グリーンファントム・クォーツの宝石名がモス・ラメラ・クォーツ!【True Stone 天然石の真実】


モスラメラクォーツ鑑別書


グリーンファントムクォーツは水晶の成長と停止が何度も起こる事で形成されます。
写真のビーズ内部を見ると粒状のクローライトが層のような構造になっているのがお分り頂けるでしょうか。
 
モスラメラクォーツ鑑別書


上の写真がグリーンファントムクォーツの鑑別書です。

・鉱物名: 天然クォーツ

・宝石名: モス・ラメラ・クォーツ

・透明剤の含侵処理が行われています

・色相・透明度 無色 透明石:黒緑色ラメラ構造

宝石名の「ラメラ」には「層状」という意味があります。
天然石でのラメラの意味する事はファントムで水晶の成長が何らかの理由で止まった時に偶然にモス(緑泥石・クローライト)が共生し錐面が緑色に変化しました。
すると水晶がまた成長を再開しました。
モス(緑泥石・クローライト)は錐面に閉じ込められた状態に陥ります。
しかし、またまた水晶の成長が止まる。
すると、再びモスが共生をはじめて錐面はまた緑色に。
そこで、再度水晶が成長を再開。
これを繰り返した為にラメラ(層状)となりました。

モスラメラクォーツ鑑別書


宝石名は一般に知れ渡っているポピュラーな名前の方がご購入されるお客様も安心すると思うのですが、どうなんでしょうか。
「モス・ラメラ・クォーツ」では分かりにくいので「グリーンファントム・クォーツ」の宝石名があればと思います。
余談ですが「タンザナイト」の宝石名は以前「ブルーゾイサイト」だったのですが数年前に「タンザナイト」に変わりました。
もしかすると?しないと思いますが「モス・ラメラ・クォーツ」が「グリーンファントム・クォーツ」に代わる時が来るかもしれません。

「透明剤の含侵処理が行われいます」

水晶は単結晶なので含侵処理が出来ません。
簡単に説明しますと窓ガラスに透明なペンキを塗ってもガラス内部に浸透する事はなく表面だけに塗った状態になるだけです。
これはシンナーがあれば簡単に落とせますので処理する意味がありません。
なら、どのようにして含侵処理が行われているのでしょうか?
それはクローライト(モス)の共生で僅かながら水晶と水晶の間に空間が開いているからです。
例えば、平らなガラス板(水晶)の上に砂(クローライト・モス)を引き詰めます。
その上に平らなガラス板を置き、また、砂を引き詰め、その上にガラスを置くと言うのがファントムクォーツの原理です。
当然、ガラスは液体を染み込みませんが砂には染みこませる事が可能です。
と考えると砂にあたるクローライト(モス)に透明剤を含侵処理した事になります。
水晶内に閉じ込められているように見えるモスはビーズ表面に達しているので含侵処理をする隙間が存在します。
今までに何度と書いていますが透明剤の含侵処理は鉱物の強度や透明度を高める為に行う処理なので今回のグリーンファントムクォーツの場合も純粋にモスの部分(隙間を透明剤で埋める)の強度を高める事と透明度の改善に行った処理と言えます。
これがもし「【有色剤】(今回であればグリーン)による含侵処理」であれば、本品のような薄っすらした緑でなく色が濃くメリハリのあるグリーンになっていた事でしょう。
有色剤による含侵処理は幅広く行われていまして、特に怖いのがルチルクォーツです。
クォーツの内部にルチル(二酸化チタン)があるので針を通じて有色含侵処理(ゴールドカラー)を行い、ルチルのゴールドを際立たせて盛る事が出来ます。
肉眼で見るとルチルが水晶内に完全に内包しているように見えますがファントムクォーツと同様でビーズ表面にルチルの針が達しているので、そこから色を含侵していきます。
当店ではこのような高額商品には鑑別書を付けるように心掛けていますし、お客様のご希望での鑑別依頼を承るようにしています。
もし、お客様が数十万円する高額なルチル等を購入されるなら鑑別書付きか鑑別依頼をしてのご購入をお薦め致しますが、鑑別書が付属していたからと安心するのではなく、その鑑別を請負った鑑別機関の事も一度ご自身で調べる事も重要だと考えています。
 
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