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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その36 中形」 

いよいよ浴衣の季節が近づいて来た。

一言に浴衣といってもいろいろな技法がある。柄に至っては千差万別

勿論、着物もファッションのジャンルであるからお客様の感性と似合うか どうかで選んでもらう訳だが、呉服屋としてはその技法ぐらいは頭に 入れておかなければならない。

さて、表題の「中形」、小紋に対し文様の大きさから由来したものだが 木綿に染めて浴衣としたことから浴衣の代名詞のように業界では用いられている。

代表的な伝統技法としては長板本染中形・注染中形・絞りなどがある。

長板染めの技法は無形文化財となっており、手間と熟練を要する工芸品になっている。

一般的に本染めと云われる物の多くは注染中形である。
これは、防染糊で柄の外郭を描いた白木綿の生地を一定間隔でピッチリ 柄を合わせて折り畳み重ねた後に、上から染料を注ぐ。

下からは、コンプレッサーでその染料を吸い、幾重にも重ねた綿布に 一気に染料を通すことにより染め上げていく技法である。

柄が上下になって繰り返されるポピュラーな浴衣の柄行はこうして 作られていく。たまに、継ぎ目が出てしまうのもこの技法ならではの弱点である。

更に、注染には細分化された技法として「細川」「差し分け」などがある。

絞りは、愛知県の鳴海・有松がその産地として有名である。
近年はその技法を中国に伝え、中国で生産されたものも市場に出回っている。

もう一つ、最近の傾向としてスクリーン染めがある。

これは服地のプリントと同じ様式で染められる。注染のように継ぎ目が 出ることも無く、繊細なタッチの染付けも可能になっているが、染料が 裏まで通っておらず、裾が翻ると白っぽく見えてしまうのが難点である。

お客様に売り場で「これは注染中形〔ちゅうせんちゅうがた〕ですか?」
と尋ねられて・・・

「はあぁ?」とか、云っていては話にならない。

「ハイ!細川です。」と切り返さなければ・・・

頑張れ!・・・目指せ 大番頭!! 


追伸:今回は桃源郷のあつお兄の「兄が吠える!」バージョンにしてみました。
似てたかな・・・・?  


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