TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2021/09/14

アンジェラ ヴェレノージさん Ms. Angela Velenosi, フランチェスコ カルチナイ氏 Mr. Francesco Calcinai

「ヴェレノージ」を一代で築き上げたアンジェラ女史の故郷で新プロジェクト「プローペ」始動!DOCGコッリーネ テラマーネ地区の「魔法を起こす」土壌で早くも全世界から最高評価獲得で注目の「ヴェレノージ」突撃インタビュー

アンジェラ ヴェレノージさん
「ヴェレノージ」は2016年、「長い間惹かれていた」というアブルッツォ北部コントログエッラに畑とセラーを購入。新ブランド「プローペ」を立ち上げ、新たなワイン造りをスタートさせました。格別な土壌が生む偉大なワイン「ヴェルソ セーラ」は、イタリアはもちろんのこと、ヨーロッパからアジアに至るまで世界各国で最高評価を得ています。「約10年前から思い描いていた」と語る新プロジェクトについて、そして常にチャレンジ精神を持ち「ヴェレノージ」を躍進させる原動力について、オーナーのアンジェラ ヴェレノージさんと、輸出マネージャーを務めるフランチェスコ カルチナイ氏に、オンラインでお話を伺いました。

マルケのトップ生産者「ヴェレノージ」の新たな挑戦「プローペ」
州全体のわずか9%の生産量で「魔法を起こす」土壌を秘める希少なエリア「テーラモ」

地図

アンジェラさんが思いを募らせる故郷で始まった新プロジェクト「プローペ」
2016年に「ヴェレノージ」は、オーナーのアンジェラさんの出身地でもあるアブルッツォの北部、テーラモのコントログエッラに16ヘクタールの畑とセラーを購入しました。これまでモンテプルチアーノ ダブルッツォを生産してきた契約畑とは異なる、自社畑で生産を行う新ブランド「プローペ」。「プローペ」とはラテン語で「近い」という意味を持ち、本拠地アスコリ ピチェーノから車で25分と近い場所に位置しています。アンジェラさんは「私はこの地元で幼少期、祖父母に連れてこられてワイン造りを間近で見ていたんです。深い愛情があることはもちろんのこと、このエリアの希少な土壌にかける思いは強いです」

「他とは明らかに異なる土壌によって“プローペ”が持つ味わいが生まれる」
アンジェラさんは、土壌にこそプローペの特徴が表れていると分析しています。
土壌構成

畑の土壌は、シルト50%、粘土40%、砂利10%で構成されています。粘土によってブドウの根は水分ストレスにさらされますが、そのおかげで骨格のあるワインを産むブドウが育ちます。粘土に加えてシルトと砂利が混ざることで、そのストレスが過剰になることはありません。シルトがフレッシュさをもたらし、砂利がエレガントさを与えています。

「ここの土壌はマジックを引き起こすんです。海由来の砂質土壌は、特にモンテプルチアーノを造る上で恩恵を非常に受けており、複雑で力強く、スムーズでヴェルヴェットのようなしなやかなタンニンを生み出します。他とは明らかに異なる土壌によって“プローペ”の持つ味わいが生まれています。土壌だけでなく、標高や畑の位置も素晴らしいので、偉大なワインが生まれるポテンシャルを秘めていることは以前から見抜いていました。10年ほど前からコッリーネ テラマーネでの生産を考えていて、実際にこの畑を見つけるやいなや、すぐにここでワインを造ろうと決意しました。

私達の畑は生産量が、アブルッツォ全体の9%と限られたエリアにあります。その中で、ポテンシャルを秘めた畑や土壌を探すことは、いかに難しいことかがわかっていただけると思います。しかし、可能なら、さらに畑を広げていきたいとも考えています。認証は取っていませんが、栽培はビオロジックで行っています。化学肥料や除草剤は一切使用していません」

アンジェラ ヴェレノージ女史が解説する新ラインナップ「プローペ」のワイン

プローペのワイン

トレッビアーノプローペ トレッビアーノ ダブルッツォ
バランスに優れ飲み心地の良さが光るトレッビアーノ!

「アブルッツォ産トレッビアーノの特徴として、とりわけハーブのニュアンスがあることが有名です。口に含むと、香りとともに風味が広がります。程よい骨格があり、全体的なバランスに優れ、フレッシュ感と飲み心地の良さがあるワインです。全てのワインにコンクリートタンクを使用していますが、それによって、ワインにフレッシュさと飲みやすさが与えられています」

プローペ コッリ アプルティーニ ペコリーノ
多種多様なハーブが香るエレガントでアロマティックなアロマ!

ペコリーノ「トレッビアーノは王様のようにイタリアでは不動の地位を築く品種ですが、ペコリーノは最近有名になってきた品種です。マルケのペコリーノとアブルッツォのペコリーノは香りに違いがあります。マルケはフルーツ感に溢れていてエキゾチックな果実味が特徴です。アブルッツォのペコリーノは、よりハーブ感がありアロマティックです。

桃、トースト香、セージやマジョラムなどのハーブ。これらのハーブは、畑周辺に存在するもので、これが私たちのペコリーノを表しています。柔らかく、塩味やミネラルの要素を持ったエレガントなワインです」

プローペ チェラスオーロ ダブルッツォ
「新しいワインを探している方にお勧めするロゼ」

チェラズオーロ「アブルッツォは特定のDOCを持つロゼが生産されている数少ない地域の一つです。特に果皮の色素が濃い品種であるモンテプルチャーノは、果皮に数時間コンタクトするだけですぐにワインに濃い色合いが得られます。一般的なイメージと異なり、アブルッツォのロゼは、ジューシーでボディと持続性があるので、味わいの強い料理とパーフェクトにマッチします。ボロネーゼソースのパスタ、サラミのピッツァ、ハム、白身の肉などです。

このスタイルのワインは、何か違うものを探す若い人たちに向いていると私自身は思います。“プローペ チェラスオーロ ダブルッツォ”は、濃く美しいピンク色でフレッシュなロゼです。酸が控えめなワインを好む方に向くでしょう。このタイプのワインが好きな方たちは、しっかりと飲み応えのあるものを求めていると思います。また、すでにワインを良く知っていて、ロゼも飲むけれど、他とは違う、新しいワインを探している方には、アブルッツォのワイン文化に根差したチェラスオーロがおすすめです」

プローペ モンテプルチアーノ ダブルッツォ
しっかりとした骨格とジューシーな親しみのある味わい

モンテプルチアーノ ダブルッツォ「モンテプルチアーノ ダブルッツォは、イタリアで最も偉大なDOCだと思っています。不思議なワインです。モンテプルチアーノは、ダイヤモンドのように素晴らしい原石を持つ品種で、収穫、醸造によって、いかようにも作れます。若々しくフレッシュなワインにもできますし、骨格のしっかりしたワインにもできます。また、長期熟成に耐えうる偉大なワインにもなります。どんな風にも変化を遂げることができるのです。

私たちの新ブランド“プローペ”では、醸しと発酵を長く行っています。それらに4週間以上かけることで、色とポリフェノールを抽出すると同時にボディを作り出しています。大樽での熟成も12ヶ月行っています。

チェリー、キルシュ、熟したブラックベリーの複雑なニュアンス。かすかに湿った土、コーヒーやタバコ、リコリスのスパイスもあります。しっかりと丸みのある口当たり、肉厚なタンニンによる骨格が感じられ、いつまでも続くジューシーなフィニッシュへと続いていきます」

ヴェルソセーラ 評価ヴェルソ セーラ モンテプルチアーノ ダブルッツォ コッリーネ テラマーネ
全世界で最高評価を得る「ヴェレノージ」の最上級ワイン!

「このワインは、いつ開けてもいいワインです。何か料理と合わせるものではないかもしれません。夕焼けを見ながら、または孤独を感じながら飲むようなワインだと思っています。

ヴェルソ セーラとは、“あと少しで夜になる時間帯”を指す言葉で、夕暮れ時を意味しています。まだ夜にはならないけど、1日の仕事が終わって、自分へのご褒美としてこのワインを飲んでほしいという願いが込められています。

40年ほどワイン業に携わっていますが、そろそろ私たちヴェレノージも“成熟期”に入ったという意味も込めて“ヴェルソ セーラ”と名付けています。より良いワインを作りたい、みんなに好きになってもらいたい、という私たちの情熱が込められています」

ヴェレノージが日々意識することは、「常に新しいことに挑戦し、市場で求められる高品質ワインを生産すること」

インタビューを通して、新しい土地で始めることへの情熱を感じました。その旨をアンジェラさんにお伝えすると、さらなる熱意をもってお話してくださいました。
アンジェラ女史「私達ヴェレノージが生産するワインは、常に新しく、常に高品質でないといけないと思っています。何か他とは違う新しいことにチャレンジしていきたいんです。また、ヴェレノージは、マーケットが求める良質なものとは何か、どういうワインを造るべきかを知っています。

新ブランド「プローペ」を始める前に、このエリアの畑のポテンシャルや、偉大なワインが造れるスケール感を理解していました。ですから、今後、可能ならば、さらに畑を開拓していきたいです。テーラモは生産量がアブルッツォ全体のわずか9%の狭いエリアですが、周囲には畑がたくさんあります。ここをさらに拡大して、上質なワインを生産していきたいと思っています」

天使の目をモチーフにしたラベルデザイン
故郷の土地と繋がりながら天使のように新たなものへ向かう意志を表現

ラベルデザイン「ヴェルソ セーラ」以外のラベルは、ピカソがいた時代、20世紀前半に活躍したマルケ州出身の芸術家オズヴァルド リチーニ(1984-1958)の作品にインスピレーションを受けてデザインされたものです。リチーニ氏はイタリアにおける抒情的抽象主義のムーブメントの中心として活躍しました。

「プローペ」のラベルは彼が1950年代に描いたシリーズ作品「Angello Ribelle (反逆の天使)」の天使の目をモチーフとしています。この絵画は、巨大な天使が天空と地上を自由に行き来する様子を描いています。リチーニ氏が天使を反逆者として描いたように、ヴェレノージも、自分たちは故郷である土地と強く結びつきながら、羽根を持つ天使のように自由に新しいものに向かう意志を持っていることを表現しています。

ヴェルソセーラ ハサミ最上キュヴェ「ヴェルソ セーラ モンテプルチャーノ コッリーネ テラマーネ」のラベルは「プローペ」とは異なるコンセプトでデザインされています。ラベルの中心には畑仕事において一番大切な道具である剪定バサミがあしらわれています。ハサミはどんな時代にも必要とされ、1000年以上使われている道具です。アンジェラさんは「私たちの仕事は、これがなければ何も始まらないんです」と重要性を語ってくれました。畑

ヴェレノージ(アブルッツォ)

『ルカマローニ』91点!
白い花やハーブのアロマが香るバランスに優れたトレッビアーノ

黄色い果実や白い花、ハーブのアロマがあり、ボディを感じつつもフレッシュで非常にバランスに優れた白ワインです。

「アブルッツォ産トレッビアーノの特徴として、とりわけハーブのニュアンスがあることが有名です。口に含むと、香りとともに風味が広がっていきます。全体の骨格があり、バランスに優れ、フレッシュ感と飲み心地の良さがあるワインです」とアンジェラ女史。
プローペ トレッビアーノ ダブルッツォ2020

試飲
コメント

淡い麦わら色。黄桃、ハーブ、桃のコンポート、熟した果実の香り。香り同様の味わいで、柔らかな口当たりと繊細なミネラル感、フルーツのキャンディを感じます。ハーブのニュアンスが特徴的で、非常に親しみやすいバランスに優れたトレッビアーノです。

ヴェレノージ(アブルッツォ)

『ルカマローニ』92点!
ハーブが際立つジューシーなペコリーノ

「トレッビアーノは王様のようにイタリアでは不動の地位を築く品種ですが、ペコリーノは最近有名になってきた品種です。マルケのペコリーノとアブルッツォのペコリーノは香りに違いがあります。マルケはフルーツ感に溢れていてエキゾチックな果実味が特徴です。アブルッツォのペコリーノは、よりハーブ感がありアロマティックです。

桃、トースト香、セージやマジョラムなどのハーブ。これらのハーブは、畑周辺に存在するもので、これが私たちのペコリーノを表しています。柔らかく、塩味やミネラルの要素を持ったエレガントなワインです」
プローペ コッリ アプルティーニ ペコリーノ2020

試飲
コメント

淡い麦わら色。香りと味わいに共通してハーブ感が際立っています。味わいは非常にソフトで、後味にわずかな苦みがあります。ミネラル、黄桃のニュアンスも兼ね備え、エレガントな風味。

ヴェレノージ(アブルッツォ)

『ルカマローニ』91点!
モンテプルチアーノ100%が引き出す美しい色味と華やかなアロマ

マルケ州の最高峰ヴェレノージがアブルッツォで造る「プローペ チェラスオーロ ダブルッツォ」です。6時間のコールドマセラシオンにより、ブドウの果皮が持つ濃い色合いとアロマが引き出されたモンテプルチアーノ100%ロゼワイン。

ロゼ用に選別したブドウは9月1日から10日頃に収穫します。セラーに運び除梗したブドウは、6時間の短い低温マセラシオンを行い、美しい色とアロマを抽出します。プレスした後、コンクリートタンクに移し、14~15度の低温で発酵させます。その後、綺麗な澱とともに数ヶ月熟成させます。
プローペ チェラスオーロ ダブルッツォ2020

試飲
コメント

輝きがあり美しい濃いピンク色。まず華やかな香りが印象的で、バラやスミレなどのアロマがあります。レッドチェリーなど赤い果実のクリーンで華やかな風味。程よい骨格と余韻があり、心地よい味わいが続きます。

ヴェレノージ(アブルッツォ)

大樽で12ヶ月熟成のしっかりとしたボディながらスムーズな飲み口!

トップ生産者としてマルケをけん引するワイナリー「ヴェレノージ」が造る「モンテプルチアーノ ダブルッツォ」です。大樽で12ヶ月熟成のしっかりとしたボディながら、スムーズな飲み口と赤い果実の味わいが特徴の赤ワイン。濃く透けて通らない赤色、チェリーや熟したブラックベリーのアロマに加え、コーヒー、タバコ、リコリスのアロマが感じられます。口当たりは丸みがあり、豊かなタンニンがワインに骨格を与えています。

「モンテプルチアーノ ダブルッツォは、イタリアで最も偉大なDOCだと思っています。不思議なワインです。モンテプルチアーノは、ダイヤモンドのように素晴らしい原石を持つ品種です。収穫、醸造によって、いかようにも作れます。若々しくフレッシュなワインにもできますし、骨格のしっかりしたワインにもできます。また、長期熟成に耐えうる偉大なワインにもなります。どんな風にも変化を遂げることができるんです。

私たちの新ブランド“プローペ”では、マセレーションを長くしています。醸しと発酵に4週間以上かけることで、色を抽出すると同時にボディを作り出しています。大樽での熟成も12ヶ月行っています」
プローペ モンテプルチアーノ ダブルッツォ2019

試飲
コメント

ルビーレッドよりに美しく輝く紫色。赤い果実、スミレ、ブラックチェリー、ブラックベリーなどの森の果実、コーヒーなどのスパイスの香りがあります。口当たりはインパクトがあり、ジューシーかつ程よいタンニンを感じます。余韻が長く、口中に数多くの複雑な風味が広がります。

ヴェレノージ(アブルッツォ)

『ルカマローニ』99点満点&『ビベンダ2021』最高賞!
「ヴェレノージ」の集大成のトップキュヴェ!

「ヴェルソ セーラ」は、あとすこしで夜になる時間帯を指す言葉で、夕暮れ時を意味しています。まだ夜にはなっていないけれど 自分へのご褒美としてこのワインを飲んでほしいという願いが込められています。

「このワインは、いつ開けてもいいワインです。何か料理と合わせるものではないかもしれません。夕焼けを見ながら、孤独を感じながら飲むようなワインだと思っています。

40年ほどワイン業に携わっていますが、そろそろ私たちも“成熟期”に入ったという意味も込めて“ヴェルソ セーラ”と名付けています。より良いワインを作りたい、みんなに好きになってもらいたい、という私たちの情熱が込められています」
ヴェルソ セーラ モンテプルチアーノ ダブルッツォ コッリーネ テラマーネ2018

試飲
コメント

ルビー色に近い濃い紫色。香りは非常に力強く複雑です。フレッシュな果実から革などのスパイスまで様々なアロマが鼻腔をくすぐります。色、香り同様に味わいも力強く濃厚で、黒い果実やスパイス由来の甘味、タバコの風味があります。余韻が非常に長く、濃密なフレーバーをいつまでも堪能することができます。

インタビューを終えて

アンジェラさんとご主人のエルコレ氏が一代で築き上げてきたヴェレノージ。ワイン造りに人生を捧げることを、両者のご両親は反対だったと聞きます。ご両親たちは、自身の家業を継いでくれることを希望していましたが、アンジェラさんたちは、親の決めた道ではなく、自分たちがやりたいと思う分野で成功を収めたいと思っていたそうです。

そのヴェレノージは、今やイタリアを代表する造り手として高品質ワインを生産しています。そして、2016年にはアンジェラさんの故郷であるアブルッツォに自社畑を購入し、ヴェレノージのワイン造りをさらに拡大させていきます。今回インタビューを通して、そのアンジェラさんが持つパワーや飽くなき精神、向上心のようなものに圧倒させられました。

ワインについては、どれも生き生きとした印象がありました。「トレッビアーノ ダブルッツォ」は非常に親しみやすい味わいでバランスが良く、価格的にもそうですが、デイリーワインとして毎日飲んでも飲み飽きないと感じました。一方で「ヴェルソ セーラ」は一線を画す存在感を放っています。2018年ヴィンテージを今飲んでも、重厚感の中にどこか親しみのあるフレッシュさがあり、余韻も非常に長く、大変心地よい味わいでした。また、どう変貌を遂げていくのかと今後が楽しみな逸品でもありました。オーナーのアンジェラさんが「いつ開けてもよいワイン」とおっしゃった理由がよくわかりました。

デイリー、お食事のお供、もしくは単体として、様々なシチュエーションで味わえるヴェレノージの新プロジェクト「プローペ」のワインをぜひご堪能ください。
生産者と

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