TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2023/02/20

アレッサンドロ コスタ氏 Mr. Alessandro Costa

ロエロ アルネイスの中心地モンタで3代続く家族経営ワイナリー!ミネラル感溢れる北部のテロワールを映し出す「ニーノ コスタ」突撃インタビュー

生産者さん
バローロ、バルバレスコの北に位置するアルネイスの銘醸地ロエロに根付く家族経営ワイナリー「ニーノ コスタ」。ワイナリーの歴史は、20世紀初頭に初代のジェピン氏が現在の畑の一部を購入したところから始まります。生産量、品質ともに著しく向上したのは、2009年に3代目アレッサンドロ氏が経営を引き継いでから。砂や石灰を多く含む本拠地モンタダルバの特徴を存分に引き出し、フレッシュでミネラル感溢れるロエロ アルネイスとランゲネッビオーロを造りだしています。今回は、アレッサンドロ氏をお迎えして、ワイナリーの歴史やご自身、ワインについてお話を聞きました。

1900年代初頭からロエロ北部モンタダルバに根付く造り手「ニーノ コスタ」

――今日はよろしくお願いします。まず、ワイナリーについてお聞かせください。
 私はニーノ コスタの3代目、アレッサンドロ コスタです。ワイナリーは、ロエロ地区の北部にあるモンタ市に位置しています。私の祖父が、1900年代に畑を購入したことから歴史が始まりました。当時はブドウ以外の果物も造っていました。

2000年代から生産量と品質が著しく向上
 ブドウ畑に専念し、ワイナリーとして機能し始めたのは87~88年頃、父親の代からです。当時生産していたワインは6000本ほどで、地元に向けたものでした。私は大学で醸造学を勉強し、海外のワイナリーで経験を積んだ後、2009年に経営を引き継ぎました。約15年経った今、生産本数は9万5000本まで増加し、評価誌でも最高賞を受賞するまでになりました。

砂から粘土までグラデーションのように変わるロエロの土壌
――ロエロ全体と本拠地について教えてください。
 ロエロの心臓部、中心地はモンタダルバ、カナーレ、サントステファノ ロエロです。ロエロの特徴はグラデーションのように土壌が変わることです。つまり、場所によってテロワールが異なります。本拠地のモンタは、他と比べてより砂が多い地域です。タナロ川方面(バローロ方面)の南に行けば行くほど、土壌は粘土に変わります。同じロエロでも、30キロ圏内でかなり違いがあります。
ロエロ地図
醸造学校を卒業後、世界中のワイナリーを巡った3代目アレッサンドロ氏
――アレッサンドロさんは、大学卒業後どこの国に行かれたのですか?
 1年ほど世界のワイナリーを巡りました。オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、アルゼンチン、カリフォルニア、オレゴン、ボルドーです。ボルドーが一番長く、6ヶ月滞在しました。

――ワイナリーに入って経験を積まれたのですね。
 そうですね。オーストラリアやニュージーランド、南アフリカでは、様々なことを経験しました。一方で、とあるボルドーのワイナリーでは任される作業が非常に制限されていました。世界に名だたるワイナリーだったので、1ヶ月半も現場にいれたことは大変いい経験になりましたけどね。

――どこのワイナリーだったんですか?
 シャトー ペトリュスです。

――ええ…! それはすごい(笑)。
 バリックの清掃はよくやりました(笑)。個人的に満足した後日談があります。一人、仲良くなった上司がいたんです。私がボルドーを離れた後、彼はピエモンテまで私たちを訪ねてきてくれました。その時に、「君のワインを試飲させてよ」と言われたので、私はペトリュスの時のリベンジとして「ダメだよ」と冗談で断ったんです(笑)。ボルドーでの経験も忘れられないですね。
畑

3代目アレッサンドロ コスタ氏によるワイン解説

ロエロ アルネイス セミナリ/5つの畑をブレンドして造るクラシックアルネイス
 セミナリは、2つの丘にある5つの畑をブレンドして造るクラシックアルネイスです。一つは酸、一つは香り、一つはリッチさなど、各畑で特徴が異なります。それらを別々に醸造し、毎年同じような香りや味わいが出るようにブレンドしています。味わいはフレッシュ&フルーティ。アペリティーヴォや魚料理に最適です。セミナリとは、セミナーという意味です。畑の近くにある教会でキリスト教徒になるための勉強会が開かれていたことから、セミナリと名付けました。

ロエロ アルネイス サルン/骨格、複雑性に富んだ単一畑アルネイス
 サルンは、2つの丘の下に位置する円形劇場型の単一畑です。サルンの特徴であるミネラル溢れる味わいは、豊富な石灰質土壌から来ています。標高はそこまで高くないので、湿気があり水分不足になりません。そのため優れた骨格も生まれます。去年のクリスマスに、2016年のサルンを飲みましたが完璧な味わいでした。やっと造りたい味わいが完成しました。セミナリと違って、サルンは全ての食事に合わせられるワインです。複雑性もあるので、しっかりとした味わいの食事にも合わせられます。

ランゲ ネッビオーロ カボラ/飲み心地の良いミネラル溢れるネッビオーロ
 カボラは、ミネラル感のあるネッビオーロを造りたいという思いで生まれました。私たちが造るネッビオーロの中で最も飲み心地に優れ、親しみやすいワインです。私が好きなピノネロに近い味わいにしたかったので、ピノネロのようなフレッシュ感を出しながら、ネッビオーロの華やかさを表現しています。最後の6ヶ月間だけバリックで熟成させることが私のこだわりです。
ボトルイメージ

バランスに優れたフレッシュなエントリーアルネイス

畑は標高200~300メートル、南東~南西向きの斜面。砂質の混ざった石灰岩土壌。アルネイス100%。ステンレスタンクにて発酵。同容器内シュールリーにて3ヶ月熟成。ペールイエローの外観。白い果実やフレッシュハーブの香り。バランスの良い酸と塩味も感じられ、サラサラとしたミネラルとともにフレッシュな味わいが広がります。
ロエロ アルネイス セミナリ2021

試飲
コメント

麦わら色。香りは柔らかくフレッシュな柑橘系、ミネラル感。味わいも香り同様に柔らかくフレッシュ。レモンや青リンゴを感じるジューシーで綺麗な風味。

『ガンベロロッソ』最高賞トレビッキエリ常連!リッチな果実味と豊富なミネラル感

標高348メートル、南向き斜面、砂質粘土土壌の畑。アルネイス100%。ステンレスタンク発酵、同容器内シュールリーにて6ヶ月熟成。淡い麦わら色の外観。熟れた洋梨やグレープフルーツ、アロマティックなハーブの香り。口中にはふくらみのある果実味と共に豊富なミネラルが感じられ、余韻に掛けても同様のニュアンスが心地よく持続します。
ロエロ アルネイス サルン2021

試飲
コメント

麦わら色。白い果実、ミネラル、ハチミツ、奥行きのあるリッチな香り。甘やかさもあります。口に含むと、程よいボリューミーな風味が広がり、フレッシュな酸、ミネラル、白い果実が層になってやってきます。食事が欲しくなるような鋭い酸が際立つ長い余韻が持続します。

赤系ベリーの甘やかな果実味が広がるランゲネッビオーロ

標高200~300メートル、南西向き斜面、砂質粘土質土壌の畑。ネッビオーロ100%。ステンレスタンクにて1週間の低温マセラシオン(5度)、発酵、同容器内にてマロラクティック発酵。6ヶ月熟成。紫がかった明るいルビー色。カシス、スミレとシナモンなどのスパイス香。やわらかい口当たりから綺麗な酸と共に赤系ベリーの甘やかな果実味が広がる。きめ細かいタンニンが舌の上に残り、余韻に果実の旨味が心地よく残ります。
ランゲ ネッビオーロ カボラ2021

試飲
コメント

淡いルビー色。赤い果実、キャンディのような軽やかな香り。香り同様の親しみやすい味わい。こなれたタンニンが骨格を生み出し、赤い果実の軽やかな風味の長い余韻を演出します。少し時間が経つと華やかさも現れます。

インタビューを終えて

アレッサンドロさんが先代からワイナリーを引き継いでから、生産本数を10万本近く増加させたことに驚きました。畑の改良、カンティーナの設備投資、醸造方法の見直し等々…品質向上のためにあらゆる努力をしてきたそうです。その過程で費やした労力は計り知れず、誰も真似できるものではないと思いました。

アレッサンドロさんが話すように、ニーノ コスタのワインはミネラル感に溢れていました。砂や石灰を多く含む本拠地モンタダルバの特徴が引き出されているのだと勉強になりました。2種のアルネイスは、両者ともにフレッシュですが、骨格や複雑性の違いをはっきりと感じ取ることができました。どれも親しみやすく美味しかったです。

来日後は、まだ彼らのワインが流通していないアジア諸国にも出張されたそうで、これからどんどん世界にニーノ コスタの名が知れ渡っていくと予想されます。また、畑も拡大中で、新たにティモラッソとピノ ネロを造る予定とのこと。

アレッサンドロさん率いるワイナリーが、将来どういう新しい姿を見せてくれるのかも楽しみでいっぱいです。
生産者さんと

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