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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その48 男物きもの事始」 

今回は、ある意味ディープなお話です。


男性から着物が着たいので見積もって欲しいと言われたと仮定して 必要な商品を全て列記しなさい・・・これ出題です。

女物の場合は、以前お話しましたよネ

忘れた方は、こちらを参照

答えは明日提出のこと!

とか言っていると先に進めませんから、解答です。

まず、正絹の紬のアンサンブルで着るまでに全て必要なものを揃えることを前提にします。
  1. 正絹紬アンサンブル
    ※アンサンブルとは着物羽織の両方がとれる丈の反物になります。
    大島などは疋物といわれる着物2反分の丈の物が対象になります。
    それに、付属品として
    ・袖口
    ・羽織裏 ※山水などの描かれた額裏タイプと小巾の肩裏タイプがあります。
    ・綿キャラコ胴裏 ※正絹の胴裏を付けることもあります。
    ・着物仕立て代
    ・羽織仕立て代

  2. 正絹長襦袢
    ※額裏と同じく絵羽のものと小紋柄のものの2タイプがあります。
    付属品
    ・半衿
    ・衿芯
    ・胴裏
    ・長襦袢仕立て代

  3. その他、小物として
    ・角帯または兵児帯
    ・羽織紐
    ・腰紐
    ・男〆
    ・足袋
    ・雪駄または下駄

そして、見積もる時に注意しなければならない事は

  • 着用するお客様の裄の寸法を確認しておくことです。

    男物は表地も裏地も大きく分類して2パターンの生地巾の商品が存在 します。並巾(女物と同じ織機で織られます)とキングサイズです。

    裄の長い方には、キングサイズで見積もる必要があります。
  • 裏地の色目も確認する必要があります。

    袖口なら黒、キャラコ裏なら濃紺、長襦袢の胴裏ならブルーグレー が定番ですが、茶やグリーン系統の表地には同系の裏地を勧めるのが 親切です。

    羽織の裏は、その染織方法によって価格は個別に設定されています。
  • 表裏地とも生地巾、色目によって同グレードの商品であっても価格が 異なる場合があります。
  • 仕立て代も大島と紬、長襦袢の場合は絵羽と小紋では値段が異なります。



  • どこの呉服屋さんでも裏地のグレードはうちの店はこのタイプと決めて 揃えているとは思うのですが、女物と違って組み合わせのバリエーション が、格段に多くなってくるんです。

    当店でも扱っている仕立て上がりの男物は大抵の場合、羽織の裏・長襦袢 は、無地のものが使われています。

    お客様にとっては、分かり易くてお買い求め頂き易いメリットがあります。

    ただ、男物は表地が地味な分、着道楽の男性は裏地に凝ったものです。
    宴席で脱いだ羽織の裏地や長襦袢を見て、この人は出来る!と一目置かれる こともありますし、何より見せないところに凝るのが粋じゃあありませんか。

    ですから、出来る限りお客様に楽しんで買い物をしていただけるように また、楽しみ方を上手にお伝えするように表地・裏地のバリエイションと 組み合わせは頭に入れておかなければなりません。

    続きは、次回またです。

    頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


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