ひもを内側に通してディスプレイされていることが多いです。
着用時のひもの通し方とは異なりますので、実際に履かれる際は靴ひもは外側にだして履いてください。

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