←前へ

 次へ→

浅野屋丁稚塾
番頭への道「その2 湯のし・湯通し」

前回の続き

お客様にお買い上げいただいた着物(反物・仮絵羽)は、仕立てに出 す前に湯のし・湯通しなどの加工をいたします。

今回は、湯のし・湯通しについての説明です。


[湯のし]
  • 目的
    織物の光沢を出し、布質を固定させる。
    織物の収縮性を少なくし、表面の皺を延ばし、仕立ての狂いを防ぐ。 絞りの場合、生地の巾を出し仕立てに必要な布巾を一定に仕上げる。
  • 方法
    蒸気の中を通し、アイロンによって固定させる。
    実際には専用の設備を整えた専門業者「湯のし屋」さんに依頼します。
  • 対象商品
    振袖・留袖などの仮絵羽と呼ばれる仮仕立てしてある商品
    こちらは、解いて端縫い(一反の反物のように各パーツを縫い合わせる)をしてから湯のしにかけます。
    絞り全般
    強撚糸を使用した縮緬の類


[湯とおし]
  • 目的
    先染めの織物の本来の味とつやを出す。 糸の段階で染められその後、織物に織られた紬・大島などは経糸にサイジング(薄糊)が施してあります。 この糊を落すのが湯通しとなります。
  • 方法
    湯(薬品の入った)の中に入れ糊を取る。
    後は湯のしと同じように仕上げる。
  • 対象商品
    先染め織物・・・紬・大島・お召し・紗など


つまり、きものを仕立てる際には下拵えとして湯のし或いは湯通しが必要 となってきます。湯のしをした後、仕立てをせずにしばらく置いておく場 合には、再度仕立て前に湯のしをかける必要が生ずる場合もございます。

私、店長も丁稚奉公最初の仕事は売れた反物を検品して「湯のし」屋さん へ持っていく事、そして仕立てを急ぐ場合には何とか無理を頼んで早くや ってもらえるよう頼み込む事でした。

当然、湯のし屋さんは何軒かの呉服屋さんから仕事がやってきます。 よその呉服屋さんの仕事は後回しにしてうちの仕事からやってもらう。 俗に言う「横はいり」なんですが、頑固一徹の職人さんに「君から頼まれ たら、しゃぁ〜ないな!」と言ってもらう為の愛嬌と気配りが必要なんで すネ、これが。

と言うことで、笑顔と愛嬌の訓練です。
頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


-戻る-