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Interview

突撃インタビュー

2021/10/28

フェデリコ チェレット氏 Mr. Federico Ceretto、マッティア パリアッソ氏 Mr. Mattia Pagliasso

バローロ最高クリュの一つ「ブルナーテ」のなんと20%も所有!本拠地「モンソルド」に始まり、バローロ、バルバレスコ、アスティの4つに醸造所を構え、銘醸地の個性を伝統とモダンの融合で表現する名門一族「チェレット」突撃インタビュー

チェレットのオーナー
「チェレット」は、1939年に現当主の祖父リッカルド チェレット氏が、当時はネゴシアンとしてピエモンテ州アルバで創業した生産者です。今やバローロ、バルバレスコに多数のクリュ畑を所有、そして各銘醸地に醸造所を設置し、ピエモンテ最上の造り手として世界にその名を轟かせています。現3代目から、ビオディナミや国際品種、ホスピタリティに注力するなど、世代交代後も絶えず伝統と革新の融合でワイナリーを躍進させ続けています。今回は、SOLOITALIA代表の林茂さんに通訳と解説をいただきながら、オーナーのフェデリコ チェレット氏、輸出担当のマッティア パリアッソ氏にオンラインでお話を聞きました。

1939年創業。3世代にわたり伝統を受け継ぎ、革新を続けるピエモンテ最上の造り手「チェレット家」

チェレット家「チェレット」は、ピエモンテ州アルバにあるモンソルドという丘に拠点を置き、1939年に初代オーナーのリッカルド チェレット氏によって創設されました。本拠地モンソルドに加え、バローロ、バルバレスコ、アスティにも畑と醸造所を構える名門ワイナリーです。

ネゴシアンとしてワイン生産を開始した初代オーナー、リッカルド氏
初代オーナーのリッカルド氏はランゲ100%のネゴシアンとして活躍。購入したブドウを用いてドルチェットやバルベーラ、バローロ、バルバレスコなど、ランゲの土地の赤ワインの生産を行っていました。

先駆けて偉大なクリュ畑を購入した2代目オーナー、ブルーノ氏&マルチェッロ氏
2代目オーナーにはリッカルド氏のご子息、ブルーノ氏とマルチェッロ氏が就任。もう一段階上のワインを造ろうと決意し、畑を購入します。本拠地モンソルドのみならず、バローロやバルバレスコエリアのクリュ畑も購入し、イタリア最高赤ワインの銘醸地最上の造り手として「チェレット」の名を世界に知らしめます。

現3代目はビオディナミ農法を導入。モダンスタイルのワインやカンティーナ、ホスピタリティに注力
3代目となる現当主には、2代目のご子息とご息女、フェデリコ氏、リサさん、アレッサンドロ氏、ロベルタさんの4名が就任します。それぞれマーケティングや広報、醸造、経理を担当。3代目になると、すべての単一畑にビオディナミ農法を導入し、国際品種を使用したモンソルドにも力を入れ始めます。

そして、ユニークなデザインのカンティーナやホスピタリティにも注力し、なんと三ツ星レストランやホテルまでも所有しています。「自分たちの代がラストピース」とフェデリコ氏が語るように、より消費者に近い形で提供できるサービスを実現させました。

「チェレットの当主は畑の中心(醸造所)に住むべき」という考えのもと、世代交代に伴い自宅兼カンティーナを継承
ブリッコロッケ2代目は現3代目に世代交代する際に、バローロ最高クリュの一つ「ブルナーテ」畑の真ん中に構える自宅兼カンティーナを、次の世代に全て移譲しました。「チェレットの当主は畑の中心(醸造所)に住むべき」という考えのもと、いつでも畑を見渡せワイン造りに注力できるように住まいも醸造所も全て一気に継承しました。

「チェレット家が辿ってきた道のりは簡単ではありません。父とその叔父は40年間もハードな仕事をしてきました。生産することはもちろん、畑を選別して優れたクリュの畑を購入したことが一番の功績です」とフェデリコ氏は、前当主を労います。モンソルド醸造所

バローロ最高クリュの一つ「ブルナーテ」の20%も所有するチェレット!
「ブルナーテ」のブドウを60%使用して造るスタンダードバローロ

スタンダードバローロチェレットはバローロに5つ、バルバレスコに2つのクリュ畑を所有しており、それぞれ単一畑から最上のワインを輩出しています。バローロの最高クリュの一つ「ブルナーテ」に至っては、全体の30haのうち6ha(20%)も有しています。そのブルナーテのブドウが6割も占めるスタンダードバローロは、複数のクリュ畑をブレンドして造られており、奥深さのある独自の味わいが表現されています。

それぞれの銘醸地に醸造所を構えることでブドウの個性を最大限に引き出す
ワイナリーとして優先度の高い醸造所について、フェデリコ氏にお話しいただきました。
ブルナーテ「私たちは、“畑の中に醸造所がなければならない”というプライオリティを持っています。アルバにはモンソルド、バローロにはブリッコ ロッケ、バルバレスコにはアジリ、アスティにはサント ステファノに醸造所を置いています。それぞれのブドウを外に持っていくことはしません。それが、その土地のブドウの個性を最高の形で発揮するために必要な条件です」

100年前はバローロと名乗れたチェレットの本拠地「モンソルド ベルナルディーナ」で生産する国際品種ブレンド「モンソルド」

100年前にバローロと名乗れた当時のモンソルド、プチバローロ復活の可能性!
伊屈指のデザイナー、ジャコモ ベルサネッティとイタロ ルピが担当したボトルデザイン

モンソルド2本『神の雫』に登場し話題にもなった「モンソルド ロッソ」は、チェレットの別の一面を見せてくれるモダンなスタイルの赤ワインです。ピエモンテの伝統的なワインとは異なり、国際品種のカベルネ、メルロー、シラーをブレンドして造っています。

輸出マネージャーを務めるマッティア パリアッソ氏に、モンソルドについてお話しいただきました。
「モンソルドという丘陵地にブドウ畑があり、100年前まではここでもバローロと名乗ることができ“モンソルド”というバローロだったんです。今のモンソルドは(ビアンコも含め)私たちの若い世代が中心となって造った思い出深いワインです。メルロー、シラー、カベルネソーヴィニヨンを使用していますが、この地域では初めて造った国際品種でもあります。この土地でも高品質なカベルネソーヴィニヨンを生産できると示した良いワインだと思います。本来ランゲで造られるブドウとは異なる品種を使っていることに誇りを持っています。

モスカートダスティ実は今、当時のネッビオーロを戻そうというプランを考えています。もともとバローロという名で生産していたストーリーを巻き戻して“当時のバローロ”を再現しようというプロジェクトです。100%ネッビオーロで造るので、プチバローロになる可能性があるんです。

モンソルドはボトルデザインにもこだわっています。イタリアを代表するデザイナー、ジャコモ ベルサネッティとイタロ ルピにデザインしていただきました。モスカートダスティのボトルも同様です」

1985年、アルネイス100%を初めて生産した歴史的生産者「チェレット」
ランゲのワイン造りに革命をもたらした時代を象徴する白ワイン「ブランジェ」

ブルーノ ジャコーザ、ヴィエッティ、チェレットの3社が先駆けてアルネイス100%の生産を開始
ブランジェバローロ、バルバレスコの最高の造り手として名声を博すチェレットですが、実はアルネイス100%の先駆け的存在でもあります。生産量はなんと60万本で、トータル生産本数の半数を占めています。そんなアルネイス100%白ワイン「ブランジェ」について、パリアッソ氏にお聞きしました。

「今から30年以上前、1985年にアルネイスの生産を始めましたが、まだ全然知られていない品種でした。当時は他のブドウと混醸したり、テーブルワインとして使われていました。チェレットは、この品種をどうにか高品質化するために研究を重ねてきました。フレッシュさを出すためにセメントタンクや樽を使わずに、ステンレスタンクのみ使用しています。私たちは最初からこの構想でアルネイス100%を造り続けてきました。

アルネイス2021最初にアルネイス100%を造り始めたのは3社しかありません。ブルーノ ジャコーザ、ヴィエッティ、そしてチェレットです。アルネイスの畑は80haと広く、また全て手摘みで収穫するのでかなりの時間を要します。そのため、収穫した順番によってブドウの特徴が変わってくるんです。最初は酸が強く、それからだんだんと果実味などの個性が生まれてきます。ですので、ブドウを全部ひとまとめにせず、個性別にタンクに入れて20日間ほど発酵させた後にブレンドをしています」チャペル

歴史上初めて生産され、イタリア白ワインに革命をもたらしたアルネイス100%!
1985年ファーストリリース!豊かなミネラルと爽やかな酸、飲み心地のよい辛口白

輸出マネージャーを務めるマッティア パリアッソ氏はチェレットが造るアルネイスについてこう語ります。
「今から30年以上前、1985年にアルネイスの生産を始めましたが、まだ全然知られていない品種でした。当時は他のブドウと混醸したり、テーブルワインとして使われていました。チェレットは、この品種をどうにか高品質化するために研究を重ねてきました。フレッシュさを出すためにセメントや樽を使わずに、ステンレスタンクのみ使用しています。私たちは最初からこの構想でアルネイス100%を造り続けてきました。

最初にアルネイス100%を造り始めたのは3社しかありません。ブルーノ ジャコーザ、ヴィエッティ、そしてチェレットです。アルネイスの畑は80ヘクタールと広く、また全部手摘みで収穫するのでかなりの時間がかかります。そのため、収穫した順番によってブドウの特徴が変わってくるんです。最初は酸が強く、それからだんだんと果実味などの個性が生まれてきます。ですので、ブドウを全部ひとまとめにせず、個性別にタンクに入れて20日間ほど発酵させます。発酵後にブレンドをします。」
アルネイス ブランジェ2020

試飲
コメント

淡い麦わら色。リンゴ、洋ナシ、花など繊細で新鮮な果実の香り。豊かなミネラルとフレッシュな酸味が際立ち、柑橘系の余韻が長く続きます。

名門「チェレット」の3代目が新たな挑戦で造る清々しい辛口有機リースリング
標高600~800メートルが生む美しい酸とバランスに優れた果実感

オーナー、フェデリコ チェレット氏にモンソルド ランゲ ビアンコについてお話いただきました。
「畑は標高600~800メートルと高く涼しいところにあるため、リースリングにとっては最適な立地です。このモンソルドは、3代目の私たちから造り始めたワインです。リースリングということもあり、アルネイス100%で造るブランジェとは違って、インターナショナルなワインに仕上げています。時間を置くと骨格が出てくるワインでもあります。

モンソルドはボトルデザインにもこだわっています。イタリアを代表するデザイナー、ジャコモ ベルサネッティとイタロ ルピにデザインしていただきました。チェレット家にとって馴染み深いモスカートダスティのボトルデザインも担当しています」
モンソルド ランゲ ビアンコ2019

試飲
コメント

縁が黄金に輝く淡い麦わら色。フレッシュな果実の芳しいアロマ。新鮮な果実味と美しい酸が見事に調和しています。少しの苦みと甘味、ミネラル感が舌の側面を走っていき、それが余韻として残る心地よさもあります。

100年前はバローロと名乗れたエリアで造るモダンスタイルの大人気赤「モンソルド」
>カベルネ、メルロー、シラーを巧みにブレンド、ふくよかさと凝縮感のある洗練された味わい

輸出マネージャーを務めるマッティア パリアッソ氏にワインについてお聞きしました!
「モンソルドという丘陵地にブドウ畑があり、100年前まではここでもバローロと名乗ることができ“モンソルド”というバローロだったんです。今のモンソルドは私たちの若い世代が中心となって造った思い出深いワインです。メルロー、シラー、カベルネソーヴィニヨンを使用していますが、この地域では初めて造った国際品種でもあります。カベルネソーヴィニヨンは、この土地でも高品質にできることを示したいいワインだと思います。本来ランゲで造られるブドウとは異なる品種を使っていることに誇りを持っています。

かつて、モンソルドの畑にはネッビオーロやバルベーラが植えられていて、最初はそれらと国際品種をブレンドしていました。しかし、どうしても土着品種とは合わないので、全て国際品種に変えた経緯があります。87年にカベルネソーヴィニヨンとシラー、90年にメルロー、97年にピノネーロとシャルドネ、ヴィオニエを植えました。

モンソルドはボトルデザインにもこだわっています。イタリアを代表するデザイナー、ジャコモ ベルサネッティとイタロ ルピにデザインしていただきました。チェレット家にとって馴染み深いモスカートダスティのボトルデザインも担当しています」
モンソルド ランゲ ロッソ2018

試飲
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紫がかった明るいルビー色。天草やフルーツ由来の甘い香りがあり、ハーブ、紫果実、奥のほうに胡椒やコーヒーを感じます。黒系果実と少しの紫果実、そしてスパイシーさが際立つ風味。タンニンを含めて、まろやかな味わいが口中を優しく包み込み、凝縮果実やスパイシーを感じる余韻が程よく続きます。

バルバレスコ最上の畑「アジリ」と「ベルナドット」の自社ブドウをブレンド!
名門チェレットのエレガントで骨格があるクラシックなバルバレスコ

チェレットのバルバレスコは自社畑の2箇所の区画、アジリとベルナドットのネッビオーロをブレンドして造られています。アジリの区画からはフィネスを、ベルナドットの区画からボディがもたらされます。2つの区画をブレンドすることでエレガントで骨格がある味わいとなります。2016年は『ジェームズサックリング』で93点、『ワインアドヴォケイト』で92+点を獲得しています!
バルバレスコ2016

試飲
コメント

美しい淡いルビー色。力強く複雑な香り。赤い果実、バラなどの赤い花、やや甘さを感じる果実が香るエレガントなアロマを感じました。チェリーやブラックチェリーのスパイスを感じる繊細な味わい。繊細でありながらしっかりとした骨格があり、なめらかなタンニンとエレガントで複雑な味わいが長く持続します。

バローロ最高クリュの一つ「ブルナーテ」のブドウを60%使用!
4つの優良畑からブレンドされたチェレットが誇るクラシックバローロ!

バローロ、バルバレスコの名門として知られるチェレットのスタンダードバローロです。4つの優良畑ブリッコロッケ、ブッシア、ブルナーテ、プラポからなるブドウをブレンドして造るクラシックスタイルで、最高クリュの一つ「ブルナーテ」のブドウが60%も使用されています。

「このバローロは、4つの畑のブドウをブレンドしたクラシックなバローロです。それぞれの畑は標高も場所も違うので、非常に複雑で独自の味わいに仕上がっています」と話すのは、オーナーのフェデリコ チェレット氏。2016ヴィンテージは『ワインアドヴォケイト』で95+点を獲得しています!
バローロ2016

試飲
コメント

ガーネットがかった綺麗な淡いルビー色。香りは力強く、骨太な赤い果実や花、少しドライフルーツのアロマがあります。滑らかなタンニンがあり口当たりはソフト。それでいて味わいは力強く、複雑な風味の余韻が非常に長く続きます。

バローロ村とラ モッラ村にまたがる最高クリュの一つ「ブルナーテ」!
名門チェレットが良年のみ造るクリュバローロ2016年

名門チェレットがバローロ村とラ モッラ村にまたがる最高クリュの一つ「ブルナーテ」畑で良年のみ造るクリュバローロ。ブルナーテは、バローロ地区の中でも特に力強さや奥深さのある味わいを生む畑です。素晴らしい個性を生む象徴的な土地として知られ、チェレットは40年に渡り高品質なネッビオーロを生産してきました。ファーストヴィンテージは1978年。2016年は『ワインアドヴォケイト』で97点、『ジェームズサックリング』で95点を獲得しています!
バローロ ブルナーテ2016

試飲
コメント

ガーネット色。香りは力強く非常に複雑です。バラや完熟した赤系果実のエレガントな芳しいアロマ。香りと同様の力強く複雑な風味が口中に広がります。口当たりは非常に滑らかなでエレガントな印象。繊細ながらも芯のしっかりとした余韻が綺麗に持続する奥行きのある味わいです。

1978年初リリース!名門チェレット家が造る歴史的モスカートダスティ!
綺麗な酸と仄かな甘みが調和する甘口微発泡ワイン

モスカート(マスカット)種から造られた微発泡性のワイン。アルコール度数も低く、ほのかに甘みのある味わいは親しみやすく大人気。きれいな酸がワイン全体の味わいに美しいバランスを与えています。

輸出マネージャーを務めるマッティア パリアッソ氏にモスカートダスティについてお聞きしました!
「これは約50年前、親戚として付き合いのある5つのファミリーと造ったワインで、私たちのシンボルのような存在です。このワインは、ちょっとテーブルで飲むこともできますし、この土地に住んでる人たちにとっても大事なワインです。誰が飲んでも美味しいと思えますよね。

特徴的なボトルの形にもこだわっています。イタリアを代表するデザイナー、ジャコモ ベルサネッティとイタロ ルピにデザインしていただきました。モンソルドのボトルデザインも担当しています。このボトルが長くてショップさんが梱包する時に苦労しているのは知っています(笑)。でも、このデザインがあるからこそ世界的に売れているんです」
モスカート ダスティ2020

試飲
コメント

麦わら色がかった鮮やかな黄色。リンゴ、洋ナシなどのフレッシかつフルーティ、そして甘やかな果実香が漂います。泡は非常に細かく口当たりはソフト。しっかりした酸と綺麗な甘さがあり、優しく調和が取れた軽やかな味わいです。

バローロの名門チェレットが厳選したブドウを特別醸造!様々な畑のネッビオーロをブレンド、優美な風味とエレガントな熟成感が楽しめるお値打ちバローロ!

ブドウ生産者から厳選ブドウ購入して特別に醸造、瓶詰したお手ごろ価格のバローロ「バローロ コンテ デル ウニタ」です。バローロの伝統である様々な畑のネッビオーロがブレンドされています。調和の取れた優美な美味しさをお値打ち価格でお楽しみ頂ける2016ヴィンテージです。

2016年ヴィンテージの偉大さについて、輸出マネージャーを務めるマッティア パリアッソ氏に話していただきました。
「2016年は過去20年で一番いい年と言われています。バローロ、バルバレスコともにバランスの良いワインに仕上がっています。バランスがいいので、若くても飲み心地の良さがあり、さらに長期熟成が可能です。こんなことはなかなかない大変いい年です。バランスに優れて、フレッシュで、ちょうどいい心地よいタンニンがあります。飲み心地のよいワインなので、飲まれるのはレストランでも個人でもいいですよね。時間が経つと変わっていくので面白いです」
バローロ コンテ デル ウニタ2016

試飲
コメント

ガーネット色。力強さと上品さを兼ね備えた香りで、レッドチェリーなどの赤い果実、赤い花、スパイス、タバコなど複雑でエレガントなアロマがあります。赤い花や完熟果実の風味が口中に広がり、じっくりとその風味の余韻が持続します。

インタビューを終えて

3世代続くチェレットは世代交代するたびに新しいことに挑戦してきました。初代はネゴシアンとしてワイン生産を開始し、2代目は偉大なクリュ畑を購入して自社ワインを生産。3代目は、前代の資産と伝統を引き継ぎながら国際品種やビオディナミ農法、ホスピタリティに注力し始めます。

今回お話を聞いて驚いたことは、2代目が3代目に移譲する際に、バローロ最高クリュの一つ「ブルナーテ」畑の真ん中に構えるカンティーナ兼自宅を、次の世代に全て移譲した点です。いつでも畑を見渡せ、全てをワイン造りに捧げられるように受け渡したそうです。「次は息子、娘たちの番だ」と言わんばかりに、一気に全てを譲り渡したその覚悟は敬服するばかりです。少しは若い世代に介入しそうなところですが、そういったこともなく2代目は少し離れたところで暮らしているそうです。そうした覚悟を持って次の世代につなぐことで、チェレットは代々挑戦し続けることができ、一族の伝統を重視しながら躍進を遂げているのだなと思いました。

ボトルから建造物までユニークなデザインに力を入れるチェレットですが、その中で一番印象的なのは、「ブルナーテ」内にあるカラフルな教会です。イタリアに何年か住んでいましたが、あれほど奇抜なカラーリングは、一般の建造物でさえ見たことがありません。それが教会、チャペルだということにも驚きました。その思い切りの良さがあるからこそ、時代を切り開いていくチェレットの姿があるのかなと、お話を聞きながら感じていました。

ワインはどれも奥深さがありながらも、飲み心地が良く親しみのある味わいです。それがピエモンテの名門としてだけでなく、人気生産者として世界中から愛される所以だと再認識しました。そして、バローロ、バルバレスコの名門との呼び声高いチェレットですが、実は白ワインの名手でもあります。アルネイスの生産量は圧倒的で、なんと総生産の半数を占めているのには驚きました。

伝統と革新の融合で躍進を遂げる名門一族「チェレット」のワインをぜひご堪能ください。
生産者さんと林茂さんと

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