瀬戸内のほぼ中央、広島県の東南部に位置する尾道市。海を望む階段や坂道、路地越しに見える尾道水道、点在する寺院など、歴史を凝縮した景観が魅力です。
after-endはこの町を拠点に、尾道の魅力をお届けしたいと思っています。そして、この町にある、たくさんの魅力的な人やお店をROUND ONOMICHIを通してご紹介していきます。いつか尾道に来る人のためのガイドとして、今尾道に来ている人が楽しく尾道を旅できる羅針盤となりますように。
前回【ROUND ONOMICHI#9-1 一緒に作ろう!新一年生ROOM:親子で楽しもうDIY編】に引き続き、「理想のお部屋ってどんなのかな?」をテーマに、
親子で新一年生のお部屋を作ってまいります!
(コラムを書くのをモタモタしていたらあっという間に先日入学式を迎えてしまい
すでに新一年生になっていますが・・・)
気にせずゆっくりお部屋づくりをしていきたいと思います!
さて、前回もお話ししましたが、私の頃はキャラもののTHE学習机。
それを思い出しながら自分の子どもにはどんなお部屋環境がいいのか色々と考えました。
そのきっかけとなったのが、前回ご登場いただいた青山さん宅の学習机。
無垢の木材でできた広くてシンプルな机。
それを見たときに「これこれ!」と思ったのが始まりでした。
今回はその机ができて我が家に来るまでをお届けします。
一番のキーワードは、机の面が広いものがいいなということでした。
私は美術系大学の出身なのですが、1人に与えられる机がすごく広いのです。
例えるなら小学校の机4つ分くらいの広さ。
大学生になったばかりのころ、あまりの快適さに驚いたのをよく覚えています。
学習机を用意するとなるとつい「勉強する環境」ばかりを考えてしまうけれど、机って他のことにもたくさん使いますよね。
お絵描きしたり・・・粘土したり・・・
もちろん勉強も大切だけど、自分の世界を広げる場所でもあるなと。
ここからたくさんのものを生み出してほしい。
そう思って装飾は一切ない、無垢素材の広い机を探しました。
・・・て、これがないんですよ。
程よいものが。
あっても子どもに与えるような値段ではなかったり・・・。
モヤモヤしているところに青山家の机と出会ったのです。
早速、青山さんにデザインを起こしていただきました。
そして、製作は尾道の倉谷木工所さんで行われることに。
製作には1か月ほどかかるということだったので楽しみにしていたところ、
なんと製作現場も見せていただけることに。
木工所に子どもと入れることなんてありませんから、貴重な体験です。
主役の子どもたちと一緒に、いざ机が作られている現場へ!
木工所に入ると、さわやかな木の良い香りが。
そこかしこに置いてある木材は、職人さんの手でそれぞれの用途に合わせて加工されるのを待っています。 我が家に迎える予定の机は、それぞれのパーツを切り出して表面を削っているところでした。
これは、「ほぞつぎ」と言われる接合方法だそう。ぴったりはまる凸(ほぞ)と凹(ほぞ穴)に加工された接合部分を組むというシンプルだけど強度が非常に高い技法です。
最近は釘やビスなどで作られる安価な家具も多いですが、こうやって職人さんが伝統と技で丁寧に仕上げていくところを目の当たりにすると、職人さんの素晴らしさやものづくりのおもしろさ、何より手作りの家具の良さを感じますね。
「わ〜すべすべ〜。すご〜い。」と、嬉しそうな娘。
この写真を見て、あれ?脚がなんだか多くないかな?と思った方!
そうなんです。
木は、削り出してみないとどんな表情なのか最後まで分からない部分があるそう。節や空間があると、見栄えや加工の問題で使えないことも。それは削ってみて初めて現れることもあるので、あらかじめ多めに脚を作るんだそうです。ここにも職人さんの細やかな気遣いと魂を感じました。
さて、それから2週間。ついに子ども部屋に学習机が入る日がやってきました。子どもたちもワクワクどきどきで、ずっと小躍りしています。
なんて素敵な佇まい。シンプルだけどかわいらしさもあって、とてもいい感じです。
壁側の面にある縦の面は、向こう側に物が落ちるのを防ぐためだそうです。デザインだと思っていた私は、思わぬ高機能に目からウロコです。
「女の子の机だからデザインにアーチを取り入れたり、全体的に丸みのあるものにしたんだよ」
と青山さん。
「この丸みやアーチに職人さんのセンスが出るんだよ〜〜」
とも教えてくれました。
もちろん娘もピカピカすべすべの美しい机に駆け寄り、頬ずり。
天然オイル仕上げだから肌触りも気持ちいいのです。
早速いろいろ飾ってみます。マイ机が初めてなのでどう接していいか分からず、とりあえず気に入っているものを順番に並べています(笑)。
広い天板でたくさんの物が置ける学習机になっています。理想のお部屋にまた近づきました。
さてこれからここでどんなストーリーが生まれるのかな?
とても楽しみです。
いよいよ最終話第3弾はイス編。
(続く)
↓前回【ROUND ONOMICHI#9-1 一緒に作ろう!新一年生ROOM:親子で楽しもうDIY編】
《住所》尾道市向島町1943
《電話番号》0848-51-5423
《WEB》http://mountainblue.jp/architree/
《業務内容》
◯建物の新築、改修、リノベーションの設計・監理
◯インテリア、家具などの設計、製作、販売
◯マルシェなど人が集う場所の会場デザイン
美しき瀬戸内文化圏の住環境を豊かにしたいと建築活動中です。
《住所》広島県尾道市山波町3068−35
《電話番号》0848-46-0444