TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2023/09/27

アンドレア ロナルディ氏 Mr. Andrea Lonardi

ワインの最高権威『マスターオブワイン』に合格!
『ガンベロロッソ2023』年間最優秀ワイナリー受賞!アマローネの名門「ベルターニ」を超一流の流儀で手がけるCOOアンドレア ロナルディ氏突撃インタビュー

2023年度版『ガンベロロッソ』年間最優秀ワイナリーに輝いたアマローネの名門「ベルターニ」。甘口ワインが主流だった1860年から辛口ワインの生産を貫き、また、凝縮感溢れるワインが市場を席巻した近年でも、一貫して軽やかでエレガントなアマローネを追求するイタリア最高峰の造り手です。そんなワイナリーを手がけるのは、イタリア人史上2人目の『マスターオブワイン』アンドレア ロナルディ氏。分析や研究に何年もの時間を要し、150ページにわたる「ペルゴラ仕立て」についての研究論文を書き上げ、2023年に見事マスターオブワインの称号を取得しました。今回はアンドレア氏ご本人をお迎えして、彼の一流思考を紐解くべく自身の半生にも触れながら、ワイナリーやワインについてお話を聞きました。

2023年、ワインの最高権威『マスターオブワイン』に合格
アマローネの名門「ベルターニ」COOアンドレア ロナルディ氏

脳内で世界中を飛び回る好奇心旺盛な幼少期
――アンドレアさん、まずは『マスターオブワイン』合格、おめでとうございます。

一同 (拍手)

アンドレア ありがとうございます。

――今日は、アンドレアさんご自身についてもお聞きしたいです。『マスターオブワイン』に到達されるまで、どのような人生を歩まれてきたのですか?

アンドレア ヴェネト州とオーストリアのミックス家系で、ヴァルポリチェッラでシルク生地やブドウ栽培に携わる一家に生まれました。毎日家族で大きいテーブルを囲み、食事を楽しみながら育ちました。昔から好奇心旺盛で、いつも頭の中で世界中の国を旅していたので「大きくなったら、こんなところに行きたいんだ」とよく話していました。家族からは「変な子だ」という目で見られていましたね(笑)。

フランス、アメリカで経験を積み、イタリアの大手ワイナリーグループに入社
アンドレア 24歳の時にイタリアを出ました。フランスのモンペリエで勉強をした後は、アメリカで研修をし、ニューヨークでワインの営業マンとして働き始めました。当時は、ワインがどのように造られ、どのように市場に流れ、どのように売られていくのか非常に興味があったんです。

2004年にイタリアへ戻り、GIV(※)に入社します。(年間生産量が)1億本規模の非常に大きな企業で、きちんと組織化され、自分自身のキャリアを引き上げてくれるような会社でした。畑で着るようなダメージジーンズばかり履いてましたけどね(笑)。オフィスでも働きましたし、ニーノ ネグリなど様々なカンティーナでも多くの経験を積みました。
(※)Gruppo Italiano Vini。ワイン生産と販売、プロモーションにおいて世界でも最大規模を誇るイタリア初のワイナリーグループ

2012年、ベルターニの最高執行責任者としてアンジェリーニグループに入社
アンドレア その後、管理職など経験を重ねていくうちに、「自分がファインワイン(最高品質ワイン)を造りたい」という思いが募るようになりました。そうして2012年に、ベルターニのCOO(最高執行責任者)として、現在のアンジェリーニグループに入社しました。

最高品質を追求するべく『マスターオブワイン』に挑戦
――最初からCOOはすごいですね。いつ頃から『マスターオブワイン』に挑戦しようと思われたのですか?

アンドレア ベルターニ入社の2年後、2014年3月です。ファインワインを造るためには、多くの準備が必要だと気づいたんです。「ファインワインとは何か」という基準を定めるべく、醸造技術や同僚のマネジメントなど、様々なことに対して自分の思考を切り替えていきました。

紙に書いて説明しますね。分岐点は2012年です。それ以前はワインに対する気持ちの浮き沈みがありました。しかし、GIVに入社してからは、自分自身のモチベーションは常に安定して上昇していきました。『マスターオブワイン』への道のりは大変でしたが、その過程がベルターニのワインに変化をもたらしたと思っています。


『マスターオブワイン』の過程で起きたワイン生産者としての意識改革
アンドレア 『マスターオブワイン』を志す過程でブドウ栽培、ワイン醸造法、試飲への向き合い方、働き方、チームマネジメント、全てが変わりました。何よりも変わったのはコミュニケーションです。つまり、マーケットへのアプローチですね。当然、醸造家としては栽培法と醸造法も勉強しますが、造ったワインを「誰にどのように訴求するか」も着目しなければなりません。ワインをどのように語り、どのようにプレゼンテーションするかを非常に意識するようになりました。

2000年代までは品質だけを重視している時代だったので、当時の私であれば「私のワインはクオリティが高くて、他のワイナリーよりも美味しいです」と伝えるだけだったでしょう。しかし、今は違います。「1857年にヴァルポリチェッラで創業したベルターニは…」という歴史から始まり、どういう哲学のもと、どういうスタイルのワインで、どういう飲み手のために造っているかまで話します。現在はそのようにして、ベルターニを理解し好んでくれる方に飲んでいただいていると思っています。

――なるほど。非常に勉強になるお話をありがとうございます。大規模なGIVからアンジェリーニグループに移ったとのことですが、現在は何名の方をマネジメントしているのですか?

アンドレア まず、生産量が1億本規模のGIVでは500~550人くらいの従業員がいました。一方で現在のアンジェリーニグループの生産量は300万本で、150人の従業員がいます。生産量に対して非常に多いです。というのも、ベルターニをはじめとする当グループのワインは職人気質のスタイルだからです。

アンドレア氏が説明に使用した30枚ものA4用紙

創業当初から一貫して追求する伝統的スタイル
イタリア最高峰ワインブランド「ベルターニ」

――アンドレアさんはベルターニの代表として、歴史やワイン造りについて深く考えていったと思います。そこから、造り手としての方向性はどのくらいの時間をかけて決めていきましたか?

アンドレア 2014年からアクションプラン(目標達成のための行動計画)を立て、実際の作業に落とし込み始めたのは2018年からです。私たちはワインブランドとして、ベルターニの飲み手(顧客)について深く分析、理解しなければなりません。それを踏まえて、ベルターニのポートフォリオとなるワインについて思考を重ね、造っていくべきだと考えています。

創業当初から一貫した造りを続け、今や偉大な造り手と肩を並べるまでに
アンドレア そもそも、ベルターニの歴史はベルターニ兄弟によってスタートしました。彼らは実業家としても優秀でした。「将来は辛口ワインの市場が開かれるだろう」と予測し、創業当時から主流だった甘口のレチョートの生産をやめ、辛口レチョート、つまり後のアマローネとなるワインを造り始めました。

アマローネとしての初ヴィンテージは1958年。それから25年ほど経った1980年代には彼らの見立て通り、アマローネが市場に認められて大成功を収めたのです。今ではベルターニブランドは高く評価され、オルネッライアなどと肩を並べていると思います。


職人気質とクラシックスタイルを重視しながら伝統に縛られない革新も追及
アンドレア そのベルターニを他業界のブランドで例えると、エルメス、ヴァレンティノ、マセラッティと言えるでしょう。ワイナリーで言えば、オルネッライアやアンティノリ。つまり、より職人気質でクラシカルな存在です。このようにブランドの歴史、立ち位置、ビジョンを明確にしてワイン造りの方向性が決まります。

また、ポートフォリオの区別化も大切です。つまりは、各ターゲットに向けてワインを造るということです。今この部屋には3世代の方がいますね。仮にみなさんでエルメスで買い物するとします。私の世代はネクタイやスカーフ、その下の世代は代表的な靴、そのまた下の若い世代は何か新しい商品を買うでしょう。

ベルターニで言えば、上の世代がアマローネ、その下がリパッソ。そして、一番若い世代に向けて新しく生まれたベルターニクリュです。新世代の出現を考慮すると、ブランドの方向性は変えないながらもクラシックだけではいけないのです。難しい話ですね(笑)。


アマローネに匹敵する品質で全ワインの品質向上に寄与したベルターニクリュ
アンドレア ベルターニクリュは若い世代に届くように造りましたが、決して単なる若者向けワインではありません。栽培、醸造全てにおいてレベルを上げ、より良いものを造るという観点から生まれた職人気質のワインです。その影響でワイン全体がよりフレッシュで軽やかになり、ベルターニの品質が底上げされました。

――昨年のオンラインインタビューで、ベルターニクリュ(レ ミニエーレ、オンニサンティ)を試飲して驚きました。ベルターニの進化を実感したワインでした。

アンドレア そうですね。確かに変わりました。今は20代、30代の方が飲んでくださっています。アマローネにも匹敵する品質です。新しいベルターニについて、そう言っていただけて嬉しいです。ベルターニクリュは、私が『マスターオブワイン』を目指す過程で考え始めた「Pinosophy(ピノソフィ)」という概念のもと生まれました。

『マスターオブワイン』アンドレア氏が分類する全世界のワイン
まず世界のワインのカテゴリーを分類すると、ピノノワールタイプ、ボルドータイプ、クラシック(伝統的)タイプに分けられます。ピノノワールタイプは、そのPinosophyにあたるものです。ボルドータイプは、ボルゲリ、南アフリカのボルドーブレンド、ナパヴァレーのボルドーブレンド、チリのカベルネ ソーヴィニヨンなど。クラシックタイプは、ブルネッロ ディ モンタルチーノやバローロで、そこに重厚感のあるタイプを加えるとシャトーヌフ デュ パプ、リオハのレセルバやグランレセルバ、アマローネがあります。

また、イタリアの中で分類すると、クラシックタイプに加えて、フレッシュタイプと果実味タイプがあります。フレッシュタイプは、アルトアディジェのピノネロやネレッロマスカレーゼなど。果実味タイプはプリミティーヴォやリパッソですね。

Pinosophyとは、各品種の個性を持ちつつ、フレッシュで軽やか、そして塩味を持つピノ ノワールに似たワインのことを指します。該当するのは、ボジョレー(ガメイ)、ガルナッチャ、チリのサンソーなど。イタリアでは、ネレッロ マスカレーゼ、ランゲ ネッビオーロ、そしてヴァルポリチェッラです。これらは、頻繁にワインを飲む方、知識のある方、ブルゴーニュ愛好家、もう少し安価なワインを好む方など、様々な方から飲まれる興味深いカテゴリーです。


――アンドレアさんのお話は、大学の講義のようで奥深いです。普段からセミナーなどを開いてるのですか?

アンドレア それでは、みなさんから講義料をいただきましょうか(笑)。大学で講義をすることはありませんが、今話している内容は、常日頃から仕事で同僚に向けて説明しているとても重要なことです。ベルターニはどのようなブランドとしてワインを表現し、どのようなコンセプトのもとみなさんにお届けしているか。これらを営業担当にしっかり伝えています。

飲み比べてわかる異なる土壌の特性
2種類の「ソアーヴェ」&「ベルターニクリュ」

――ソアーヴェ2種類についてご解説をお願いします。

アンドレア どちらもソアーヴェ クラシコ地区で造られるガルガーネガ100%の辛口白ワインです。栽培エリアが異なるので土壌も異なります。その土壌の違いが、香りや味わいに強く影響しています。ぜひ、2つグラスを用意して飲み比べてみてください。
セレオーレ(左)、ヴィンテージ(右)

食前酒に最適なカジュアルライン「セレオーレ」
アンドレア まずセレオーレは、グラスワインで楽しむカジュアルダイニング用のワインです。冷涼なエリアの炭酸カルシウムを多く含む泥灰土の沖積土壌で育ったブドウを使用しています。柑橘、白い花、ライム、ミネラルが特徴の軽やかな味わいです。類似ワインはシャブリです。

贅沢ディナーにピッタリな芳醇で凝縮感溢れる「ヴィンテージ」
アンドレア ヴィンテージは、高級レストラン用のワインです。温暖エリアの火山性土壌で育った古木のブドウを使用しています。凝縮感、芳醇な香り、桃、アプリコット、熟した果実、豊富なミネラル感があります。類似ワインは、リースリングとシュナンブランですね。食事と合わせながら、味わいの変化も楽しんでいただきたいです。レストランのテーブルにマッチするようにボトルをデザインしており、イタリアの優雅なスタイルを表しています。

ちなみに、私はセレオーレを飲みます。なぜなら、夕食前のアペリティーボとして飲むのが好きだからです。一方で私の妻は、ヴィンテージを飲みます。ボトルをテーブルに置くだけで友人から素敵だという反応があるからです(笑)。ややアロマティックな香りとミネラル感のある親しみやすい味わいも理由の一つですね。

「Pinosophy」の概念で生まれた革新的ワイン「ベルターニクリュ」
――では、ベルターニクリュ2種類についてご解説をお願いします。

アンドレア 『マスターオブワイン』の影響で考え始めたPinosophyのもと造ったのがベルターニクリュです。アマローネを造らなかった2014年に、アマローネになる予定だったブドウを使って、そのピノスタイルのワインを実験的に造り始めました。そして完成したのがレ ミニエーレとオンニサンティです。どちらも単一畑で造られます。それらの畑のブドウがアマローネになることはありません。


赤い石灰質土壌で造る、赤系果実が際立つふくよかな「レ ミニエーレ」
アンドレア まずはレ ミニエーレから。赤い石灰質土壌で育った、コルヴィーナ、コルヴィノーネ、ロンディネッラ5%をセメントタンクのみで熟成して造られます。サクランボやイチゴの味わいで、ふくよかで肉付きのあるタンニンもあります。後味にはコーラや苦味のある柑橘類のニュアンスがやってきます。

白い石灰質土壌で造る、柑橘とミネラルが溶け合う「オンニサンティ」
アンドレア オンニサンティは、白い石灰質で育ったコルヴィーナ95%とロンディネッラ5%を、50ヘクトリットルの新しい大樽で1年間熟成させて造ります。とても軽やかな味わいで、甘いスパイス、白胡椒、塩味(ミネラル)を感じます。今試飲している2018年は素晴らしい年で、キノット(柑橘)やルバーブが現れています。

――ベルターニクリュは若い世代向けのワインとのことですが、上級者の方々のほうが好む可能性が高い気がします。

アンドレア そうとも言えます。ブルゴーニュはもちろん、ドイツ、ニュージーランド、ソノマ、オーストリアのピノ ノワールを好む方々ですね。イタリアで言えば、アルト アディジェのピノ ネロ、スキアーヴァ、ランゲ ネッビオーロ、ネレッロ マスカレーゼ、キャンティ ルフィナです。

エレガンス、複雑性、華やかさが最大限引き出された
ベルターニの最高傑作アマローネ クラシコ

アンドレア アマローネは大成功を収めながらも、ベルターニにとっては困難な時期もありました。それは、残糖度が高くリッチで凝縮感のあるワインが求められるようになってからです。みなさんが思い浮かべるアマローネの多くは、そのようなワインではないでしょうか。

たとえ困難な時代だとしても、ベルターニは何一つ造り方を変えずアマローネを生産し続けました。2015年になると、よりフレッシュで凝縮感が少し抑えられたアマローネが再注目され、同時にベルターニも注目されるようになりました。


ベルターニスタイルの礎となる5つの重要な要素
アンドレア 私たちが造るアマローネ クラシコには、重要な要素が5つあります。土壌、品種、陰干し、木樽熟成、瓶内熟成です。

まずは土壌。畑はテヌータ ノーヴァレ(ノーヴァレ農園)にあり、レ ミニエーレとオンニサンティにある赤い石灰質土壌と白い石灰質土壌、そして火山性土壌で構成されています。この火山性土壌が、ワインを軽やかにし長期熟成力を生んでいます。

品種はコルヴィーナ95%(とロンディネッラ)。コルヴィーナは病気に弱く神経質な品種で、栽培が大変難しいのですが、コルヴィーナだからこそ生まれるエレガントさ、繊細さ、華やかさを私たちは重視しています。

ブドウを休ませること、つまり陰干しも重要です。竹の筒を編んだ棚にブドウを休ませ、除湿器やエアコン、扇風機を使わず完全に自然な状態で乾燥させています。天候によってはカビのリスクもありますし、毎年難しいです。そのため造れない年もあります。乾燥させてから残るブドウは全体の30%しかありません。

続いて、木樽熟成。50ヘクトリットルのスラボニア産の大樽で8年間熟成させています。新樽は使いません。ソレラシステムのように、寝かせている樽に毎年最新ヴィンテージを少量ずつ補填していきます。


8年間の継ぎ足しと大樽熟成、その後1年間の瓶内熟成
――ソレラシステムはいつ頃から行っているのですか?

アンドレア ずっと昔からです。

――他のアマローネは?

アンドレア 他ではやりません。これがベルターニスタイルです。

――そうだったんですか。8年分のアマローネを少量ずつ加えていくのですね。

アンドレア そうです。最終的には約12%の別ヴィンテージが補填されます。これによりワインに複雑性が生まれます。そして、1年間の瓶内熟成を経てリリースされます。これら5つの要素があって初めてベルターニスタイルのアマローネが造られるのです。特に、各ヴィンテージの違いが強く反映されるのは陰干しの過程です。その年の気候の影響やヴィンテージの特徴が表れるんですよ。

――アンドレアさん、本日はありがとうございました。さらにベルターニについて詳しくなりました。生産者としてだけでなく様々な視点を持たれているアンドレアさんにしか生まれない発想が、2023年度版『ガンベロロッソ』ワイナリーオブザイヤーという結果につながっているのだと改めて実感しました。

アンドレア ありがとうございます。(ワイン解説を)あと2週間くらい続けましょうか?

一同 (笑)

バランスに優れた味わいでカジュアルに楽しめるエントリーソアーヴェ

低温でソフトプレスの後、フレンチオークの発酵槽(7500L)で低温発酵後、そのままシュール リーで6ヶ月熟成させています。単一畑「セレオーレ」の厳選された完熟ブドウから造られるこのソアーヴェは、洋ナシの香りの後にアプリコットやパイナップル、メロンを思わせる甘い果実の香りが広がる、まろやかでバランスのとれたワインです。セレオーレとは、この地方の特産品である「チェリー」を意味するヴェローナの方言です。
ソアーヴェ クラシコ セレオーレ2022

試飲
コメント

淡い麦わら色。レモン、白い果実、柑橘、白胡椒、ミネラル感、ややフローラルで甘やかな香り。香り同様のレモンなどの柑橘系があり、クリーンで繊細な味わいです。

ほどよい濃密さとフレッシュさ、ミネラルが溶け合う上級ソアーヴェ

ソアーヴェは早くも1931年頃から「特徴的ですばらしい」として認識されていたイタリアワインの一つで、ベルターニ社のソアーヴェは世界中でこのワインのイメージの象徴となっていました。1937年には、イギリス王ジョージ6世の戴冠式での昼食時にベルターニ社のソアーヴェが提供されています。ソアーヴェ ヴィンテージ エディションは、当時の伝統的な醸造法を取り入れることで皮からも成分を抽出し、ガルガーネガというブドウの特徴を最大限に引き出しています。
ソアーヴェ ヴィンテージ エディション2021

試飲
コメント

輝きを持つ濃い麦わら色。熟した果実、パイナップルキャンディ、ミネラル、蜜のニュアンスのある香り。抜栓直後はやや閉じていましたが徐々に開いていきます。クリーンで、ほどよく凝縮感のあるスムースな口当たり。熟した果実、白い果実、ハーブが綺麗にまとまっています。後から白桃など明確な要素が現れ、奥行きを感じる余韻があります。

上品でスイスイいける軽やかな味わいのクリュ ヴァルポリチェッラ

ヴァルポリチェッラ クラッシカ地区のベルターニ自社畑ノーヴァレにある、このミニエーレ(炭鉱)とよばれる区画の名前は、1900年代の初頭まで地下に鉄やマンガンを産出する炭鉱があったことに由来します。手摘みで丁寧に収穫されたブドウをセメントタンクで熟成して造られるこのワインは、ヴァルポリチェッラの土壌のポテンシャルをよく表現する、しなやかで力強い味わいです。
レ ミニエーレ ディ ノーヴァレ ヴァルポリチェッラ クラッシコ2019

試飲
コメント

やや淡いルビー色。凝縮果実やドライフラワーが香る繊細かつ奥行きと明るさを持つアロマ。軽やかでスイスイ行ける飲み心地で、洗練された上品さも感じます。時間が経つと、黒い果実のニュアンスが現れました。

飲み心地と奥行きある味わいを兼ね備えたクリュ ヴァルポリチェッラ

ヴァルポリチェッラ クラッシカ地区のベルターニ自社畑ノーヴァレの中でも、16世紀に建てられたオンニサンティという名の教会の周りに広がる区画から造られます。豊富な石灰質土壌で収穫されるブドウはベルターニの栽培技術により小ぶりな実をつけ、皮の比率が高まることで複雑味が増します。オーク樽で12ヶ月の熟成、6ヶ月の瓶内熟成を経てリリースされる、ヴァルポリチェッラ クラッシカエリアを最大限に表現したクリュワインです。
オンニサンティ ディ ノーヴァレ ヴァルポリチェッラ クラッシコ スペリオーレ2018

試飲
コメント

ややガーネットに近いルビー色。凝縮果実とレッドグレープフルーツのようなジューシーな果実、柑橘、ミネラル感のある香り。香りと同様にレッドグレープフルーツをかじったような果実感のあるクリーンな味わい。わずかにスパイシーさも感じる奥行きのある余韻も特徴的。

洗練されたエレガンスが光るベルターニの最高傑作アマローネ クラシコ

ベルターニ社の最高傑作であるアマローネ。ファーストヴィンテージは1959年です。「長い陰干し」、「ゆっくりとしたアルコール発酵」、「長期樽熟成」を経て造り上げられました。長い熟成から醸し出された重厚な味わいと、果実の芳醇な香りが感じられるエレガントなワインです。
アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ2012

試飲
コメント

ガーネットよりのルビー色。ドライフルーツ、腐葉土、ドライトマト、シナモン、革の複雑でクリーンな香り。口当たりはマイルドで、繊細かつフレッシュでギュッと詰まった充実感ある果実が口中を満たします。上品で洗練された力強い味わいがバランスよく持続します。

インタビューを終えて

アンドレアさんにお話を聞く貴重な時間はあっという間に過ぎてしまいました。

各テーマごとに順序立てて、内容の濃い話を理路整然と話されていて大変勉強になりました。実は、当記事では書ききれなかったお話はまだまだたくさんあり、非常に充実感に満ちたインタビューとなりました。様々な角度からワインを見ることができ、ベルターニについてより一層理解が深まったと思います。

インタビュー中、アンドレアさんはメモを書きながら解説してくださいました。その量なんとA4用紙30枚。その紙を後で見返すと、図解を用いたメモが多く、アンドレアさんの脳内を覗いてるようで大変興味深かったです。しかし、それは『マスターオブワイン』に到達するまでに積み上げてきた膨大な知識と経験に基づく理論の一部だと考えると、この貴重なメモ書きは『マスターオブワイン』アンドレアさんのほんの一部に過ぎません。もっともっとお話を聞きたかったです。

そして、偉大なアンドレアさんだからこそ生まれる発想のもと、ベルターニブランドは輝き続け進化を遂げているのだと思います。その結果、2023年度『ガンベロロッソ』で年間最優秀ワイナリー受賞に至ったのだと改めて感じました。

歴史、哲学、理論、想いが詰まった全てのベルターニワインを、ぜひご堪能ください。

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