突撃インタビュー
2019/11/26
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輸出部長ジョルジョフラジャコモ氏
1974年、フランスワイン好きのオーナーがそれに負けない、エレガントなスーパートスカンを造るためジャコモタキスの勧めに従いキャンティクラシコの中で最も標高の高いグレーヴェ イン キャンティのルッフォリの丘に設立。2000年からビオディナミを実践、さらに動物由来のものも排除したビーガンでのワイン造りを徹底するクエルチャベッラ突撃インタビュー
フランスワイン好きのオーナーがそれに負けない、エレガントなスーパートスカンを造るためジャコモタキスの勧めに従いキャンティクラシコでもっとも標高の高いルッフォリの土地を購入
ジャコモ タキス氏から「ブルゴーニュみたいなエレガントワインを造りたいのだったら、標高が高くて山奥まで行かなくては」とアドバイスされ、見つけたのがトスカーナで二番目に高い山グレーヴェ イン キャンティにある、クエルチャベッラ山のルッフォリという丘の畑でした。後にこの丘には、ヴィットリオフィオーレ氏がポッジョ スカレッティを設立。現在でもごくわずかな生産者しかいません。
理想的なワインを造ろうと突き詰めた結果スーパートスカンに
フランスワインに負けない、エレガントなワインを目指して造ったのが「カマルティーナ」です。「カマルティーナ」のファーストヴィンテージは1981年。当時、キャンティを造るには5-15%の白ブドウを入れて醸造する決まりがありました。白ブドウを使わずに、理想的な赤ワインを造るには、キャンティの規定ではリリースできないので、格付けの低いヴィノダターボラ(VdT)で造るしかありませんでした。また、今は温暖化でそうではありませんが、ルッフォリの丘の標高は450から600メートルなので、夏でも夜は寒く、サンジョヴェーゼは完熟せず、1970年代はサンジョヴェーゼ100%で理想的なワイン造るには冷涼過ぎました。
一方、砂質のグレーヴェの土地では、カベルネ ソーヴィニョンが成功していました。このような理由から、カベルネ ソーヴィニョンとサンジョヴェーゼをブレンドしたスーパートスカンの「カマルティーナ」が誕生しました。
カマルティーナの生産量は、他のスーパートスカンに比べると少量で、年産1万本程度です。クエルチャベッラの所有畑は106ヘクタールで他のワインを全て合わせても25万本です。
テヌータ サン グイドは約90ヘクタールの畑がありサッシカイア単体で18万本、テヌータ デル オルネライアは約76ヘクタールでオルネライアだけで約13-14万本造られています。
クエルチャベッラは当初自分達で飲むために生まれたワイナリーなので、商業的なワイナリーとは少し違うニュアンスがあります。
有機栽培を導入。さらにビオディナミ、そして2代目セバスティアーノ氏がビーガンへ
2010年に二つの大きな転換がありました。
一つは、オーナーのセバスティアーノ氏が動物性の食品(卵や乳製品も)を一切避ける完全菜食主義のビーガンになり、この考えをワイン生産にも持ち込んだ事です。ワインを清澄する際、通常は卵由来の成分を使いますが、そういった動物由来の物質は一切使わなくなりました。また、ビオディナミ栽培の調合剤プレパラートは、牛の角などを使っていますが、これも同様に使わなくなりました。そのプレパラートの代わりに35種類の植物を畝の間に植えています。
ビオディナミ農法の考え方を学び、基本的な考え方を取り入れてきましたが、自分たちのビーガンの考え方やトスカーナの気候にあった独自のビオディナミ栽培を始めました。
二つ目は、2010年にピエモンテのバローロの生産者として有名な「ヴィエッティ」のオーナーでもある、ルカ クッラード ヴィエッティ氏が、クエルチャベッラの新しい醸造家になったことです。南アフリカ出身の父親とイタリア人の母親を持つ醸造家です。ルカ クッラード ヴィエッティ氏は、畑を1ヘクタールぐらいの小さな区画に分けて、別々に醸造する小規模醸造を持ち込みました。サンジョヴェーゼだけ70区画あり70樽使います。このことにより、出来上がるワインのより細かい調整が出来る様になりました。木樽醸造・木樽熟成も始めて、新樽率が下がり、さらにピュアな味わいのワインを生産出来る様になりました。
村名表記への戦いからグランセレツィオーネは意地でも造らない!
クエルチャベッラのキャンティクラシコはリゼルヴァも含めてサンジョヴェーゼ100%で生産されます。コムーネ別産地の内訳は70%グレーヴェ・イン・キャンティ産、20%ガイオーレ・イン・キャンティ産、10%ラッダ・イン・キャンティ産。
●グレーヴェ イン キャンティは砂質中心の土壌で繊細で綺麗な酸味、滑らかな舌触りでまろやかなタンニンのワインが生まれます。昔はグレーヴェのサンジョヴェーゼだけ使っていてカベルネ ソーヴィニョンをブレンドしていました。
●ガイオーレ・イン・キャンティは、土壌は石灰岩と泥がギュッと詰まった堅い石アルべレーゼを多く含み、力強いワインが産まれます。
●ラッダ・イン・キャンティは、砂利もしくはガレストロを含んだ石灰質に富む粘土質土壌でアロマティックなワインが出来上がります。
それぞれの特徴を生かしブレンドしています。実は別々のコムーネのサンジョヴェーゼでワインを造り醸造しボトリングもしていますが、まだどうするか決めていません。クエルチャベッラの「キャンティクラシコ リゼルヴァ」は、実質は「キャンティクラシコ グランセレツィオーネ」です。
マレンマで造られる熟したイチゴのアロマがあるフレッシュな赤
サンジョヴェーゼ50%、カベルネ ソーヴィニョンとメルロー25%ずつのブレンドです。他のワインもそうですが、2010年以降は自然酵母で自然発酵です。清澄に卵白由来の成分は使いません。このワインのラベルはクエルチャベッラで唯一毎年変わります。2016年はラベルにパスタが描かれていますが、これはクエルチャベッラの自社製品で、卵と乳製品を使わないビーガンのパスタです。
トリュフの上質な熟成香!マレンマで造られるトップキュヴェ
試飲
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トリュフなどの上質な熟成香。舌触りの良いシルキーできめの細かいタンニン。マレンマのワインの中では酸がしっかりしていて、バルサミコのトーンもあります。
クエルチャベッラの看板ワイン!サンジョヴェーゼのピュア表現
クエルチャベッラのキャンティクラシコはリゼルヴァも含めてサンジョヴェーゼ100%で生産されます。コムーネ別産地の内訳は70%グレーヴェ・イン・キャンティ産、20%ガイオーレ・イン・キャンティ産、10%ラッダ・イン・キャンティ産。
グレーヴェ イン キャンティは砂質中心の土壌で繊細で綺麗な酸味、滑らかな舌触りでまろやかなタンニンのワインが生まれます。昔はグレーヴェのサンジョヴェーゼだけ使っていてカベルネ ソーヴィニョンをブレンドしていました。
ガイオーレ・イン・キャンティは、土壌は石灰岩と泥がギュッと詰まった堅い石アルべレーゼを多く含み、力強いワインが産まれます。
ラッダ・イン・キャンティは、砂利もしくはガレストロを含んだ石灰質に富む粘土質土壌でアロマティックなワインが出来上がります。
それぞれの特徴を生かしブレンドしています。
年産は約70000本。キャンティを造る際に樽はバリックとトノーを併用して新樽は使いません。
キャンティクラシコも熟成期間を長くとっているので、実際はリゼルヴァとしてリリースすることが可能です。
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スミレやチェリーのピュアでチャーミングなアロマ。サンジョヴェーゼの心地よさを引き出した模範的なキャンティクラシコ。
最良区画のブドウのみで造られる実質グランセレツィオーネの格上リゼルヴァ
しかし、キャンティクラシコの生産エリアは7200ヘクタール以上あり、広すぎて一つにまとめるには無理があります。例えばグレーヴェとラッダでは全く土壌も標高も違います。私たちは、グランセレツィオーネの規定としてコムーネ名を「グレーヴェ グランセレツィオーネ」の様に表記させ、コムーネ別にリリースするべきだと考えています。
現在は、このコムーネの問題を協会へ抗議していている最中なので、クエルチャベッラが所有するキャンティクラシコの三つのコムーネ「グレーヴェ」「ラッダ」「ガイオーレ」で造られた、実際はキャンティクラシコ グランセレツィオーネとして販売できるワインは私たちのキャンティ クラシコ リゼルヴァに入っています。
ノーマルとの違いは、樹齢の差など。70区画に分けているので、全て試飲して厳選します。二年間バリックで熟成させて、年産は約20000本です。
試飲
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カシスとバリック由来のヴァニラが複雑で洗練されたアロマ。凝縮した果実味とサンジョヴェーゼの心地よい酸のハーモニーが素晴らしい渾身のリゼルヴァ。
エレガントなワインを求めて造り出した、クエルチャベッラを有名にしたスパートスカーナの赤
他の著名なスーパートスカンは、すでに2016年がリリースされていまが、カマルティーナは飲み頃になるまで、瓶熟成させるので、最近になってイタリアでは2013年をリリースしました。
今の醸造家になってから、クリーンでシンプル、そしてエレガントになりにました。20年ぐらい熟成させて欲しいワインです。
試飲
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チョコレートの甘い香りと、きのこなどの熟成香があります。エレガントなスタイルできめの細かい滑らかな飲み心地です。
クエルチャベッラを有名にした白のスーパートスカン!イタリアの偉大な白!
世界中から、毎年17000本のリクエストがありますが、バタールの年産は10000本程度で、生産量が急増することはありません。バタールはピノ ビアンコが命のワインで、ピノ ビアンコの比率が50%を下回らないようにしています。シャルドネがメインのワインになることは無く、シャルドネが余ったら売ってしまいます。実際2002年はシャルドネが不作でピノ ビアンコ100%で造られています。トレッビアーノやマルヴァジアは抜いてしまったので、白ワインはバタールしか造っていません。
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2016
まだ非常に若いヴィンテージです。長期熟成させたい、とても良いヴィンテージです。焦がしたオレンジピールや溶かしバターの様なクリーミーさがあります。
2011
2010年まではバトナージュを行っていましたが、酸化を防止するために、バトナージュを減らしました。その代わりに樽をひっくり返して、澱を舞わせてバトナージュの効果を得ます。栗のような香ばしい熟成のアロマがあります。毎年のように高い評価されているバタール。偉大な赤ワインのように、ゆうに10~15年の熟成のポテンシャルも持ち合わせています。今飲んでも十分美味しいですし、しばらく寝かせてから、バタールの奏でる、清らかで深く美しい味わいを楽しむこともおすすめです。
2002
2002年は秋に降った大雨の影響でシャルドネに大きな影響を与えた年になりました。対して成熟の早いピノ ビアンコは素晴らしい年になりました。ミネラルと厚みのある酸味、ふくよかな果実味があり素晴らしい黄金色で熟した果実の風味とアーモンドや炒ったナッツの香ばしい風味と調和しています。程良い凝縮度も健在で滑らかな舌触りがとても印象的な2002年でした。
試飲
コメント
熟したイチゴ、ブラックベリー、黒こしょうの豊かなアロマ。香りは熟した果実のニュアンス。心地よいフレッシュな酸が重すぎないエレガントな印象を生み出します。