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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その20 西陣の秘密」



先日の実店舗の秋物の発表会にてつづれ帯の完全オーダー受注会という 企画のため、機織機と職人さんに来店してもらいました。

今回はその時、仕入れたネタです。

つづれ織りってどんな織り方かっ?

爪掻き綴れとかいわれますが、言葉で説明しようとすると私たちプロでも ハッキリ言えなかったんです。
「掬い織りと綴れの違い」「なぜ爪で織るのか?」

もちろん、商品を見れば分かりますが・・・ということで、実際に見て、 説明を受けたら、今更恥ずかしながら、目から鱗が落ちました!!

掬い織りは柄を織り出す色糸を横に総て通さず、下絵に従い必要な縦糸の 間に通し、それを折り返していくことで柄を織り出していきます。

真横に見たとき、一直線上に5色使ってあればそれぞれ5色の色糸を駆使し ながら織り進めて行くことになります。裏に糸を渡さない織り方ですから、 端の糸を始末すれば、表も裏もないんです。

そして、綴れ織りは「掬い織りの一技法となります」 横糸を通常よりも 長く織り込むことで縦糸を横糸が覆い隠し、平織りに見られるような縦糸 が表面からは見えず、横糸のみが見える織り方になります。

具体的には、店TopPageのSHOW WINDOWSの画像のように、横糸を斜めに入 れて織り込みます。そうする事によって、真っ直ぐに入れる場合よりも 横糸を長く織り込むことが出来るわけです。

長く織り込まれた横糸は、行き場を失い縦糸の間でジグザグになって、 丁度、綴れ折の山道のようになるから、『綴れ織り』だそうです!

う〜ん 納得!

そして、爪で織るのは・・・

柄の細かなところも総て斜めに糸を入れます。通常であれば筬を使うので すが、細かなところは爪で掻いた方が早く出来るという事です。全部を爪 で織るのでは、ないようです!無地のところの広い面積のところは筬の方 が、全然早いですから!

その職人さん曰く
「職人は、早く効率的に仕事を進めることを常に考えている。 シッカリした物という前提であれば、1ヶ月に何本織れるかで収入が 明らかに変わってくるから・・非効率的な作業を敢えてする職人なんか 居ませんヨ 全部爪だけで織るメリットがどこにありますか?」と。

  ・・なるほど!

今でこそ、工芸品とかいいますが、元々着物も帯も手工業製品なんですネ

そして、こんなことも教えてくれました。
今は、中国で織らせている綴れ帯も多いんです。というより、そちらの方 が逆に多くなってしまっていますが、

日本で織っている綴れ帯と中国製産の物との見分け方

「地色はこの色で、ここに柄を加えて、前腹は私は「関東腹」だから、 こちらだけにして・・・」なんていう注文に答えられるかどうか?

ということで判断できるそうです。

元々、綴れは一本づつ手織りでしか出来ません。国内西陣の織り元で 職人さんが作る場合には、特別注文にも応じることが出来るそうです。

それも、既製品と同じコストで・・・工程に特別なことがない限り手間は 同じですから。

それに対し、同じ手織りでも中国製は安価な人件費を背景に量産体制で作 られる為、特別注文はまず無理だそうです。

呉服屋さんで綴れ帯を薦められたら、「ここの折元で誂えは出来ますか?」 と尋ねてみるのが、国内と海外生産のリトマス試験紙になるようです。

もちろん、価格面は度返ししてでの話ですが・・・

「浅野屋さん 今日のメルマガで紹介のつづれ八寸名古屋帯  誂え出来ますか?」と問い合わせいただいたら・・・

「もちろん、出来ません! 中国製ですから・・・」とキッパリです!

いくつになっても、日々是精進です!

頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


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