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Interview

突撃インタビュー

2023/08/22

フランチェスコ コルデーロ氏 Mr. Francesco Cordero

バローロ超名門「ヴィエッティ」コルデーロ家の新しい挑戦!いま大注目のピノ ネーロ産地「オルトレポ パヴェーゼ」にクリュの概念を導入し、創業直後から話題沸騰中の新星「コルデーロ サン ジョルジョ」突撃インタビュー

バローロの歴史的名門ヴィエッティを所有し活躍していたコルデーロ家の3兄弟フランチェスコ、ロレンツォ、カテリーナが2019年に起ち上げた家族経営ワイナリー「コルデーロ サン ジョルジョ」。ルーツを持つカスティリオーネ ファレットから、オルトレポ パヴェーゼに拠点を移し、ピノ ネーロを中心にエレガンス溢れるワインを生産しています。同地区は昔からピノ ネーロが根付くエリアで、現在は3000ヘクタールの栽培面積を誇り、欧州ではシャンパーニュ、ブルゴーニュに次ぐピノ ネーロの大産地です(国内では最大)。コルデーロは、オルトレポの潜在力にいち早く気づき、一番乗りでバローロで培ったクリュの概念を導入し、進出後早々に世界屈指とも言える高品質のピノ ネーロを生み出して話題を呼んでいます。今回は、当主のフランチェスコ コルデーロ氏と、輸入元フードライナー取締役の辻本恭三氏にワインを試飲しながら話を聞きました。

バローロの歴史的名門がピノ ネーロの大産地に進出!
オルトレポ パヴェーゼの新星「コルデーロ サン ジョルジョ」

2019年、カスティリオーネ ファレット村からオルトレポの一等地へ
――ボンジョルノ。今日はよろしくお願いします。まずは、ワイナリーについてお聞かせください。

フランチェスコ ボンジョルノ。コルデーロ サン ジョルジョは、私と弟のロレンツォ、妹のカテリーナの3人で始めた家族経営ワイナリーです。私たちはピエモンテ出身で、バローロ地区カスティリオーネ ファレット村でヴィエッティというワイナリーを所有していました。


――いつ頃からオルトレポ パヴェーゼの進出を考えていたのですか?

フランチェスコ 私がヴィエッティで働いている間、弟は世界各国で醸造家として修行し、妹はコペンハーゲンの大学でマーケティングを学んでいました。彼らがそれぞれの活動を終えて家に帰ることになったので、3人で新しいプロジェクトを立ち上げようということで、2019年にオルトレポ パヴェーゼに進出しました。

辻本 それもいきなりオルトレポの一等地です。丘陵地帯で、サンジョルジョと言われる1600年代に建てられた塔のあるヴィッラ付きのカンティーナです。また、クリュ ピノ ネーロ「SG 67」に使用される、1967年に植えられた古い畑もあります。


ネッビオーロのスペシャリストが見抜くオルトレポ産ピノ ネーロの潜在力
フランチェスコ 進出した理由は、オルトレポ パヴェーゼのポテンシャルです。最も重要な品種はピノ ネーロ。私たちは長年バローロでネッビオーロを造ってきましたが、ピノ ネーロもネッビオーロ同様にエレガントさを持つ品種です。私たちは、その素晴らしい潜在力を秘める、ここのピノ ネーロに惹かれたのです。

ヴィエッティ哲学のもとで行う、土地とブドウに焦点を当てたワイン造り
フランチェスコ オルトレポは決してピノ ネーロだけのエリアではありません。バルベーラ、クロアティーナ、シャルドネ、リースリングなど、多くの品種が長く根付くバラエティ豊富な地域です。それだけ多様な土壌があり、ブドウ栽培に適した土地であるということです。私たちの所有畑を例にとっても、隣同士の畑で全然特徴が異なります。

ワイナリーの基本コンセプトは、その個性の異なる土壌の違いとブドウ品種の価値を表現することです。そのため、全てのワインを単一品種で造ります。ブレンドはしません。私の祖父も言っていましたが、私たちの鍵となる考えは「自分たちが今持っている土地やブドウをより良いものにしていき、未来の子どもたちに託していくこと」です。

大ブーム必至! 絶対見逃せないイタリア随一のピノ ネーロ産地
「オルトレポ パヴェーゼ」

イタリア最大の栽培面積を誇るピノ ネーロの大産地
――オルトレポ パヴェーゼと所有畑について教えてください。

フランチェスコ オルトレポ パヴェーゼはロンバルディア州に位置し、バローロ、ミラノともに車で約1時間の場所です。もともとはスプマンテの伝統的なエリアです。自分たち自身でも造りますが、ピエモンテの造り手がオルトレポ産のベースワインを購入してスプマンテを造ってきたという歴史(※)もあります。現在はスティルワインも多く造られており、オルトレポはイタリアで最も大きいピノ ネーロの栽培面積を誇るエリアです。

辻本 総面積は500ヘクタールと、とてつもない広さです。欧州ではシャンパーニュ、ブルゴーニュに次ぐピノ ネーロの大産地です。

多くの名門ワイナリーが熱視線を送るオルトレポ産ピノ ネーロ
(※)オルトレポ パヴェーゼは、古くからピエモンテ、ロンバルディア等の偉大な造り手にブドウを供給し、高品質ピノ ネーロ産地として知られています。フォンタナフレッダ、コントラットやベルルッキなど、多くの優良生産者がオルトレポのブドウを用いて最高品質のメトド クラシコを生産してきました。

今もなおブルーノ ジャコーザをはじめ、オルトレポ産のブドウを用いたメトドクラシコが生産されています。2023年8月には、フランチャコルタの先駆者ベルルッキが、8ヘクタールのピノ ネーロの畑を持つオルトレポ のワイナリーを取得したと発表しました。オルトレポ パヴェーゼは、まさに今最も熱い産地なのです。


多種多様な土壌が入り組むオルトレポ パヴェーゼの畑
フランチェスコ 2019年に畑とカンティーナを取得したわけですが、前所有者は1970年代末から取得しており、すでにブドウが植えられている状態でした。畑は合計40ヘクタール。カンティーナ周辺に22ヘクタール、少し離れた涼しい場所に18ヘクタールあります。進出した当初からビオロジック栽培をしています。

土壌とブドウの個性を引き出すという哲学のもと、ビオパスというシステムで土壌の区分けを行っています。これは、単に土壌を調べるのではなく、そこに息づく微生物の活動も含めて分析をします。ビオパスを用いることで土壌に対して敬意を払うことができ、より高品質で素晴らしいワインを生み出す結果につながるのです。

畑を取得した当初、とある区画にリースリングが植えられていました。その区画をよく調べてみると、リースリングは不向きで、同じ区画内でも西側はシャルドネ、東側はピノ ネーロが向いていることがわかり、それぞれ適切な品種に植え替えました。このようにきちんと調べると微妙な違いが判明するので、個性を引き出すために小区画ごとのワイン造りを重視しています。


たったの数年で成果が出る、可能性に満ちた大注目産地
辻本 オルトレポ パヴェーゼは、素晴らしいピノ ネーロができる非常に興味深い場所です。何より、彼の話を聞いていると半端ない可能性を感じるんです。リースリングが向いてないとわかると、すぐに適した品種に植え替えて高品質ワインを造り上げる。オルトレポに来てまだ数年ですよ。

実際に試飲してみるとイタリアのピノ ネーロを飲んでると思わないですよね? しかも、現時点ですでに完璧な出来のピノ ネーロで、非常にピノ ノワール的な美味しさがあります。この味を感じてどこのピノ ネーロかわからないのは、オルトレポ パヴェーゼという名前がまだ無名だからなんです。


ネッビオーロ以上に繊細で配慮が必要なピノ ネーロ
――オルトレポでワインを造ると決めた時、こんなに素晴らしい品質になると想像していましたか?

フランチェスコ うーん……想像はしていませんでしたね。始めてまだ時間は経っていませんが、ワインを造る過程で「やっぱりオルトレポは素晴らしい」と満足していきました。しかし、まだまだやらなければいけないことは多々あります。

辻本 彼らが以前バローロで扱っていたネッビオーロは収穫の余地が少なくとも1週間はあったんです。しかし、オルトレポに来てピノ ネーロを栽培してみたら、その余地が3日しかない。ネッビオーロも繊細な品種という認識でやってきましたけど、ピノ ネーロはそれ以上に神経質で皮が薄い。ちょっとでも収穫時期を逃すとダメになってしまうんです。

フランチェスコ そうなんです。高品質のピノ ネーロを造る時には非常に気を使います。例えば、ネッビオーロは1日長くマセラシオンをしても何も変わりませんが、ピノ ネーロは1日でワインそのものを失ってしまいます。それくらいの差があります。

クリュバローロの先駆けヴィエッティで育ったコルデーロ家
いち早くバローロの概念を持ち込みクリュ ピノ ネーロを生産

――「土壌とブドウの個性を引き出すという哲学」のお話がありましたが、具体的にはどういうことですか?

フランチェスコ 私たちはピノ ネーロ以外に、ピノ ネロ、シャルドネ、クロアティーナ、ピノ グリージョ、バルベーラを栽培しています。それら全てを小区画ごとに分けて醸造をし、その中から適切なワインを選んでいきます。必ずしもイメージ通りのワインができるわけではないので、その時はボトリングしません。

ゾーニングの考え方がないオルトレポにいち早くクリュ バローロの概念を導入
――特にピノ ネーロに関して、区画ごとに醸造を行って最終的にブレンドをするという工程は、ヴィエッティのバローロと同じ考え方ですか?

フランチェスコ そうです。ヴィエッティのバローロと同じコンセプトです。ちなみに、ブレンドして熟成させるのではなく、熟成させた後にブレンドをします。祖父がよく言っていた「それぞれの土地(区画)に敬意を払って造る」という考え方を私たちは自然と受け継いでいるのだと思います。

この考え方はもともとブルゴーニュから来ていますが、オルトレポ パヴェーゼにも当てはまると考えています。オルトレポはゾーニングの考え方が全く持ち込まれておらず、バローロであれば「この土地はこういう特徴で…」といった明確な区分けがなされていません。そのため、私たちは率先してバローロで培ったクリュの概念を取り入れて、ワインを造り続け、学び続け、オルトレポ パヴェーゼの発展に務めているのです。


世界最高峰のワインの発想と表現が詰まった3種のピノ ネーロ
辻本 彼らはクリュ バローロの先駆けであるヴィエッティと偉大な畑で生まれ育ち、小さい頃から溢れるほどのバローロ、バルバレスコ、ブルゴーニュのグランクリュに囲まれて育ってきたんです。「これはセッラルンガのバローロ」「これはジュヴレ シャンベルタン」などと感覚的にワインを理解し、経験値を得てきた経緯があります。

彼らが造るピノ ネーロは「ティアマット」「パルトゥ」「SG 67」と3種類あります。そのイメージは、ヴィエッティが造ってきたランゲネッビオーロ、バローロ、そしてラッツァリートなどのクリュ バローロそのものです。「ティアマット」はブルゴーニュAOC、「パルトゥ」は村名、「SG 67」はクリュという位置付けです。偉大な造り手としての発想が染み付いているのだと思います。

フランチェスコ イメージは、まさしくその通りです。バローロで培ってきたコンセプトをオルトレポに導入しています。個性を見極めて最大限に発揮させるには、区画ごとのワインをひたすら継続的に試飲をすることが必要です。と同時に、マセラシオンの長さを変えたり試行錯誤を繰り返しています。

例えば、ティアマットはエレガントでフィネスが生まれる砂質土壌の東側にある畑のブドウを使用しています。エレガンスを最大限に引き出すためにステンレスタンクで熟成させます。一方で、リゼルヴァクラスのパルトゥは、優れた骨格が生まれる粘土質の畑のブドウを使い、木樽で熟成させています。SG 67は古樹の単一畑で造るまさにクリュ ワインです。そうやって各ワインの個性を確立させています。来年には1996年に植えられた東側の単一畑、クリュ ピノ ネーロを生産する予定です。
左から、ティアマット、パルトゥ、SG 67

偉大な白ワインに触れてきた桁違いの経験値から造られるシャルドネ
辻本 白ワインにしてもそうです。彼らはモンラッシェやムルソーといったワインをごく普通に飲んでいました。シャルドネもすごく美味しいでしょう。彼らが美味しいシャルドネを頭の中で探した時に、このテイストしかないんです。今まで積み上げてきたバックボーン、経験値は桁が違います。

「12年前に脚光を浴びたエトナと同じ現象が起きている」
輸入元フードライナー取締役、辻本氏による解説

2019年デビュー後早々に世界の各評価誌が高得点を連発
辻本 私は20年前からオルトレポが好きで、このエリアのワインをたくさん飲んできました。白はピノ グリージョ、赤は絶対にピノ ネーロです。あとはボナルダ(クロアティーナ)も素晴らしい。彼らが造るそれらのワインは、デビューした2019年からいきなり各評価誌で90点以上の高得点を連発しています。ティアマットは、2年目で『ガンベロロッソ』最高賞トレビッキエリを獲得しています。ピノ ネーロを造り始めて間もない状態で、これは凄まじいことです。

未開の地オルトレポ パヴェーゼに旋風を巻き起こす予感
辻本 カ デル ボスコのピノ ネーロをはじめ、これまでイタリアでは偉大なピノ ネーロは造られてきましたが、それらはあくまで一部のゾーンで「点」です。一方でオルトレポ パヴェーゼのピノ ネーロは、栽培面積が500ヘクタールととてつもない広さ。未開の地とも言える場所で、コルデーロはヴィエッティの経験値を持ち込んで素晴らしいワインをどんどん造っています。私は坂本龍馬のように「何かを動かすだろう」という予感がしています。

「12年前に脚光を浴びたエトナと同じ現象が起きている」
辻本 12年前に脚光を浴びたエトナと同じ現象が起きていると思います。可能性を秘めたエトナに気づいた多くの生産者が進出しましたが、クリュの考え方はあまり持ち合わせていませんでした。そこで、一番乗りに土壌の分析をしコントラーダ(クリュ)の開発をしたのが、(バローロボーイズを世界中に知らしめた)マルク デ グラツィアのテッレ ネーレです。これは、コルデーロがオルトレポで取り組んでいることと同じで、コルデーロの3兄弟は誰よりも早くその可能性に気づいたんです。


エネルギーと可能性に満ち溢れた3兄弟
辻本 彼らはいつも目をキラキラさせています。例えばフランチェスコと話をしていると、次から次へとロレンツォやカテリーナが割り込んで話をしてくるんです。「今年はこういう造り方で…」と話が絶えません。まだまだオルトレポの潜在力を引き出している最中で、毎年やっていることが違います。ピノ グリージョは6ヶ月間のシュールリーをしたり、シャルドネは3つの容器(アンフォラ、ステンレス、木樽)を使ったり、やっていることが非常に面白いんです。それでいて、この美味しさです。彼らは小さい頃から「美味しい要素とは何か」を理解しているんです。ピノ グリージョもシャルドネもランゲでは造ってこなかったわけですから。

世界屈指のピノ ネーロを造るワインの申し子
辻本 本当に彼らはワインの申し子だと思います。生まれた時から、ネッビオーロ、ピノ ノワール、バルベーラ、ドルチェットが家にゴロゴロしていて自然と飲んでいた。コルデーロのワインを試飲すると、ブルゴーニュのピノ ノワールと品質的に何ら変わりませんが、あくまでオルトレポ パヴェーゼのピノ ネーロです。

ジュヴレ シャンベルタン、モレ サン ドニ、シャンボール ミュジニー…それらと比較するとオルトレポ パヴェーゼの年間日照量は300時間ほど長く、平均気温は3.5度くらい高いし、絶対に皮は厚くなり糖分も上がります。それをブルゴーニュを参考にして造るなんていうことは、「ありえない」の世界です。全く別のものです。しかし、美味しさに対する感覚は一緒なので、造っていく中で思い描く美味しさに辿り着き、独自性がありながら最高品質のワインに仕上げていくのです。


ランゲを卒業し、オルトレポに人生を賭けるコルデーロの未来
辻本 コルデーロのホームページには「Cordero and San Giorgio: from the Langhe to Oltrepo Pavese」と書いてあります。ランゲからオルトレポに来た人間である、と。彼らはもうランゲを卒業しているという認識なんです。バローロで偉大なネッビオーロを造ってきた人間が、今度はオルトレポで偉大なピノ ネーロを造ることに人生を賭けているんです。

これから先、オルトレポ パヴェーゼで更に経験を積んだコルデーロ兄弟の将来が非常に楽しみです。

6ヶ月間のシュールリーで造る親しみやすさと複雑性を兼ね備えたピノ グリージョ

フランチェスコ氏:
「カタリは、ピノ グリージョ100%の気軽に楽しめるる白ワインです。ロッカ デイ ジョナジというエリアの標高450メートルの畑で造られており、フレッシュさを感じていただけると思います。シンプルな味わいに加え、私たちは複雑味やストラクチャーも表現しています。4~5年は熟成させられると考えています。私たちのワインは全て手摘みです。畑でブドウを選別し、冷却を行った後、翌日にプレスを行います。このプレスがポイントで、軽く絞って全体の60%のみを抽出するようにします。高品質の果汁だけを残す工程が、他のピノ グリージョとの差を生みます。フレッシュさを保つために、0度に近い状態まで冷やします。12度で発酵を行い、その後に6ヶ月間のシュールリー状態で寝かせます。この工程がワインに複雑味を生むのです」
カタリ ピノ グリージョ2021

試飲
コメント

やや灰色がかった淡い麦わら色。グラスに注いですぐに繊細な果実のアロマが漂ってきます。白い果実、黄色い果実、しっかりとした鋭い酸味、ジューシーさ、柑橘、柑橘由来の渋み、キャンディのようなニュアンスを感じる香り。口に含むと、香り同様の鋭いフレッシュな酸が広がりますが、口当たりは非常にソフト。柔らかさがありつつも芯のあるボディがあります。柑橘の皮のような渋みの余韻が長く持続します。

“ほとんど存在しない”100%クロアティーナで造る挑戦的、実験的ロゼ

フランチェスコ氏:
「クロアティーナ100%で作るロゼです。私たちはピノ ネーロを目的にオルトレポに来たのですが、このエリアはクロアティーナに最適な場所ということもあり、クロアティーナをロゼワイン用として選びました。クロアティーナは、素晴らしい酸、骨格、タンニンが特徴的な品種です。このロゼでは、そのタンニンの要素があまり出ないように造っています。実は、100%のクロアティーナで作るロゼワインはほとんど存在しません。他の生産者はバルベーラとブレンドします。近くのワイナリーの方から、“100%のロゼなんて…!”とも言われました。挑戦的、実験的に生まれたワインなのです。味わいは、ちょうど赤と白の中間。赤のストラクチャーもあり、白のフレッシュさも感じます。BBQにも最適で、夏にフレッシュさを味わいたい時に最適なワインですね」
ピアサ ロザート2021

試飲
コメント

やや濃いサーモンピンク。ほどよく複雑でエレガントな香り。やや黒い果実と赤い果実が綺麗にまとまっていて、シナモンのような若干のスパイスと、僅かにグレープフルーツのニュアンスがあります。口に含むとフレッシュな酸が広がると同時に、非常に柔らかい口当たりを感じます。最初から最後まで酸が持続し、後から様々な果実と僅かなタンニンがやってきて、程よく奥行きのある綺麗な味わいです。

フレッシュな果実、樽由来のスパイス、旨味が綺麗に溶け合うリゼルヴァクラスのシャルドネ

フランチェスコ氏:
「カンティーナ近くの計2ヘクタールの砂質土壌の畑で造るシャルドネです。6000本ほどの少量生産です。(2020年は)アンフォラ、ステンレスタンク、木樽と1700リットルずつに分けて醸造することが特徴です。熟成もそれぞれの容器で12ヶ月行います。年毎に造り方を変えているので、2021年はステンレスは使っていません。この白いラベルは、リゼルヴァクラスという意味合いがあります。私たち自身も出来に大変満足しているワインですし、リリース早々から高い評価を得ています。10年、15年ほど熟成可能だと考えています」
リヴォーネ シャルドネ2020

試飲
コメント

やや淡い黄金色。グラスに注がれた瞬間に南国果実の香りが広がります。ほどよい骨格の上にパイナップルとバナナ、木樽のスパイス感、ジューシーな果実感、旨味を感じる香りで、非常に複雑な要素と優れたバランスがあります。香り同様の味わいで統一感があります。口当たりはなめらかで、フレッシュな風味と旨味を感じます。レモンのような酸味と渋みが長く長く持続する中で、香り同様に様々な要素が混ざり合い、調和のとれた味わいが持続します。

柔らかさとフレッシュさが見事に調和!
ステンレスタンクだけで造るエレガンス溢れるピノ ネーロ

フランチェスコ氏:
「ティアマットは、ステンレス100%で造るピノ ネーロです。ファーストヴィンテージは2019年。2020年はトレビッキエリを取っています。私たちの畑は区画ごとによって特徴が異なるので、まずは区画ごとに醸造を行ないます。その後に、ティアマットにするかリゼルヴァ(パルトゥ)にするかを決めます。ティアマットはエレガントでフィネスが生まれる砂質土壌のブドウを使うことが多いですね。マセラシオンと発酵が終わった後、ステンレスタンクに入れて、フレッシュさと心地よさを引き出しています」
ティアマット ピノ ネーロ2020

試飲
コメント

淡いルビー色。赤い果実、黒い果実、やや凝縮した果実、スパイス、甘やかさを感じるエレガントな香り。香りに感じた要素に加えて、ブラッドオレンジのような柑橘系の要素もあり、エレガントながら芯のある骨格を持つ綺麗な味わいです。他のワイン同様に、フレッシュさと柔らかさが綺麗に融合しています。タンニンは控えめで、徐々に華やかさが際立ってきます。余韻にオレンジの皮の渋みも感じます。

華やかさ、爽やかさ、凝縮果実が溶け合う洗練された味わい!
芯のある骨格が引き出された木樽熟成のピノ ネーロ リゼルヴァ

フランチェスコ氏:
「パルトゥは、リゼルヴァクラスのピノ ネーロです。ティアマットとは異なり、ストラクチャーを生む粘土質土壌の畑のブドウを使い、マセラシオンと発酵が終わった後、木樽で熟成させます。12ヶ月熟成させた後、もう12ヶ月瓶内で熟成させてリリースとなります。ティアマットとパルトゥを造る際には、とにかく何度も何度も試飲を行って、土地やブドウの個性を見極めることが大事です」
パルトゥ ピノ ネーロ2020

試飲
コメント

輝くルビー色。ティアマットと比べて華やかさが突出した香りがあります。赤いバラやスミレのような花のニュアンスとミネラル感、胡椒を感じる爽やかで洗練されたアロマ。クリーンな酸、繊細かつ凝縮された果実などが綺麗に溶け合い、非常にバランスに優れた味わいです。全ての要素がエレガントにまとまっていて、細身な風味が長く持続します。細身ながらも芯のしっかりとした骨格があるので、その上にエレガントな風味が乗り、心地よい余韻が引き出されています。ゆっくりじっくり味わいたい逸品です。

複雑味とエレガンスが染みわたる1967年植樹の古樹で造るクリュ ピノ ネーロ

フランチェスコ氏:
「1967年植樹の、所有畑の中で最も古い畑で造るクリュ ピノ ネーロです。生産本数は3000本。年によって異なりますが、マセラシオンは12~15日間(2019年は15日間、2020年は12日間)。バリックに10ヶ月間、大樽で10ヶ月間熟成させます。その後、1年間瓶内熟成してリリースします。2019年はタンニンが現れているヴィンテージですね。25年ほどは長期熟成可能だと思いますが、今すぐ飲んでも十分お楽しみいただけます。個人的には、抜栓後、大きめのグラスを揺らしながらゆっくり香りが開いていく様を感じ取ることがとても好きです」
SG' 67 ピノ ネーロ2019

試飲
コメント

ルビー色。華やかさが際立っていて、花やジャミーなニュアンスを持つ綺麗でエレガントな香りです。奥行きのある複雑性もあります。口に含むと、エレガントかつじわじわと複雑な風味が広がっていきます。タンニンがとても綺麗で、その上に果実と花の要素が乗っかり美しい余韻を演出しています。

インタビューを終えて

「12年前に脚光を浴びたエトナと同じ現象が起きている」
そう話すのは、輸入元フードライナー取締役の辻本恭三さん。実際にお話を聞きながらワインを試飲していくと、味わいとともにワイナリーとしての勢いを強く感じることができました。「どこのピノ ネーロかわからないのは、オルトレポ パヴェーゼという名前がまだ無名だから」という言葉も非常に印象的で、確かに「第二のエトナ」という印象を持ちました。

まだ創業して5年も経っておらず実験段階であるにも関わらず、ワインは超ハイクオリティ。綺麗で繊細、様々な要素が綺麗に溶け合っていて素晴らしかったです。トスカニースタッフは全員「美味しい…すごい…」と驚愕していました。これから先もっともっと凄まじいワインを造り上げていくのだろうと思うと、楽しみで仕方がありません。

特に衝撃を受けたワインは、ステンレスタンク熟成のピノネーロ「ティアマット」。抜栓直後から、フレッシュさと柔らかさが綺麗に融合。2ヴィンテージ目でガンベロロッソのトレヴィッキエーリ受賞も納得の味わい。正直言って安すぎます。

上級のピノネーロ2種「パルトゥ」「SG' 67」は、今飲んでもおいしいですが、熟成のポテンシャルを感じさせる味わいで今後の成長が楽しみです。3日目、4日目と試飲するたびに、コルデーロに対するワクワク感が止まりませんでした。シャルドネ「リヴォーネ」は、ジューシーな果実感やスパイス、旨味が複雑に絡まり調和の取れた味わいでとても美味しかったです。

世界最高峰のピノ ネーロ産地として大注目の「オルトレポ パヴェーゼ」の新生「コルデーロ サン ジョルジョ」を、ぜひご堪能ください!

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