革のことばと基礎知識

欧米では、動物の原皮をそのサイズや重量で大きく2通りに呼び分けます。
「ハイド(hide)」は成牛や馬など、大型動物から採れる厚く大きな動物のもの。
逆に、鹿や羊、爬虫類などの中型~小型の動物から採れる薄く小さな動物の原皮は
「スキン(skin)」と呼ばれます。

「ハイド」に分類される動物

大きくて厚く、丈夫な定番レザー。


原皮は基本的に食肉の副産物として生まれるので、世界で最も流通量が多い皮は牛になります。その中で最もポピュラーなのが、成牛の皮である「キャトルハイド」です。

メスの方が雄よりもやや薄く柔らかいですが、どちらも非常に大判で厚く、線維密度が比較的揃って緊密。その結果、丈夫で見た目も美しい革ができるので、衣料品から工業用まで非常に広い用途で使われます。なお、子牛の皮は判が小さいためスキンとして扱われています。

主な用途:鞄、財布、革小物、上着、家具、カーシートなど

大きなシワ模様と光沢感が個性的。


東南アジアやインドで飼育されている水牛の皮。大きなシワ模様や傷痕が多くワイルドな表情ですが、革質は意外にしなやかです。深く美しい光沢が出るため、レザージャケットなど衣料品で人気が高い革になります。なお、北米のバイソンも「バッファロー」と称することがありますが全く別の生物で、その革も異なる個性を示します。

主な用途:鞄、財布、革小物、上着、ベルトなど

「バッファローハイド」が使われている、
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しなやかで、ワイルドな表情が魅力。


馬の皮は柔らかくて判が大きいので、レザージャケットなどの衣料品に多く採用されます。ただし、牛革に較べると線維がやや粗いため耐久性は若干低くなります。また表面にはバラ傷が多く、使用しているうちに銀浮き(表面が下層から剥離して浮いた状態になること)を起こすことが多いので、ワイルドな印象の革になります。

主な用途:鞄、財布、革小物、上着など

なお農耕馬の尻の皮からは固く緻密な層が採れ、「コードバン」という高級レザーに仕立てられます。

「スキン」に分類される動物


軽くて通気性が良く、摩擦に強い。


ピッグスキンは三角形に並ぶ毛穴が特徴。これが表面から肉側まで貫通しているため非常に通気性が高く、軽い革ができます。また表面が摩擦に強いことから日本では内装素材に良く使われますが、欧米では高級素材としてバッグの主素材にも使われます。なお、ピッグスキンは日本が世界で最大かつ最高品質の産地で、皮革素材としては唯一輸出されています。

主な用途:鞄、財布、革小物、上着、ベルト、帽子など

  • 独特なシボ模様が人気の的。


    独特の細かなシボ模様が特徴で、薄いですが密度の高い引き締まった革質。摩擦に強いため衣料品によく使われます。なお、子山羊の皮は「キッドスキン」と呼びます。

    主な用途:財布、革小物、上着など

  • 緻密なので、薄くても丈夫。


    線維が非常に緻密なため、とても柔軟で薄い革ながら圧倒的な耐引き裂き強度を誇ります。またフィット効果が高いため、日本では古来より武具用に多用されてきました。

    主な用途:財布、革小物、手袋、武具、眼鏡拭きなど

  • 柔らかくて温かいのが特徴。


    薄くて柔らかく、保温性が高いため、冬物衣料や手袋によく利用されます。生後1年以内の子羊の皮はラムスキンといい、繊細なタッチで最高級革になります。

    主な用途:革小物、上着、靴、手袋、羊皮紙など

  • 立体感のある鱗模様が美しい。


    アフリカ、東南アジア、オーストラリアで養殖される、最高級のワニの皮。通常使われるのは腹部分で、立体感のある様々な鱗模様を活かした光沢仕上げが人気。

    主な用途:鞄、財布、革小物、ベルト、靴など

  • サメ肌なのに表面はなめらか。


    表面のざらざらした鱗を取り除いて使うため、表面は意外になめらかです。非常に丈夫で、独特の深い筋模様が網目状に走るのが特徴。主な原皮産地は東南アジアと気仙沼市です。

    主な用途:財布、革小物、ベルト、靴など

  • 羽毛の抜き痕が独特の表情に。


    羽毛を抜いた痕が「クイルマーク」と呼ばれる立体的なシボとなり、独特の表情を形成します。なお、足の皮はオーストレッグと呼ばれます。


    主な用途:鞄、財布、革小物、ベルト、靴など

※写真は全て鞣した革になります。