←前へ  次へ→

浅野屋丁稚塾
番頭への道「その17 たとう紙」

たとう紙・・とは、仕立て上がった着物や帯を入れておく包み紙のことで す。文庫と言ったりすることもあります。

店名の入った「たとう紙」はお店側のその商品に対する品質保証と仕立て への責任の証となります。

ですから、自店の責任の持てる商品しかその中に収まることを許されない んです。

実店舗でも、フリーのお客様が既にお持ちの着物の整理の為に「たとう紙」 だけをお買い求めになることがありますが、その時は店名の入らない販売 用の出来合いの「たとう紙」をお渡しすることになるんです。

ここで、たとう紙についてお客様に教えてあげた方がいい知識を・・・

素材は紙なんですが、通常は和紙です。当店も美濃和紙で有名な隣町の 美濃市の業者で作って貰っています。

で、問題なのがパルプから作った洋紙製の「たとう紙」安価なことから、 シミ抜き屋さんと呉服屋・問屋と呉服屋の間で着物を運ぶ場合にはこれが 用いられることが、多くなりました。

汚れ防止のためには、確かに有効なのですが長期保存には適しておりませ ん。また、着物がしゃんとなるように白いボール紙がそこに敷いてある たとう紙もあるようですが、これもオススメできません。

なぜなら、洋紙はその材料の漂白の段階で化学薬品が大量に使われている からです。通気性も良くないし、長い間に化学反応が起き着物に影響を 及ぼす心配があります。

絹の着物や、金糸銀糸を用いた帯は非常にデリケートです。心配りが必要 です。お店の人間はお客様にそのことをきちんと伝え、着物が何時までも 美しく可愛がって頂ける様、配慮しなければなりません。

また、納品時に着物を「たとう紙」に収める時には着物の肩山を向かって 左に来るよう、袖付けが手前、袖口が向こうに行くように収めます。

この時、裄の広い方の場合には、たとう紙の折り目をキッチリ付けて おかねばなりません。通常の巾で折っておくと袖口付近に変な皺が付いて しまいます。また、手前の右側に三角にはみ出た衿先は下側に折り返し 着物の手前のラインを一直線にします。

こうすることによって、たとう紙への着物の収まりが良くなります。 衿先を下側に折るのは理由があります。折癖のついた上前の衿先は、着用 時に体に添うようになっています。

此れが上側に折ってあると、体形・寸法によっては上前の衿先が外側に はねてしまい、始末に困るからです。

お買上げいただいた着物は目一杯おめかししてお届けするのが鉄則です。

頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


-戻る-