TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2023/06/07

ジャンルーカ ウッチェッリ氏 Mr. Gianluca Uccelli

124箇所の畑&92種のキュヴェで造る彩り豊かなフランチャコルタ!時代を先取るフランチャコルタの革新派「コンタディ カスタルディ」突撃インタビュー

ジャンルーカ氏
フランチャコルタの名門ベッラヴィスタが「よりカジュアルに楽しんでほしい」という想いで1991年に設立した「コンタディ カスタルディ」。誰もが楽しめるフレッシュで親しみのある味わいに加え、土壌の多様性と独自性が表現された彩り豊かなフランチャコルタを生産しています。伝統派であるベッラヴィスタに対して、将来を見越したワイン造りを行う革新派でもある同ワイナリーは、イタリア国内外の三つ星レストランでオンリストされるなど世界各地で存在感を放っています。今回は、醸造家ジャンルーカ ウッチェッリ氏をお招きして、ワイナリーやワイン、自身の神業的ブレンドなどについてお話を聞きました。

フランチャコルタの未来をひた走る革新派
「コンタディ カスタルディ」

「未来を先駆けたダイナミックなワインを生産したい」
――ジャンルーカさん、こんにちは。まずは自己紹介とワイナリー紹介をお願いします。

ジャンルーカ氏 こんにちは。今日はお招きいただきありがとうございます。私はジャンルーカ ウッチェッリと申します。エミリア ロマーニャ州ピアチェンツァ出身です。2002年にフランチャコルタへと移り、ベッラヴィスタの当主ヴィットリオ モレッティのもと同社で働き始めました。私のワイン哲学は彼のもとで確立されました。

ベッラヴィスタが伝統的なワインを生産する中で、ヴィットリオはもっと未来に先駆けたダイナミックなワインを生産したいというビジョンを持っていました。2006年、彼と同じ意見を持っていた私はコンタディ カスタルディの責任者となりました。当時の生産量は22万本。現代的なフランチャコルタを生産するようになった今では150万本にまで拡大しました。

――ジャンルーカさんが就任してから急成長ですね。

 「Nemo propheta in patria(預言者は故郷で歓迎されない)」という聖書の言葉があるように、外から来た私がフランチャコルタを表現するほうが、地元からの信頼が得やすいという側面もあったと思います。情熱を持ち生産し続けてきたことで、ある時期から農家の方からアプローチされるようになりました。それも好条件の畑を持つ信頼できる農家からです。明確な哲学やビジョンを持って目標までの最適解を導き出して、コンタディ カスタルディは成長を遂げてきました。
畑、セラー

将来を見越した次世代向けの高品質ワインを生産
 「若い人に高品質ワインを味わっていただきたい」というコンセプトもあります。ヴィットリオは、ベッラヴィスタとコンタディ カスタルディの両ワイナリーで異なるフランチャコルタの良さを伝えたかったんです。

――ベッラヴィスタとは全く別の方向でジャンルーカさんが牽引してるんですね。

 そうですね。ヴィットリオは私の考えを100%信頼、尊重してくれています。彼が考えるコンタディ カスタルディのアイデンティティと私の考えが一致しているので、全て私主導で造っています。

サテンミレジマートの生産量70%を誇るリーダー的存在
 サテンというフランチャコルタのみに定められる規定があります。シルクのように柔らかくフレッシュな味わいが特徴のワインです。私たちは、そのサテンのリーダー的存在です。フランチャコルタで生産されるサテンミレジマートの70%をコンタディ カスタルディが生産しているんですよ。
サテン

ジャンルーカ氏が身をもって化学物質不使用を証明
 コンタディ カスタルディでは化学物質を一切使っていませんが、ビオなどの認証は受けていません。それは単に認証に興味がないからです。私たちはお客様の健康を常に考えていますし、そもそも飲む機会が最も多い自分自身の体に異物は入れたくありません。飲み過ぎた翌日に頭が痛くならないことが証拠です。ちゃんと仕事に行くことが大事ですね(笑)。

124箇所の畑、92種類のキュヴェで実現!
存在感を放つ彩り豊かなラインナップ

――畑について教えてください。

 畑は合計164ヘクタールあり、124箇所に分かれています。自社畑は5ヘクタール、ベッラヴィスタ所有の畑が29ヘクタール、契約畑が135ヘクタールです。契約畑は今後も増えていきます。例えば、ロゼは近年人気なので需要が高まるピノ ネロの畑を拡大させる予定です。

契約農家はとても重要な存在です。彼らと同じ方向を向いてワインを造るために、日常的にコンタクトを取っています。私自身も畑に赴いてどういう風にブドウを育てていくかを決めています。

豊富なキュヴェが可能にする色彩豊かなフランチャコルタ
――124箇所も畑があるのはすごいですね。

 畑はフランチャコルタ地区内に点在しています。異なる土壌の特徴を表すことができるので、あちこちに畑があることは重要です。なるべく1つの畑で1つの品種を植えるようにしています。現在、その畑の中から92キュヴェを造りブレンドして、フランチャコルタを完成させています。簡単なブレンドのように見えますが、土壌の違いはもちろん品種も異なるので想像以上に複雑です。

様々な畑をブレンドしてできた92種類のキュヴェを使って特別なスタイルにもできるし、個性あるワインを造ることもできます。例えば、コンタディ カスタルディの名刺代わりとなるブリュットは、60以上ものキュヴェがブレンドされています。
ブリュット&ロゼ

 (オートバイメーカーの)ドゥカティとのコラボレーションしたワインもあります。ドゥカティのCEOドメニカーリに誘われて、サーキットを走りに行った経験があるのですが、その時に感じたドゥカティの力強さ、エネルギッシュさ、グリップ感をワインに表しています。これもキュヴェの大切さが現れていて、ブリュットと比べて小さな変化しかないのに全く異なるワインに仕上がるのです。
ドゥカティ

「パレットにある色が多ければ多いほど描けるものが増える」
 キュヴェの数はあればあるほどいいと思っています。パレットにある色が多ければ多いほど描けるものが増えるように、私が思い描くフランチャコルタを表現するためにキュヴェの数は重要なのです。来年からキュヴェの数は100を超えるでしょう。

――ラベルにある数字は何ですか?

 畑とキュヴェの番号です。このワインだと、37が畑で20がキュヴェです。フランチャコルタは年によって気候の差が激しいのでブドウの育ち方が毎年変わります。そのため、ヴィンテージによって番号が変わる可能性があります。
ブラン

香りだけで組み立て始める神業的ブレンド!
「Mr. Contadi Castaldi」ジャンルーカ ウッチェッリ氏

――フランチャコルタを造り上げる上で、どういう方法でキュヴェのブレンド比率を決めるのですか?

 レシピはありません。私一人で92種類のキュヴェを香りだけで決めます。その時は集中したいのでラボにこもって行います。

――香りだけですか?ジャンルーカ試飲

 口には含みません。机に並べられた92種のキュヴェの香りを取り、1つずつ特殊なサインをしていきます。そのサインに基づいて独自のパズルを完成させて各フランチャコルタを仕上げるのです。

――具体的にどういうサインですか?

 矢印とプラスマイナスを組み合わせたサインです。初日にサインをし、2日目に再度香りを取って適切な評価だったかどうかを確認します。そして、3日目からは具体的な分量も含めてキュヴェの組み合わせをしていきます。その後、最終チェックのテイスティングをして生産量を決めます。

――ということは、全然使わなかったキュヴェも存在するということですね?

 あるキュヴェは1つのワインのためだけに使われ、あるキュヴェは3つの異なるワインのために使われるということは起きますね。残ったワインはリザーブワインに使います。私たちは3年分のリザーブワインを保有していて、これらはスタイルや毎年の品質を保つために大事な役割を果たします。ちなみに、私は2002年から全てのヴィンテージの特徴を記憶していますよ(笑)。
ジャンルーカ&キュヴェ

各キュヴェの特徴を完璧に把握して親しみやすさと高品質を表現
 繰り返しになりますが、コンタディ カスタルディのワインは全て、複数のキュヴェをブレンドして造られています。画像のピクセルのように詳細な個性(キュヴェ)を多く持てば、個性が光るフランチャコルタを鮮明に描くことができます。そのためにも、様々な特徴の畑と品種で構成されたキュヴェが必要なのです。

――おっしゃるように、親しみやすいブリュットから始まり上級ワインはそれぞれ個性が際立っていて素晴らしいです。ワイナリーのコンセプトや味わいが明確だと感じます。

 様々な方に飲んでいただきたいというコンセプトのもと、わかりやすいワインを造りたいんです。あまりワインを飲み慣れていない方にも良さを感じていただきたいです。一方で品質も忘れてはいけません。毎年高品質を保ちながら、フレッシュさと果実感で親しみのある味わいを表現するという意味では、ブリュットの生産が一番難しいかもしれないですね。

――そのコンセプトとなるキュヴェのブレンドをお一人でされているジャンルーカさんは、まさにMr. Contadi Castaldiですね(笑)。

 ありがとうございます(笑)。

60以上ものキュヴェをブレンド!
名刺代わりとなるフラッグシップ フランチャコルタ

ウッチェッリ氏
「ブリュットは、最も生産量が多く世界各地に輸出している名刺代わりとなるワインです。80%シャルドネ、10%ピノ ネロ、10%ピノビアンコを24ヶ月熟成して造っています。すぐに美味しいと感じていただけるわかりやすいワインを造りたいという思いで誕生しました。お祝いや普段のお食事など汎用性の高いワインです。わかりやすいですが、決してシンプルなワインではありません。60個以上のキュヴェをブレンドして造られているので、フレッシュさを保ちながら果実味にも溢れている複雑な味わいです」
フランチャコルタ ブリュットNV

試飲
コメント

麦わら色。グレープフルーツのような瑞々しい柑橘類、白い果実、パン生地を感じる香り。程よい力強さがあります。口に含むと、クリーミーな口当たりとフレッシュな酸が広がります。香り同様の柑橘やフレッシュな果実の心地良い風味が持続します。

世界中で人気!心地良い旨味が持続するエレガントなロゼ

ウッチェッリ氏
「ロゼはブリュットと同様にわかりやすく美味しく感じていただけるワインです。ピノ ネロを35%使用していますが、複雑性ではなくフレッシュな果実味の抽出を重視しています。条件を満たしたピノ ネロに最適な畑を見つけるのは難しいですが、このワインは近年需要が増えているので今後拡大する予定です。食事との汎用性も高いのでとても世界的人気の高いワインです」
フランチャコルタ ロゼNV

試飲
コメント

輝きを持ったピンクよりの玉ねぎの皮色。イチゴなどの赤い果実が香る繊細で優しさのあるアロマ。非常にクリーミーで繊細かつフレッシュな果実味。ほどよい骨格があり、旨味を感じる心地よい余韻が長く持続します。

フレッシュさと柔らかさが調和!上品で華やかなシャルドネ100%サテン

ウッチェッリ氏
「サテンはフランチャコルタにのみ定められる規定です。サテンの特徴を最も生み出せる特別な畑の最適な品種シャルドネ100%で造っています。上品でエレガント、華やかさが特徴です。フレッシュさと柔らかさの見事なハーモニーがあります」
フランチャコルタ サテン ヴィンテージ2017

試飲
コメント

淡い麦わら色。白い果実やパン生地が香る繊細なアロマ。非常にクリーミーな泡が口中を包み込み、白い果実の繊細かつフレッシュな酸がアタックから余韻まで長く持続します。華やかさや奥行きのある味わい。

「ドゥカティ×コンタディ カスタルディ」!グリップ力のある直線的な味わい

ウッチェッリ氏
「ドゥカティとのコラボレーションワインです。ファーストヴィンテージは2017年。ドゥカティをイメージして造っており、骨格やグリップ力のある直線的な味わいです。力強くエネルギッシュですが、とてもバランスに優れています。ブリュットよりもピノ ネロの比率が多く、ドサージュが少ないです」
フランチャコルタ ブリュット レース ドゥカティ コルセNV

試飲
コメント

透明感のある麦わら色。グリップ感のある凝縮果実、ドライフルーツなど奥行きのある香り。クリーミーな口当たり。凝縮感、ふくよかさ、複雑さがあり上がラもフレッシュな味わい。親近感のある美味しさ。

シャルドネ50%&ピノビアンコ50%で造るエレガンス溢れるブランドブラン

ウッチェッリ氏
「ブランは、シャルドネ50%、ピノビアンコ50%で造る少量生産のワインです。ファーストヴィンテージは2018年。ワイナリーとして、個性の強いピノビアンコに挑戦して誕生したワインです。これほどのエレガンスを持つフランチャコルタはありません。シャルドネを半分ブレンドすることで、ピノビアンコの際立つ強さを落ち着かせまろやかさを引き出しています。20年、25年と長期熟成ポテンシャルを秘めているワインです」
フランチャコルタ ブラン2018

試飲
コメント

淡い麦わら色。生き生きとした白い果実、柑橘の皮が香る繊細なアロマ。クリーミーな口当たりかつ鋭い酸のアタック。ブレのない繊細な果実味がバランスよく長く持続します。若干の磯のニュアンスを感じます。

力強さ、フレッシュさ、ミネラルが綺麗に調和する少量生産ピノ ネロ

ウッチェッリ氏
「ファーストヴィンテージが2009年の少量生産ピノ ネロです。私たちはシャルドネをメインに生産してきたワイナリーですが、高品質なピノ ネロ100%フランチャコルタに挑戦したくて生まれました。ノンドサージュ、72ヶ月熟成です。これまでのワインと全く特徴の異なるワインです。ストラクチャー、力強い酸味のあるワインです。しかし、コンタディのスタイルは維持したいので、サクッと飲めるフレッシュでバランスに優れた味わいを表現しています。温度によって様々な表情が現れるので、温度の変化も楽しめます。長期熟成ポテンシャルを秘めたワインです」
フランチャコルタ ピノネロ ナトゥーラ(ギフトボックス)2015

試飲
コメント

濃く輝く麦わら色。多種類の果実、パン生地、ぎゅっと詰まった凝縮果実の力強い香り。時間が経つと、磯や塩などのミネラルのニュアンスが現れ、食欲がそそられます。非常にフレッシュで鋭い酸を感じる口当たり。フレッシュ果実とミネラルが綺麗にまとまる優れたバランスがあります。

インタビューを終えて

スタイリッシュで誰が飲んでも美味しいコンタディ カスタルディ。今回試飲したボトルを並べてみると、ラベルデザインも非常に色彩豊かで、あらゆる視点で堪能できるフランチャコルタだと思いました。

その色彩の豊かさはワイナリーのホームページにも表現されていて、圧倒されるほどのインパクトがありました。生産するフランチャコルタと同様に「飽きさせない」工夫がなされていて見ているだけで楽しいです。世界中の人がアクセスできるサイトにもアイデンティティや思いが込められているのだと実感しました。TikTokなどSNSにも力を入れていて、将来を見越した次世代向けのワインを生産する造り手としてのメッセージがたくさん込められています。

試飲して印象的だったのは、サテンとドゥカティ。サテンは、フレッシュさと柔らかさが調和する上品な味わい。ドゥカティは、まさにモータースポーツの要素を感じられる、力強いグリップ感がありました。それでいてバランスに優れていて感動しました。今回は6種類のフランチャコルタを試飲しましたが、全く飽きることなく全てしっかりと堪能することができました。飲み比べは大変おすすめです。

誰もが楽しめる要素がたくさん詰まったコンタディ カスタルディのフランチャコルタをぜひご堪能ください。
ジャンルーカ氏と

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