←前へ  次へ→

浅野屋丁稚塾 番頭への道
「その19 プレタとオートクチュール」

プレタとオートクチュールというと、最新のミラノコレクションとかを 連想しますが、着物の世界にもあるんです。

呉服業界ではプレタポルテは既製品仕立て。オートクチュールとはあまり 使われませんが、別誂えのことです。

「誂え」と言っても、これもあまり耳にしないかもしれません。これは、 反物の製作からお客様のご希望お好みに合わせ生地・柄・加工・色を決め てゆき、お客様だけのオリジナルの着物を製作することです。 勿論、仕立てもお客様の寸法に合わせて縫い上げることになりますし、裾 模様などは、お客様の身幅に合わせて柄付けされることになります。

この場合、お仕立てに関してはオーダー仕立てがあくまで前提ですので 「プレタのきもの」という場合の概念の名称とは反対語にはなりません。

つまり
  • プレタのきもの
    ・・・とは、一定の生地(柄はさまざまですが)から、 主に海外の縫製業者のラインで量産される仕立て上がりの着物。

    サイズもほぼoneサイズということになります。
    仕立てあがりの浴衣・ポリ素材の仕立てあがり着物がそれに当たります。 価格はこなれていますので、取っ付き易くなります。

    不都合な点といえば、総じて身幅が広めに作ってあること。
    身長170cm以上の方に合う物が非常に少ない・・というところでしょうか?

    160cm前後の身長でやや、ぽっちゃり体形の方には持って来いです。

    ※敢えて寿司屋で例えれば、回転寿司でしょうか!?


  • 別誂えのきもの
    ・・・は、反物を作るところから始まるものとなります。
    同じ色無地でも、白生地を選んで色見本で色を決めて染め出しをすれば 別誂えとなります。
    一反一反ご注文頂いたお客様の為に手作業で作り上げていきますので、 オリジナルの要素が色濃く出ますし、ここにこの柄を置いて・・なんて 我がままにも対応してくれます。

    ※これは、生簀があって選んだ魚を裁いて出してくれる  高級なお寿司屋さんのお寿司になるでしょうネ!?


それじゃぁ

一般的な染め上がった反物や振袖・留袖・訪問着などの綺麗な生地から お気に入りで似合う着物を選んで寸法に合わせて仕立てて頂く着物はって いうと・・・

カウンターの前のショーケースに仕込んだネタが並んでいて、 「この白身と玉を握ってネ!」「あいよっ」とやり取りしながら握って もらう、お寿司屋さんで食べるお寿司・・ってことになりますネ

つまり、半製品(反物)で選んで頂き仕上げ(手縫いで仕立)させて頂く 訳ですから。

但し、着物の場合、小紋・紬・無地などの丸巻きのものは身幅も自在に 仕立てられますが、絵羽物と言われる振袖・留袖・訪問着などは、裾模様 の柄あわせの関係で、標準の身幅より広くなってしまいます。

細身の方の場合は、下前を折り返してきて頂くことになりますので、背縫 いがセンターからずれてしまうこともあるんです。

お客様への説明が必要となります。

ご意向、ご予算、用途をよく理解してから、適切な物をオススメするのが 商売人の務めです。

頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


-戻る-