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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その7 小物の合わせ方」

着物着用の機会が多くなってくるこれからの時期、帯締め・帯揚げをお求 めに店頭にお越しいただくお客様が増えてきます。

「鳩羽色の無地に銀地の帯を合わせようと思うのですが、この組合せに合 う、帯締め・帯揚げを・・・」なんてご要望をお受けすることがございま す。

こんな時、困ってしまうのが実際の色目を拝見していませんとなかなか的 確なご提案をし辛いことです。お客様も言葉だけではイメージし辛く、 「着物と帯を一度お持ちください」とお話することになってしまいます。

当店では、実際に着物上に帯をのせ、その上から帯締め帯揚げを合わせて 頂く方法をオススメしております。

その時にオススメする方として重要なのが、お客様に「これなら・・」 とご納得いただける色合せの根拠をご説明することです。よく使う手が、 柄に使われている挿し色の一色に合わせる方法。


小物の色合せの常套手段としてお話するのが、3パターンございます。
  1. 着物地色の同色、濃淡で合わせる方法
  2. 着物地色の反対色で合わせる方法
  3. 着物・帯の挿し色の一色に合わせる方法

2.で言う反対色とは、中学の美術の時間に習った色の3原色、赤・黄・ 青を基準に12色を環状に配した12色環、これの対角線上の組合せを指し ます。
赤に対しては青と黄の間に入る緑、黄に対しては紫、青に対しては橙と いう事になります。勿論、色調のトーンを合わせることは言うまでも有り ませんが・・・

お客様にご提案する場合、ある程度意外性もありよくお選びいただくのが 3のパターンです。「この柄のこの色に合わせるとこうなって、 いいでしょ!」ということになります。

もともと、着物・帯の挿し色は地色・他の柄に使ってある色との相性の合 う色が使われています。ですから、その一色を小物に用いても全体のバラ ンスは崩れないんです。

それから、これも良くお話するのですが・・・
帯締めは着姿の真ん中に位置しますのでアクセントとして、帯揚げは着物 と帯の「つなぎ」或いはクッションとしてお考え下さい・・・と、

帯締めは、際立つように。帯揚げは着物と帯が馴染むように。

しかし、無地の着物・モノトーンの配色の時は正直、この理屈が通用しな いことが多くあります。

私個人的な好みとしては、メリハリのしっかりつく組合せをオススメする ことが多いようですが、こういった時こそオススメする呉服屋のセンスが 問われることになります。お客様の雰囲気をよく観て、感性を研ぎ澄まし てお色選びをお手伝いすることになります。

オススメした小物がお客様が気に入っていただけた時、誰か他の方に小物 色合せをほめられた時、そのお客様が販売員のセンスを初めて信用するこ とになります。小物といえども侮るなかれです!

と言うことで、「色彩学の理論と感性は車の両輪!」
頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


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