職人の手仕事によって、革製品をつくる土屋鞄。分野は同じでなくとも、ものをつくることや製品に対する想いに対して共感することに、日々たくさん出会います。ものづくりにまつわる日本各地の出来事や、古くから伝わる日本の美意識、お話をうかがってみたいと心惹かれる方についてなど。今日のコラムでは、土屋鞄のスタッフが共感し、多くの方と共有したい話題についてお届けします。

今日のコラム/菅原工芸硝子

「柔らかいガラス」の感触を、自分の手で楽しめる体験教室へ。


FRIDAY, 25 JULY, 2014

ガラス製品は、どのようにつくられているかご存じでしょうか。ガラスは最初に高温の状態にして、冷めないうちに形を仕上げていきます。今回は、そんな制作の様子を体験できる、菅原工芸硝子が開催しているガラス制作体験教室の様子をご紹介します。自分の手で、素材の感触を知ることができる貴重な機会。休日のお出かけ先としても、おすすめです。

菅原工芸硝子の、ものづくりに関するそのほかの記事はこちら >> 「ものづくりを訪ねる。素材を楽しむひと。」

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ガラス制作体験は、実際にガラス職人の方が働く、工房の一角で行われます。建物内の階段を上り、大きな炉がある2階へ。炉が放つ熱が、階段途中からわっと押し寄せ、圧倒されます。
今回体験するのは「のばしコース」。約1,200度のガラスを金属のヘラで伸ばし、形を整えながら、皿や花器などをつくります。形や色は、いくつかの見本のなかからつくりたいものを選択。この日は、長さ約38cmの皿と直径約23cmの鉢をつくることに。作業は、ガラス職人の方と一緒に行います。職人の方による説明とヘラの動かし方の練習を経て、いざ本番。炉から熱々のタネが取り出され、目の前の鉄板へ。タネが置かれた瞬間の熱風が、想像以上に熱い。まるで、顔にハロゲンヒーターを当てているような状態です。ひるむうちに、ガラスはどんどん硬化。「硬くなってきた」という感覚が、手に伝わります。職人の方はさすが手際がよく、きれいな形に。難しい動きをしているわけではないのに、思った通りに形が整わない自分とかなり差を感じます。
そしてあっという間に、作業は終了。ガラスに触っていた時間は、およそ1~2分。最初は赤々としていたガラスも、温度が下がり透明に。このあと約500度の徐冷炉(徐々に温度を下げるための炉)に入れ、約2時間半かけてゆっくり冷まし、完成です。

今日のコラム/菅原工芸硝子


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今回作業を手伝ってくださったのは、ガラス職人歴25年の猪野さん。体験で楽しんでいただきたいのは、「ガラスの柔らかさと現場の熱さ」という。
「この体験はあっという間に終わってしまうんですが、ガラスの柔らかさを感じていただけます。こういったガラスの様子は、ふだんはなかなか体験できないと思いますよ。あとは、この工房やガラスの熱も楽しんでもらいたいですね」

一度体験すると、次はもっとうまくつくりたいという想いがふくらみ、何度も参加する方も多いとのこと。
「何回もいらして、家族分つくっている方もいますね。月に2回いらっしゃる方もいるかな。あと、お子さんの参加も多いですよ。特に夏休みは。たいていのお子さんは、熱さにびっくりして怖がってますけどね」

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どうやってこんなに複雑な形や色づけができるのか、どうしてこんなにきれいに仕上げられるのか。体験したあとは、実際に店頭に並んでいる製品を見てあれこれ想像してしまいました。
ガラス製品がどのようにつくられているのか、知識として理解していても、実際にものづくりの現場を目の当たりにしたり、素材に触れる機会はなかなかありません。「ガラスが柔らかい」とはどのような感触なのか、どういうところでつくられているのか。自身で体験することで、ものづくりへの新たな発見や見方が広がるかもしれません。

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【工房と同じ敷地内にある、スガハラファクトリーショップにて】 徐冷に時間がかかるため、作品の受け取りは作業から約3時間後。この間にファクトリーショップでの買い物や、スガハラの器で料理が楽しめる併設のカフェで時間を過ごすのもおすすめです。なお、作品は発送での受け取りも可能。


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ガラス制作体験教室に関する詳細情報・お問い合わせはこちらへ。(ガラス制作体験教室への参加は、受講料が必要です)

菅原工芸硝子
千葉県山武郡九十九里町藤下797
TEL:0475-76-3551
http://www.sugahara.com/



掲載:2014年7月25日

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