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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その71 透ける単衣の羽織」

羽織って着物だけだと寒いから防寒の為に着るものでしょ!

なんて、この世界に入る前の私は思っていました。

そしたら、透ける素材で作る羽織やコートがあるじゃないですか!
当時、丁稚だった私は考え込んでしまいました。

女物の場合、塵除けの羽織・コートとして5月位から着物が袷でも お召しいただくことが出来ます。

女物の羽織の場合、正式な場所では着用しないものとされています。
従って、羽織を着用するのは略礼装或いはカジュアルの時。

そんな位置付けの為、塵除けの羽織或いはコートと言った何とも 洒落た着用方法が生まれたのかな・・・なんて考えます。

そう言えば、透ける素材でも絽ではなく紗や羅の生地を用いて羽織を 仕立てる場合が多いようです。

絽より透け具合の大きな組織の粗い織り方の生地は、下に纏った 着物や帯の表情を柔らかく包みながらもその存在感を意識させる 絶妙なコントロールをしてくれます。

その一方、
男物の場合は女性の場合と少し意味合いが異なってきます。

男性の場合は紋付羽織袴と呼ばれるように羽織を着用するのが正式と なり、改まった席では羽織の着用が必要。

夏でもちゃんとジャケットを着てネクタイ結んで・・・と言うのと 同じです。

そのため、盛夏用の羽織を作る場合は平絽の黒で注文を受けることが 多くなります。

当店の近郊の地域では、夏の神事の際にその神社の氏子の役員の方は 白絣の着物に黒の絽紋付の羽織を合わせてお召しになるので、それ用 にと黒の絽の男羽織を作らせて頂くことがあります。

だから、羽織は寒いから着るばかりじゃないんです。

頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


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