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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その49 男の着物のしくみ」 

今回も、前回に引き続き男物のきものに関する考察です。


男物には色柄の流行の無いベイシックなものが多いというのは先述の通りです。

ですから、一生ものであるばかりではなく、うまく手入れをすれば 2世代3世代と譲っていくことが出来ます。

男物は対丈で着てもらう形になりますから身丈は着丈そのままで仕立てをします。

裾が擦り切れたときに傷んだ部分をカットして身丈を確保するために 通常男物の仕立ての場合は裁ち切りの寸法を長くして腰のところで縫いこんでおきます。

これは、おじいちゃんの着物をお孫さんが着るために仕立て直す時 とかに威力を発揮することがあります。

事実、私も祖父の夏大島を洗い張り・仕立て替えをして愛用しています。

昔の日本人の平均身長は今よりかなり低く、先代・先々代より今の 方は身長が伸びてきています。

腰の縫い上げは5寸(13cm)程してあるのが一般的ですから、キチン としてある着物でしたら13cmは身丈を理論上、長くする事が出来ます。

ただ、現実には衽の部分の裁ち切りが短く、身丈は出るのに着物に ならない。裏地が足らないので表地しか再利用できない。

といったケースも多いんです。

私の場合は幸いにも祖父との身長差が少なく、裄も長くないので大丈夫でした。

息子が、これから何処まで背が伸びるのか分からない。手が何処まで 長くなるか推測できない。・・・というのが実際のところ

ならば、余り布を出すのではなく、断ち切りを許容範囲一杯まで長く しておき、仕立て替えでカバーできる寸法の範囲を広げておくのも一つの方法です。

裏地に付いても同じことがいえます。
着物の裏地は取り替えてもらう事の方が多くなると思いますが、羽織 の裏は使えます。これは、キングサイズといわれる広幅の羽織裏を 最初から選んでおくのがいいかもしれません。

今は少し高く付いても、20年先のことも考えてオススメする。
そして、その想いを20年後の後継者がしっかり汲み取りフォローする。
それが、老舗の呉服屋の道なのかもしれません。

ということで、立派な後継者になれるよう

頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


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