TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2018/11/08

サンタ ソフィア社 ルチアーノ ベニョーニ氏

ユネスコ世界遺産の歴史的エリアの重鎮!エレガンスに満ちた古典的ヴァルポリチェッラ「サンタソフィア」

サンタ ソフィア社 ルチアーノ ベニョーニ氏と
1811年創業、「ボッラ」「ベルターニ」と並びヴァルポリチェッラエリアで200年以上の歴史を誇る3大生産者「サンタ ソフィア」はルネサンス後期に活躍した建築家アンドレア パッラーディオ氏によって 1565 年に設計されたこの地の偉大な建築「ヴィッラ・セレーゴ」を本拠地として、この地の歴史、文化を語る上で欠かせない建造物をカンティーナとして使用する歴史的ワイナリーです。繊細でエレガンスに富んだスタイルのクラシックな味わいのヴァルポリチェッラにこだわり、名門の名に恥じないワイン造りのために「小さな生産者」であり続ける事をポリシーとし、現代的なワイン造りの手法を取り入れながらもこの地の伝統的なワイン造りを守り続けています。サンタソフィア社のオーナー、ジャンカルロ氏の息子であるルチアーノ ベニョーニ氏にお話を聞きました。

ユネスコ世界遺産に登録された地で200年以上続く歴史的ワイナリー

全体図200年以上続く歴史的ワイナリー
まずサンタ ソフィアの歴史についてお話しましょう。私達は1811年に設立された200年以上続くワイナリーです。1811年当時はこのエリアでワインを造っていたのは3つのワイナリーしかありませんでした。「ボッラ」「ベルターニ」と、私達「サンタ ソフィア」です。3つのワイナリーの内、私達だけが経営が変わらずに続いています。現在では235を超えるワイナリーがアマローネを造っていますね。

カンティーナユネスコ世界遺産にも指定されたアンドレア パッラーディオ氏の建築
カンティーナはヴェローナから10キロ程北に進んだサンピエトロ イン カリアーノにあるペデモンテに位置しています。ペデモンテ内に新しいカンティーナを別に造る計画がありますが、昔からあるカンティーナから離れるつもりはありません。今から約1000年前、ペデモンテは「サンタソフィア」と呼ばれていた素晴らしい歴史があります。カンティーナは16世紀頃に大活躍した建築家アンドレア パッラーディオ氏によるもので、自分達が歴史的建造物をカンティーナとして使っているからです。この地の歴史的な建築「ヴィッラ セレーゴ」は1996 年、パッラーディオによるその他の建築とともにユネスコ世界遺産に指定されています。

歴史的にアマローネを造ってきた伝統的な「クラシコ」エリアにワイナリーを構える

歴史大歴史的にアマローネを造ってきた伝統的な「クラシコ」エリアにワイナリーを構える
現在は主に6つの生産地区でブドウ栽培を手掛けています。中でもマラーノ ディ ヴァルポリチェッラ、フマーネ、サンピエトロ イン カリアーノ、ネグラールの4エリアに渡る丘陵地帯「アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラシコ」がもっとも重要なエリアです。4つのエリアはそれぞれ異なる土壌とミクロクリマを持ちますが、私達はそのいずれのエリアでも最高の品質のブドウが生まれる場所に畑を所有し、細心の注意を払ってブドウ栽培を行っています。

ヴァルポリチェッラエリアはガルダ湖からソアーヴェエリアの間に位置しています。私達はヴァルポリチェッラ クラシコエリアにワイナリーを構えます。クラシコエリアは5つの村を含む歴史的にアマローネを造ってきた伝統的なエリアです。数年前にはクラシコエリアの中でクリュ的な存在である「ヴァルパンテーナ」に畑を購入しました。

私達にとって最も重要な2つのワインは「リパッソ」と「アマローネ」

年間約60万本生産
サンタソフィアは専ら赤ワインを造っているワイナリーになります。年間約60万本生産しています。部分的にソアーヴェ、ピノグリージョといった白ワインも造っていますが、私達にとって最も重要な2つのワインは「リパッソ」と「アマローネ」です。サンタソフィアとは別に、より気軽に日常的に楽しめる「アンティケッラ」という別ブランドのワインを年間約100万本リリースしています。

新聞日本で開催されたチャリティーガラディナーにワインを出品
1年に1回、ワイナリーの情報をこのように取りまとめてリリースしています。ワインの評価だけではなく、サンタソフィアに関するワインイベントも掲載しています。2017年3月、野鳥を保護する団体『バードライフ インターナショナル 東京』主催のガラディナー(東京と大阪)で、私達サンタ ソフィアの12リットルボトルを寄付し、会場でチャリティーオークションが行われました。

「常にエレガントでクラシックな味わいのリパッソを造ろうと思っています」

リパッソ「過度な重さではなく常にエレガントでクラシックな味わいのリパッソを造ろうと思っています」
私達は一般的なリパッソとは違うやり方を行います。私達の目指すリパッソは非常にフレッシュ感、フルーティさが感じられる味わいです。木樽熟成は9ヶ月間と一般的なリパッソで造られたワインに比べやや短めです。リパッソの味わいがあまり複雑になりすぎないように心掛けています。とはいえアルコール度数も14%ありますので、決してストラクチャーが弱いワインではありません。過度な重さではなく常にエレガントでクラシックな味わいのリパッソを造ろうと思っています。

「私達が重要だと思っている事は決して飲み手を疲れさせないワイン」
リパッソで造られたワインを「ベビーアマローネ」と考える方もいらっしゃいますが、リパッソはあくまでも製造方法の名前であり、アマローネとは違う製法です。

私達が造るヴァルポリチェッラ スーペリオーレの「モンテグラデッラ」はアマローネと同じ製法をたどっていますので、私達のベビーアマローネは「モンテグラデッラ」という事になります。

インタビュー私達が重要だと思っている事はエレガンスに満ちたワインであり、決して飲み手を疲れさせないワインです。アマローネにおいて約8割の生産者がアルコール度数16.5%以上のアマローネを造っています。(サンタソフィアのアマローネは15.5%に抑えています)アマローネが勿論素晴らしいワインである事は認めています。しかしストラクチャー、アルコール度数も大切な事ですが、飲み続けていけるかとなると、「少し難しいのでは」とも思っています。私達はエレガントさを持って飲み続けていく事が出来るワインを目指しています。

アパッシメントに適した条件を備える畑「モンテグラデッラ」

モンテグラデッラ畑アパッシメントに適した条件を備える畑「モンテグラデッラ」
「モンテグラデッラ」は畑名で標高190~330メートル、約24ヘクタールの広さでフマーネ地区とマラーノ地区の間に位置しています。一日中強い日差しが当たる場所です。暑くなる土地ですが、昼夜の寒暖差がとても大きいです。収穫時期でだいたい10~12度の差が産まれます。この土地で育つブドウは果皮に厚みがあり、アパッシメントに適した条件を備えます。今から20年前であれば収穫時期は10月中旬~下旬でしたが、現在は1ヶ月程早まり、9月10日~収穫を行う年もあります。

モンテグラデッラボトル「アマローネと同じ製法をたどっています」
「モンテグラデッラ」という名前でヴァルポリチェッラをリリースしているのは私達だけです。その一部はアマローネにも使われます。アマローネと同じ3つ品種(コルヴィーナ、ロンディネッラ、コルヴィノーネ)を使っています。アパッシメント期間は40~45日間で18~22カ月間オーク樽熟成させます。一方、アマローネになると90~100日間のアパッシメント、36ヶ月間の樽熟成、約9ヶ月間の瓶内熟成を経てリリースされます。アパッシメント、熟成期間に違いがありますが、アマローネと同じ製法をたどっています。

b>「30年以上にわたって生き続ける事が出来る長期熟成能力もしっかりとあるワイン」
一般的なヴァルポリチェッラの生産者はDOCヴァルポリチェッラクラシコ→スーペリオーレ→リパッソ→アマローネと順序がありますよね。サンタ ソフィアではリパッソ→モンテグラデッラ→アマローネとなります順序は他のワイナリーとは異なります。「モンテグラデッラ」はアマローネにとても近しい存在です。

「モンテグラデッラ」は香りにしても味わいにしてもアマローネを彷彿とさせる近しい品質があります。価格的にはアマローネよりもお安くお買い求め出来ますので非常に支持されているワインです。以前に1985ヴィンテージから垂直試飲を行いましたが、とても良かったですね。「30年以上にわたって生き続ける事が出来る長期熟成能力もしっかりとあるワイン」と評価をいただきました。

アマローネジョエ2007過去50年で17回のみ生産!「ジョエ アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラシコ」
1960年代に誕生した「ジョエ アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラシコ」は私達を代表するワインの一つで、過去50年で17回、良年(1964、1967、1969、1971、1974、1977、1983、1985、1988、1990、1993、1995、1997、1998、2000、2003、2007)だけ生産しています。『ジェームズサックリング』『ワインアドヴォケイト』『ワインスペクテーター』『デカンター』『ワインエンスージアスト』等でほぼ毎回90点以上のスコアを獲得しています。収穫後、大きな空調設備を整えた部屋(フルッタイオ)でプラスチック製の小箱に入れたブドウを約100 日アパッシメントさせます。様々な研究を重ねた結果、木製よりもプラスチック製の小箱の方がより良い結果となる事が分かったからです。ステンレスタンクでマセラシオンと発酵を行い、スロヴェニア産の大樽で24ヶ月熟成、その後ミディアムトーストの仏産バリック樽に移し変えて18カ月熟成させます。ボトリング後最低24ヶ月瓶内熟成を経てようやくリリースされます。

毎日でも楽しめる心地良い飲み口のワイン

60%メルロー、40%コルヴィーナのブレンドです。コルヴィーナはアマローネを造る私達にとって重要なブドウ品種であり、メルローからはフルーティさ、甘やかさが得られます。毎日でも楽しめるワインで心地よく飲めるようになっています。果実感がストレートに出てくるような味わいです。しかしながらストラクチャーは確りとあるので、レストランやワインバーでグラスワインとして人気があります。
メルロー コルヴィーナ2015

試飲
コメント

淡いスミレ色を帯びた透明感のあるルビーレッドの色調です。赤い花、ラズベリー、マラスカチェリー、リコリスなどのデリケートなアロマ。滑らかでスムーズ、かつエレガントな味わいです。アルコール度数13%ありますが、もたつきが無く、酸も攻撃的ではなくしっかりとした構成ながらも飲み心地の良さを感じます。余韻には適度な苦味があり、食事とも幅広く合わせられる懐の深さも感じます。

品質が高くバランスが取れた美しいリパッソ

私達は一般的なリパッソとは違うやり方を行います。私達の目指すリパッソは非常にフレッシュ感、フルーティさが感じられる味わいです。木樽熟成は9ヶ月間と一般的なリパッソで造られたワインに比べやや短めです。リパッソの味わいがあまり複雑になりすぎないように心掛けています。とはいえアルコール度数も14%ありますので、決してストラクチャーが弱いワインではありません。過度な重さではなく常にエレガントでクラシックなワインを造ろうと思っています。
ヴァルポリチェッラ リパッソ スーペリオーレ2014

試飲
コメント

サワーチェリーやプラムなどの果実の香りに、ドライフラワー、クローヴ、シナモンなどの複雑で豊かなアロマが重なります。ここ地良い果実の厚みに美しい酸が重なり中盤から感じられるスパイスの風味が広がります。豊かな味わいながら要所を外さない引き締まったボディ、エレガントで長い余韻も愉しめます。品質が高くバランスが取れた美しいリパッソです。

緻密で隙の無い上質なヴァルポリチェッラ

「モンテグラデッラ」は香りにしても味わいにしてもアマローネを彷彿とさせる近しい品質があります。価格的にはアマローネよりもお安くお買い求め出来ますので非常に支持されているワインです。以前に1985ヴィンテージから垂直試飲を行いましたが、とても良かったですね。「30年以上にわたって生き続ける事が出来る長期熟成能力もしっかりとあるワイン」と評価をいただきました。
モンテグラデッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ スーペリオーレ2014

試飲
コメント

強い輝きのあるルビーレッド。プラム、マラスカチェリー、クローヴ、シナモン、バニラの複雑で力強いアロマ。タンニンは溶け込んでおり、果実の滑らかさ、アルコールと酸のバランスに優れていて実にエレガントで繊細な一面を備える。生まれながらにして品格を備えたかのような成熟した印象の緻密で隙の無い上質なヴァルポリチェッラ。余韻にはアマローネを彷彿させる心地よい苦味が広がります。

現時点でも楽しめる卓越したバランスが既に存在

1960年代に誕生したアマローネのジョエは私達を代表するワインの一つで、過去50年で17回、良年だけボトリングしています。収穫後、大きな空調設備を整えた部屋(フルッタイオ)でプラスチック製の小箱に入れたブドウを約100 日アパッシメントさせます。ステンレスタンクでマセラシオンと発酵を行い、スロヴェニア産の大樽で24ヶ月熟成、その後ミディアムトーストの仏産バリック樽に移し変えて18カ月熟成させます。ボトリング後最低24ヶ月瓶内熟成を経てようやくリリースされます。
ジョエ アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラシコ2007

試飲
コメント

優れた収穫年のみに作られるサンタソフィアの最上級アマローネ。暗いルビーレッド。サワーチェリーのジャム、マラスカチェリー、プラム、乾燥イチジクの複雑な印象。チョコやドライフラワーなどの第三のアロマが時間と共に感じられます。力強いボディにイキイキとした酸の美しい調和があり、現時点でも楽しめる卓越したバランスが既に存在しています。

インタビューを終えて

200年以上このエリアでワイン造りを続ける「サンタソフィア」の優美でエレガントな味わいのヴァルポリチェッラに魅了されたインタビューとなりました。ルネサンス期に活躍した建築家アンドレア パッラーディオ氏が残した歴史的カンティーナで、こだわりを持って造られるワインは現代的なワイン造りの手法を取り入れながらも、濃厚になりすぎず古典的な美しいスタイルが守られていて、「名門」の名に恥じないワイン造りのために「小さな生産者」であり続けるサンタソフィアのポリシーがしっかりと反映されたものでした。ヴァルポリチェッラを語る上で是非知っておきたい伝統的生産者「サンタソフィア」。是非一度お試しください。
サンタ ソフィア社 ルチアーノ ベニョーニ氏とトスカニースタッフ

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