突撃インタビュー
2023/10/12
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エットレ ドンツェッリ氏 Mr. Ettore Donzelli、アレッサンドロ ズマルキ氏 Mr. Alessandro Smarchi、マッテオ スカラヴェッリ氏 Mr. Matteo Scaravelli
公爵家ワイナリーから始まり、シチリア州営、そしてプライベート企業へ。紆余曲折の200年の歴史の中で一貫してシチリアワインを牽引!シチリア最大のプライベートグループワイナリー「ドゥーカ ディ サラパルータ」突撃インタビュー
1824年の創業と同時に誕生したシチリア初の瓶詰ワイン「コルヴォ」
1857年にジュゼッペの息子エドアルドが事業としてのワイン生産に着手しました。彼はフランスにも勉強に行くなど研究熱心な人でした。生産本数は約10万本で、この数字は当時としてはかなり多いものです。初めての輸出も行っています。
3代目のエンリコにより飛躍的に品質が向上、公爵家としての最後のオーナー4代目トパツィアの後、シチリア州所属に
(画像左:創立者ジュゼッペ アッリアータ公爵(1784-1844)、画像右:4代目トパツィア アッリアータ氏(1913-2015)
1898年に3代目のエンリコがワイナリー経営の責任者になります。彼はボルドーから醸造家を招聘して最新技術の導入を図りました。エンリコは食事やワインの楽しみ方、フードペアリング、ダイエット、菜食主義などにも造詣が深く、本も出版しています。
そして4代目のトパッツィアが責任者となります。彼女は当時としては非常に珍しい女性醸造家でした。この時代は世界的な戦争がたびたび起こった厳しい状況の中、彼女は第2次世界大戦後の1946年まで責任者を務め、公爵家一族として最後のワイナリーオーナーとなりました。
2001年イルヴァ サロンノ グループに参入し、シチリア最大のプライベートグループワイナリーに
1946年、ドゥーカ ディ サラパルータはシチリア州所属の企業となります。2001年にイルヴァ サロンノ グループに参入するまで私たちはシチリア州の公務員という立場でワインを造っていました。州の管理下にあった50年間、畑や技術設備にしっかり投資もしてより良いものを生み出していきました。1984年にはシチリア初となるネロダーヴォラ100%「ドゥーカ エンリコ」が、1987年には白のトップキュヴェ「ビアンカ ディ ヴァルグアルネーラ」が誕生しました。ドゥーカエンリコは初ヴィンテージが「ガンベロロッソ』でトレビッキエリを受賞しました。それまではシチリアでトレビッキエリを取るようなワインが造られたことはなかったので画期的でした。
シチリアの3つのエリアに自社畑を所有。シチリア各地のテロワールの個性を表現。
イルヴァ サロンノ グループに参入後、自社畑ワインに本格的に着手しました。自社畑はシチリアの3つのエリアにあります。北西部トラパニ県サレーミにある「リシニョーロ」、中南部カルタニッセッタ県リエージにある「スオール マルケーサ」、東部カターニア県カスティリオーネ ディ シチリアにある「ヴァヤシンディ」です。それぞれのエリアは気候や土壌が違うので適した品種も異なります。
リシニョーロは35haで、白ブドウに適しています。ここではグリッロ、インツォリアが栽培されています。スオール マルケーサは93ha。乾燥していてネロダーヴォラに最適です。ドゥーカエンリコもここで造られています。そしてエトナ北部のヴァヤシンディは2001年から始めました。19haで年間約6万本生産しています。2001年当時はエトナは現在ほどは注目されていませんでしたね。今は120社余りがエトナに進出していますが、ほとんどは小規模ワイナリーです。エトナの生産量の約8割は15社ほとで占めている状況です。
1 リシニョーロの畑
2 スオール マルケーサの畑
3 ヴァヤシンディの畑
徹底した品質管理のための醸造設備、研究・ラボラトリーの充実
シチリアで唯一2つのサステナブル認証を取得
ドゥーカディサラパルータのラボラトリーはローマ以南にある分析施設として最も優れていると評価されています。時々、分析をビジネスにしないのかと聞かれることがありますが、それはやりません。私たちのラボはあくまでもドゥーカディサラパルータのワインのためだけにありますから。
醸造に用いるステンレスタンクは洗浄や移動などすべて自動で行うことができる最新鋭の大型タンクを導入しています。容量としては50~60万リットルのものが主体です。100万リットルのものも1基あります。メインの醸造設備のあるカステルダッチョのカンティーナは、セメントタンクで560万リットル分、ステンレスタンクで96万リットル分、オーク樽で81万リットル分、バリックで19万リットル分のキャパシティがあります。
サステナブル認証も取得しています。シチリアは気候条件が良いのでサステナブルに取り組みやすいのですが、2つの認証を取っているのはドゥーカ ディ サラパルータだけです。
シチリア初のボトル詰めワイン「コルヴォ」はシチリアすべてを代表するワイン
現在、コルヴォシリーズは全部で10種類あります。大体ですが、3分の2が赤、3分の1が白です。ドゥーカディサラパルータ社全部で70万ケース生産していてそのうちの8割がコルヴォシリーズになります。ちなみに、ドゥーカディサラパルータ社は、生産量で全イタリア7番目です。
コルヴォはファーストプレスの果汁がメインですが、2回目、3回目と各プレスごとの特長も生かしてブレンドしています。
印象的なラベルデザイン!単一品種シリーズ「カラニカ」
「カラニカ」は単一品種で造るワインを主体にしているラインです。契約農家のブドウを使っています。ワインのイメージをシチリアに関係する動物や植物などで表現したラベルになっています。カラニカシリーズはすべて収穫は手摘みです。収穫したブドウは小さな箱に入れて温度管理のできる冷蔵車でカンティーナまで運んでいます。
白ワインがシャルドネとグリッロの2種類、ロゼがフラッパート主体の1種類、赤がフラッパート、ネロダーヴォラ、シラーの3種類です。土着品種と国際品種の両方で造っていますが、どれもがシチリアというテロワールに適した品種であることを表現しています。どのワインもミディアムボディで、毎日の食事に寄り添うスタイルです。良質な早飲みワインなので、リリースして比較的早くお飲みいただくとブドウ品種のフレッシュな味わいが楽しめると思います。
マルサラ史上初のトレビッキエリ
ヴェルジネは甘くないマルサラで、ミステッラやモストコットを入れずに造ります。昔はこのスタイルが主流でした。甘くないのでウイスキーを好まれる方にもお勧めできます。食後のワインですが、辛口なので食中酒として食事にも合わせられます。
もうひとつのこちらは「セミセッコ」です。セミセッコのカテゴリーは、残糖値が1リットル当たり40~100グラムです。発酵を止めたモストを加えて甘みを足します。ゴルゴンゾーラと相性が抜群です。このセミセッコは、現在ブルガリホテルでカクテルに使用されています。
1824年、シチリア初の瓶詰めワインとして誕生した「コルヴォ」の白
シチリアで国際品種から良いワインができることを証明!「良質な早飲みワイン」がコンセプトのカラニカシリーズ「シャルドネ」
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花や南国フルーツのアロマ。フレッシュさもありながら柔らかで心地よい甘みが広がります。素直に美味しいと感じるシャルドネ。
ハーブのトーンが印象的な白ワイン!「良質な早飲みワイン」がコンセプトのカラニカシリーズ「グリッロ」
試飲
コメント
爽やかなハーブの香りが印象的。イキイキとした果実味とともに酸をしっかりと感じる、フレッシュで広がりのある味わい。
自社畑のグリッロで造る上級白!力強さと厚みを感じる「カドス グリッロ」
試飲
コメント
フローラルなアロマ。しっかりとした香りの中にミネラルも感じます。力強さや厚みを感じるしっかりとした味わいです。
ジャコモ タキス氏のアイデアで実現!トスカーナのクローンから造るシチリアでは珍しいヴェルメンティーノ「センティエロ デル ヴェント」
試飲
コメント
フローラルでミネラルも感じる香り。リースリングのような硬質なアロマも感じます。飲むと爽やかでミネラルのある味わいが伸びやかに広がり、華やかな印象です。
重厚感とまろやかさを綺麗な酸が引き締めるエレガントな味わい!バリック発酵・熟成で造るフラッグシップ白「ビアンカ ディ ヴァルグアルネーラ」
インツォリアはデリケートで酸が控えめなのが特徴です。上品なアロマをブドウを冷却させることで引き出しています。柑橘類やバニラのニュアンスも感じます。厚みのある味わいなので白身肉や黒豚の料理に合わせるといいです。
試飲
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甘やかで上品な香り。深みのある味わいを綺麗な酸がバランスよく引き締めるエレガントなスタイル。香りに感じる甘さほどには味わいに甘みはなく、上質な辛口ワインであることを実感します。
1824年、シチリア初の瓶詰めワインとして誕生した「コルヴォ」のロゼ
試飲
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桜色の綺麗なピンク色。スミレなどの花の香り、華やかで甘やかな味わいが口の中を優しく広がります。上品な酸と甘みのエレガントなロゼワイン。
ほんのり柑橘系も感じる爽やかで上品な味わい!「良質な早飲みワイン」がコンセプトのカラニカシリーズ「ロゼ」
試飲
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淡いピンク色の外観。フローラルで白桃のニュアンス、ほんのりと柑橘系も感じる香り。爽やかな味わいで上品な美味しさがずっと続きます。
1824年、シチリア初の瓶詰めワインとして誕生した「コルヴォ」の赤
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ラズベリーやチェリーなどのフルーティーな香り。若々しくイキイキとしたアロマで花やスパイスのニュアンスも。シンプルで滑らか、非常にバランスがとれています。
甘やかなフローラルな香り!「良質な早飲みワイン」がコンセプトのカラニカシリーズ「フラッパート」
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明るいルビー色。華やかな香りが上品で飲み口も優しいライトボディ。柔らかく心地よい。
シチリアに適した国際品種!「良質な早飲みワイン」がコンセプトのカラニカシリーズ「シラー」
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やや煮詰めた果実感もあるフルーティーな香り。スパイシーなニュアンスと凝縮した果実味が楽しめる程よいボディの味わい。
シチリアを代表する土着品種赤!「良質な早飲みワイン」がコンセプトのカラニカシリーズ「ネロ ダーヴォラ」
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ラズベリーなどの果実味に野生のハーブのニュアンス。広がりのある味わいでしっかりとした甘やかなタンニンと長い余韻が印象的。
自社畑ラインで最も人気!ネロダーヴォラに最適の畑で造る上級赤「パッソ デッレ ムーレ」
試飲
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バニラやハーブのニュアンスを感じるアロマ。厚みのあるエレガントな味わい。スパイシーで複雑味も感じます。
シチリアワインの偉大さを初めて世界に知らしめた赤!自社畑の特別区画で造るフラッグシップ「ドゥーカ エンリコ」
試飲
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リコリスやスパイス、チョコレート、凝縮した果実のアロマ。濃密なジャムやスピリッツ漬けの果実などを感じる凝縮した味わいですが、強すぎず、濃すぎずで実にエレガント。清涼感すら感じさせる飲み心地の良い味わいです。
インタビューを終えて
今回、コルヴォの赤、白、ロゼを試飲してどれもバランスが良く、素直に美味しいと思えるワインで、世界中で愛され続けるのも納得です。さらにこの安定した美味しさを保つための品質管理のレベルの高さにも、さすがコルヴォだと実感しました。ビジネスができるほどのハイレベルなラボというのも凄い!と思いました。
カラニカシリーズは、ラベルもカラフルで並べて見ているだけでも楽しい気持ちになります。コルヴォシリーズがシチリア全体の代表で、カラニカシリーズがシチリアの各テロワールを表現しているということもわかりやすいと思います。広大なシチリアのそれぞれのエリアの個性に適したブドウによるカラニカシリーズは、飲み比べていくとシチリアを旅するような気分にさせてくれると思います。ぜひ全6種類試して頂きたいと思います。
ドゥーカ ディ サラパルータへのインタビューは今回で恐らく3回目ですが、そのたびに新たな驚きがあります。築き上げてきた地位に留まることなく、常に前進し続けているからこそ。まさに伝統と革新のワイナリーです。
試飲
コメント
好ましい果実の香りそのままのフルーティーな味わい。軽めのボディのバランスの取れたエレガントで心地よい美味しさでシンプルに楽しめます。