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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その41 My寸法」 

自分の着物寸法、鯨尺で把握していますか?


体型は年代によって変わっていきます。
私も、20歳代の頃は、帯がずり上がってきていましたが、今はシックリ しています。呉服屋としては、喜ばなくてはなりません!?

本来、着物の寸法はその人の体型によってまちまちですが、ある程度の 基準があります。また、お客様の寸法をアドバイスする上で自分の 寸法は、しっかり把握しておきましょう。

リアルの世界での呉服屋は元来、お客様の体型に合うよう誂えて着物を 仕立てるのが基本です。

また、お得意様の寸法は台帳で管理してありますから、2回目から は、特別修正箇所が無ければ柄を選んでもらうだけで、直ぐに仕立てに かかれるようになっています。

「これ気に入ったわ!」
「それでは、いつもの寸法にてお仕立てしておきます」

これで、商談成立です。
着物に合わせる長襦袢・羽織・コートも着物を基準に微調整する寸法が 決まりますから

「この襦袢も合わせて作っておいてネ」

これで、終わりです。

ところが、初めての着物を作らせて頂くお客様の場合は、お客様の身長 ・体型から採寸することになります。

但し、この時 配慮をしなければならないことは、お手持ちの着物が あるかどうかなのです。

お持ちの場合は、その着物の寸法に合わせてお仕立することにしています。 そして、鯨尺でお伺いすることにしています。

何故だか分かりますか?

理由 その1
 着物は鯨尺の表記で区切りのいい寸法で作られることが多いんです。
 袖丈は1尺3寸0分 身丈は肩から4尺3寸5分 ・・と言ったように

 1尺3寸2分8厘とか、4尺3寸1分なんて言う様には決めません

理由 その2
 袖丈・裄(肩巾・袖巾)などは、合わせる長襦袢・羽織・コートと
 寸法的に関連付けられています。

基準になる着物も鯨尺で区切りのいい寸法で作られている筈だからです。

最も着易い着物の寸法の基準を鯨尺で把握していれば、半端なセンチミリ で色々着物を計り直す必要も、頭を悩ますこともありません。

鯨尺は殆んどの呉服屋で基準の度量衡として用いていますから、共通尺度 になっています。

お客様にも、鯨尺で控えて頂くようオススメして下さい。

着物寸法でミリメートル単位での精度は求められませんが、分(ぶ)単位 での精度は大切です。

お客様から前巾23.5cmとか言われると、6寸なのが計り方の間違いで そうなったのか、6寸3分の前巾が生地が縮んでそうなっているのか 判断に困ってしまいます。

それが、前巾6寸3分ですと断言してもらえば、これでOKだ・・と なるわけです。

また、浴衣などは襦袢・羽織を合わせませんから、アバウトに身長・ 裄を計るだけで作ることもございます。

ただ、採寸する時に袖口を何処までにするのか、体型から身巾を 割出すのは、寸法を決める呉服屋の主観に依存する部分も大きい為 2軒の異なる呉服屋でそれぞれ採寸して誂えた着物の寸法が微妙に 異なって来ることも、よくあることです。

更に言えば、プレタの着物はその辺りは、もっとアバウトです。

ところが、正絹・ポリ素材の着物の場合は楽観視ばかりも出来ません。
襦袢と袖が合わないと言った不具合で出てくるからです。

折角誂えで作るのなら、統一した寸法で仕立てさせて頂くように ご説明差し上げて下さい。

そうすれば、着回しがもっと楽に、そしてもっと楽しんで頂ける ようになります。

OKですか?

何か質問は?・・・・・ハイ 木下君 何?
「メートルはイメージできるけど、尺とか言われるとピンと来なくて」 だって?・・・・そんな時には、ポケットに忍ばせて、いざという時に コレさ

 鯨尺メジャー

  コレ持って 頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


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