TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2021/10/25

アルベル シャバーニ氏 Mr. Arber Shabani

ポッジョディソットやサリクッティで醸造責任者も務めたジュリオ ガンベッリの元右腕ジャンニ マッカーリ氏が新天地に進出し今大注目!『ルカ ガルディーニ』100点を獲得した繊細優美なブルネッロで話題沸騰中の超新星「リドルフィ」突撃インタビュー

ジャンニ マッカーリ氏
「リドルフィ」は近年話題沸騰中の新星で、2014年に醸造責任者に就任したジャンニ マッカーリ氏の改革により繊細優美なブルネッロを生産しています。マッカーリ氏は、ポッジョ ディ ソットとサリクッティで別格のブルネッロ造りに25年間携わり、名醸造家ジュリオ ガンベッリ氏の右腕としても鍛錬を積んだ輝かしい経歴を持つエノロゴです。彼の就任以降「絶対にブドウを植えてはいけない畑」に着手したり、ブルネッロ2016年が『ルカ ガルディーニ』で100点を獲得するなど話題は尽きません。今回は広報のアルベル シャバーニ氏に、エレガントを極めるブルネッロなどについてオンラインでお話を聞きました。

2011年にペレッティ社がリドルフィを購入。天才醸造家ジュリオ ガンベッリ氏の右腕として活躍したジャンニ マッカーリ氏が醸造責任者に就任

畑「リドルフィ」はモンタルチーノ北東部に位置する造り手で、かつてはフィレンツェの貴族リドルフィ家が所有していました。2011年に革製品企業のペレッティ社がワイナリーを購入し、その後エチケットをはじめ、ワイン造りを一新して生まれ変わりました。2014年には、ポッジョ ディ ソットやサリクッティで別格のブルネッロ造りに25年間携わり、ジュリオ ガンベッリ氏の右腕として活躍しエノロゴ、ジャンニ マッカーリ氏を醸造責任者として招聘します。

ジュリオ ガンベッリ氏・ジュリオ ガンベッリ(1925-2012)
イタリア随一の天才醸造家。カーゼ バッセ(ソルデーラ)やモンテヴェルティーネ(レ ペルゴーレ トルテ)などサンジョヴェーゼの最高峰を手がけ、ブルネッロの頂点ポッジョ ディ ソットで醸造責任者を務めたことでも知られる。

輝かしいキャリアで話題沸騰中の今を時めく超新星!
偉大なブルネッロ生産者で醸造責任者という大役を果たしてきたジャンニ マッカーリ氏


ジャンニ マッカーリ氏【マッカーリ氏の略歴】
・1990~2009年 ポッジョ ディ ソット
(2000~2009年 醸造責任者)
・2009~2014年 ポデーレ サリクッティ 醸造責任者
・2014年~現在 リドルフィ 醸造責任者

マッカーリ氏は、2009年、当時18歳という若さでブルネッロの頂点「ポッジョ ディ ソット」でキャリアをスタートさせます。同ワイナリーでは、名醸造家ジュリオ ガンベッリ氏の右腕としても活躍し、2000年から退職する2009年までの10年間、醸造責任者の大役を果たしました。2009年から2014年までは、ブルネッロのトップ生産者「サリクッティ」でも醸造責任を務め、化学出身の理知的なオーナーのもと、優雅で洗練されたブルネッロ造りに貢献します。

2014年から「リドルフィ」の醸造責任者に就任すると、マッカーリ氏は様々な改革に着手します。就任後すぐに畑をビオロジック栽培に転換し、セラーも機能と衛生面向上のため全面的にリノベーションを実施しました。また、リドルフィが所有する「ブドウのみならず植物一般の栽培には向かない」とされた土壌に興味を持ったマッカーリ氏は、リドルフィで仕事を始める前からリサーチを続けてきました。そして土壌やミクロクリマに合わせた7つのクローンを選び、新しくブドウを植えたのです。リドルフィ醸造庫

「塩分を多く含む灰色の海洋性堆積土壌」が点在するエリアで繊細優美なブルネッロを生産!
本来は懸念する「雨」を待ってから収穫を行うことで伸びやかな酸を表現!

リドルフィが所有するモンタルチーノ北東部メルカターレ地区の畑は、「塩分を多く含む灰色の海洋(性堆積)土壌」が点在しており「ブドウのみならず植物一般の栽培には向かない」とされていました。

マッカーリ氏は、その塩分が多くて植物全般に向いてないとされる土壌から生まれるブドウのストラクチャーに興味を持ちました。しかし、害となる塩分をどうにか和らげないといけないため、大量の石灰を撒くことを決めます。すると、水(雨)に溶けた塩分を地中3メートル下まで流すことに成功しました。それにより、塩分の多い3メートル以下まで根を張らずに横に広がっていく台木をセレクトし、新しくブドウの樹を植えています。そして、海洋性堆積土壌とガレストロ土壌のブドウをブレンドして、繊細でエレガントなブルネッロを輩出しています。

リドルフィ土壌の違い「雨を待ってから収穫することが大事。待つことでアルコール度が少し下がり、伸びやなか酸が生まれます」
ソムリエ資格を持ちリドルフィの広報を担当するアルベル シャバーニ氏に、ワイナリー独自の収穫エピソードを語っていただきました。
広報シャバーニ氏「多くのワイナリーは雨が降る前に収穫をするのが一般的ですが、私たちは雨を待ってから収穫をします。収穫期の9月は逆に雨が降るように祈って、畑が乾くのを待ってから収穫しています。雨が降ると夜はすごく寒くなって、そして暑くなります。それが果皮の成熟にとってとても重要な瞬間なのです。雨を待つことでアルコール度が少し下がり、伸びやなか酸が生まれます。

2021年は収穫期になかなか雨が降らなかったんです。諦めて収穫しようと思った時に、空の様子が変わってきたので、1週間後に雨が降ってきました。リドルフィは雨を欲しているんです(笑)。他の造り手は私たちより早く収穫していて、周りの畑を見渡すと見事にリドルフィだけブドウが残っていました。すると、近隣のワイナリーから“リドルフィのところだけ雨が降らなかったのか?”と電話が来たんですよ(笑)」

最新の光学センサーでブドウを超厳選!
類稀なエレガンスが光るブルネッロ ディ モンタルチーノ

リドルフィが導入する“高速に選果する機器”についてシャバーニ氏に話していただきました。
選果する機器「リドルフィは、最新の光学センサーを使ってブドウを選別しています。これは、ブドウの成熟度を瞬時に判別する機械で、低品質だったり熟していないブドウを弾いていきます。ものすごい速さなんです。一度、弾かれたブドウを見せて“これは大丈夫でしょ?”とジャンニに言ったことがあるんです。そしたら“食べてみろ”と言うので食べてみたら、確かに他のものより酸っぱく成熟度が低かったんです。

人間が選果していたら、それが弾かれることはありませんでした。去年はその機械によって4トン分のブドウが弾かれました。それは1ヘクタールに値するブドウの粒です。残ったブドウは、除菌用のアルコール造りに使いました」

今度は「全てエレガントでなければならない」というリドルフィのワインについてお話していただきました。
「私たちのロッソ ディ モンタルチーノは、決してブルネッロの格下という位置づけではありません。まずお客さんに飲んでいただくリドルフィの名刺代わりとなるワインです。ブルネッロ用やロッソ用などのブドウとして分けてはいませんし、全ての畑でサンジョヴェーゼ グロッソとして栽培されています。

醸造責任者のジャンニは、発酵した時点でどれをロッソにするかブルネッロにするかを決めています。全てのワインがエレガントでなければなりませんが、その中でも少しだけ華やかだったり、早く飲めそうなものを選んでロッソとして造ります。ロッソとブルネッロは、熟成期間と使用する樽くらいしか違いはありません。ロッソはより小さい樽で、ブルネッロはトノーで熟成します。小さい樽を使用したほうが酸化が早くてより軽快になり、トノーを用いることでゆっくりと安定した状態のまま熟成が進みます。

リドルフィ醸造庫リゼルヴァは、他のワインには使わないイタリアのガンバ社のスラヴォニアオーク樽100%で熟成させ、無濾過で瓶詰めをしています。ヴィーニャ デル ポッジョーネという単一畑で栽培されたブドウで造っています。多くの人からブドウの樹齢をよく聞かれることがあります。確かに高樹齢のブドウは高品質ワインを産みますが、私たちが2014年頃に植えた5~6年のブドウはすでに高品質で、とてもいいブドウです。リゼルヴァに入れることもあるくらいです。古樹は、必ずしもその土壌に合ったものが植えられているわけではないのです」リドルフィ全員集合

近年好評を博す優美なブルネッロの造り手「リドルフィ」が造るキャンティ!
ジューシーな果実味とソフトで親しみのある味わい

優美なブルネッロを生産するリドルフィはキャンティエリアのピストイアでもキャンティを生産しています。4ヘクタールの畑で造るサンジョヴェーゼ75%、メルロー15%、カナイオーロ10%がブレンドされています。ブドウは9月下旬に収穫され、温度管理されたステンレスタンクで発酵とマセレーションを行います。マロラクティック発酵後は、アルコール発酵直後の10月に行われます。牛肉料理、やや熟成されたチーズ、ミートソースパスタに最適なキャンティです。
キャンティ ロッケット2020

試飲
コメント

紫がかったルビー色。香りは紫系果実が前面に出ており、わずかな赤系果実とミントも感じます。口当たりはソフトでジューシーな果実とエレガントな味わいが広がっていきます。滑らかなタンニンとフレッシュな酸味のバランスが優れていて親しみのある風味。

優美なブルネッロの造り手として存在感を増すリドルフィ!
クリーンな果実味と美しい余韻が際立つロッソ ディ モンタルチーノ

リドルフィのロッソ ディ モンタルチーノは、ブルネッロの格下という位置づけではなく、まずお客様に飲んでいただくワイナリーの名刺代わりとなるワインです。ブルネッロ用やロッソ用などのブドウとして区別しているわけではなく、1種のサンジョヴェーゼ グロッソとして栽培されています。

醸造責任を務め、これまで名だたるブルネッロを生産してきたジャンニ氏は、発酵した時点でどれをロッソにするかブルネッロにするかを決めています。全てのワインがエレガントでなければなならず、その中でも少しだけ華やかであったり早く飲めそうなものをロッソとして選んでいます。ロッソとブルネッロの違いは、熟成期間と使用する樽にあります。ブルネッロはトノーで、ロッソはより小さい樽で熟成します。小さい樽を使用したほうが酸化が早く、より軽快になるためです。
ロッソ ディ モンタルチーノ2018

試飲
コメント

ガーネットに近い明るいルビー色。クリーンで明るい複雑なアロマ。フレッシュな酸味と透明感のある赤い果実が際立ち、非常にエレガントな味わい。森や革のニュアンスもあり、しなやかな印象です。ブルゴーニュ型グラスでも試飲をしましたが、繊細でエレガントな余韻が綺麗に続きます。1時間ほど経つと、驚くほどにエレガントさが何倍にも増します。

『ルカ ガルディーニ』100点!
圧倒的な透明感のある果実味が光る繊細優美なブルネッロ

リドルフィが所有する14haある畑は、ガレストロ土壌と“塩分を多く含む灰色の海洋(性堆積)土壌”とが点在したエリアにあり、多くの生産者が敬遠してきた場所でブルネッロを生産しています。そんなエリアで造られるブルネッロ ディ モンタルチーノは、非常に透明感のある果実味を持ち、繊細でエレガントな味わいが引き出されています。酸味、ミネラルが際立ち、バランスに優れた綺麗なブルネッロです。ロッソとブルネッロの違いは、熟成期間と使用する樽にあります。ブルネッロはトノーを用いていて、ゆっくりと安定した状態のまま熟成が進んでいきます。この2016ヴィンテージは、なんと『ルカ ガルディーニ』で100点を獲得し、「驚きを絶やさないラベル」と評されています!
ブルネッロ ディ モンタルチーノ2016

試飲
コメント

縁がガーネットに近い鮮やかなルビー色。フレッシュさが際立つ赤い果実のアロマで、非常にエレガントです。ミネラルのニュアンスもあります。味わいは香り同様に明るい赤い果実が口の中を軽やかに駆け上がっていき、繊細さの中にもコクやしっかりとした芯を感じます。土や森などの要素もあります。2日後にも再度試飲を行いましたが、エレガントさが増していました。

『ルカ ガルディーニ』98点!
単一畑で良年のみ造られる優美なリゼルヴァ「メルカターレ」

リゼルヴァ「メルカターレ」は、ヴィーニャ デル ポッジョーネという単一畑で栽培されたブドウを用いて良年のみ造られます。マセレーションはブルネッロと比較すると1ヶ月間長く、90日間行っています。樽は、他のノーマルのブルネッロやロッソには使わないスラヴォニアオークを用いて、ノンフィルターで瓶詰をしています。

リゼルヴァには樹齢の若いブドウを使うこともあるそうで、そのことについて広報担当のアルベル氏はこう話します。
「多くの人からよくブドウの樹齢について聞かれます。確かに高樹齢のブドウは高品質ワインを産みます。しかし、私たちが2014年頃に植えた5~6年のブドウはすでに高品質で、とてもいいブドウです。リゼルヴァに入れることもあるくらいです。必ずしもその土壌に合った古樹が植えられているわけではないのです」
ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ メルカターレ2015

試飲
コメント

淡いガーネット色。繊細でクリーンな赤い果実香。グラスを回すとふわっと上品な香りが広がり、森や革のニュアンスも現れました。おしとやかなタンニンと透明感のある果実味が見事に調和し、旨味を感じる風味が繊細に長く続いていきます。

インタビューを終えて

透明感のあるブルネッロ ディ モンタルチーノに驚愕でした。キャンティに始まり、ロッソ、ブルネッロ、リゼルヴァ、どれも非常にエレガント。特にロッソとブルネッロは、何より美しい果実味が特徴で、すーっと続く上質な余韻のある味わいでした。ロッソとブルネッロの試飲時には、ボルドー型とブルゴーニュ型のグラスを用意しました。すると、後者で飲んだ時のアロマや透明感のある果実味の突出具合が圧倒的に違うことに気づきました。お客様にはブルゴーニュ型グラスを強くお勧めいたします!

シャバーニ氏は「醸造責任者のジャンニ(マッカーリ)が来てからワインの味わいが大きく変わった」と話していましたが、それにしても醸造責任者の就任直後からこれほど優美なブルネッロを引き出したことに驚きです。そして、マッカーリ氏は醸造学を卒業しておらず、18歳からあのポッジョ ディ ソットで20年間も鍛錬を積み、天才醸造家ジュリオ ガンベッリ氏の元右腕という経歴を持つなど――もう驚きの連続でした…!

そんなリドルフィは現在、世界からスポットライトを浴びる今を時めく生産者です。シャバーニ氏はインタビュー後にスウェーデンに赴き、マッカーリ氏も海外滞在中とのことでした。それを考慮すると、今回リドルフィにお話を伺う機会をいただけたことは本当に貴重なことだったと再認識しました。『ルカ ガルディーニ』で100点を獲得したブルネッロ ディ モンタルチーノ2016年をはじめ、美しい繊細優美なリドルフィのワインをぜひお楽しみください!
生産者さんと

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