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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その61 六通とお太鼓」

今日も帯の話です。


六通柄、全通柄・お太鼓柄と言った言葉を販売の際に耳にしたことがあると思います。

これって何のことか分かりますか?

袋帯の場合も名古屋帯の場合も同じように使いますが、これは 柄の配置の仕方を示す業界用語になります。

現代の帯の結び方で最もポピュラーなのがお太鼓結びです。
これは、帯巾一杯に腰の後で柄の出るように結ぶ結び方で名古屋帯・ ご年配の方の礼装時の袋帯の結び方は殆どがこれです。

また、帯における背中のお太鼓部分に来る箇所が、ほぼ一定になる のがこの結び方の特徴でもあります。

振袖などの場合は、ふくら雀や文庫結びもありますがが、変わり結び と言われる創作結びで花弁や蝶を形どった華やかな結び方をする場合も 多くなりました。

話を戻しますが、この結び方の違いが今回のテーマに関わって来ることになります。

全通と言われる柄の置き方の帯は、帯の端から端まで全て柄が織り 出されたタイプの帯になります。

胴に巻く際に内側に入るため、外からは見えない部分にも柄が施されて いますので、贅沢な作りの帯と言えるでしょう。

六通の帯は、全通で言うと胴に巻く為に隠れてしまう部分の柄を省略して 無地にした帯になります。

そのため、全通の帯と比較して同グレードの仕事でしたら、中を省いた分 値打ちに織り上がります。

合理的な発想で作られた帯ですね。

全通・六通とも、柄は同じパターンを一定間隔で繰り返したものになります。

ですから、振袖や若い方の訪問着に変わり結びで用いる帯は このタイプになります。

それに対して、お太鼓柄の帯は 後でワンポイント 腹の前に見える 部分でワンポイントと柄付けがなされています。
おまけに腹に回る部分は柄が横向きになっています。

後姿が全体的なパターン柄ではなく絵画を背負ったような印象に 見えるのは、この手のタイプになります。

染め帯や、綴れ帯などにはこのタイプが多いようですね。

織りの帯の場合は、全通・六通の場合は紋紙といわれる織り上げる パターンを作るのに必要な用具を何度も繰り返し使いながら柄を 織り上げて行きます。同じ柄の繰り返しですから・・・

それに対し、お太鼓柄の場合は 後の部分と腹に出てくる部分の 2種類の紋紙が必要となって来ます。

じゃあ、どちらが高価なのか?となりますが、一概には言えないようです。

帯の価格を決めるのは、全通・六通・お太鼓柄のいづれか?と言うこと ばかりではなく、他にも色々なファクターが関係するからです。

・・・・で、呉服屋が注意しておかなくてはならないのは、 振袖などに変わり結びで華やかにしたいとお考えのお客様には お太鼓柄の帯をオススメしてはいけないということです。

着付けの際に、大クレームになること 請け合いですから・・・

袋帯の場合などは、販売の前にどれが六通でどれがお太鼓柄なのか 在庫の事前にチェックが必要です。

普段から、片付けの際に注意しておくように・・・

頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


明日の第4時限も 頑張る予定です。付いてきてくださいネ


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