開発秘話

STORY
Switleは広島県にお住まいの川本栄一さんが自宅で手作りしたオリジナルのプロダクトが原型となり商品化いたしました。

スイトル、「売れる素質」を持つ商品づくり

広島県は福山の発明家と称する人物の商品デモを見て、とにかく「驚いた」の一言に尽きた。
カーペットにべっとりとこびりついたソースも、インスタントラーメンにふやけたドッグフードを混ぜた固形物も、ものの見事に瞬時にきれいに吸い取ってしまった。ニオイも。
これが”スイトル”との初めての出会い。2016年9月初旬のこと。
商品が売れるかどうか、ヒットするかしないか。マーケティングの専門家は、コンセプトは、市場性・市場の規模は、競合相手はと(無益な)議論を重ねるが、最も大切にすべきことはその商品に出会った時の「直感」でありその「第一印象」である。
出会いでヒットの予感を持っていることが、ヒットするための絶対条件なのです。
商品がヒットする要素はその商品に内在しており、ヒットする商品は元々「売れる素質」を持っています。
スティープ・ジョブスも言う。「どんなマーケティングでも、駄作をヒットさせることはできない」と。



スイトル、世界特許「アクアサイクロン技術」の誕生

スイトル、世界特許「アクアサイクロン技術」の誕生
川本栄一さん。一見何の変哲もないどこにでもいそうなおじさんだが、とにかく手を動かすモノづくりが大好きな人。竹トンボを作ればその飛行時間はギネス挑戦を勧められるほどの出来栄え。クルマのエンジンを分解して、再び組みなおして動かすことなど苦も無くやってしまう。74歳の現在も、手先の器用さを生かした陶芸・絵画・庭造りにと、忙しく走り回っている。
この川本さんが20数年近くもの間、取り組んできたのが「アクアサイクロン」技術搭載の湿式洗浄吸引アタッチメント。「水の力で、掃除する」、掃除の新しいライフスタイルを提案する商品、”スイトル”誕生の契機となる特許技術です。開発の動機となったのは、ご両親の介護で苦労され、手を汚さずに手早く排泄物の処理ができないかという思いでした。



スイトル、絶妙の「水と空気のコントロール」

最大の技術的な課題は、吸引した汚水が掃除機内部に浸入するのをいかにして防ぐか。
浸入経路はファンの隙間。外壁との間に隙間がなければ、ファンは固定されて回転できない。隙間を完全にふさぐことなく浸入を防止することはなかなかの難題でした。
汚水が掃除機の内部にまで達すると、汚れ・悪臭・さび・カビそして吸引効率の低下などさまざまな症状を引き起こし、製品の性能劣化・寿命低下などの原因となる。
水フィルター掃除機そのものは海外では半世紀にわたる歴史を有し市場も定着しているが、この課題は現在に至っても解決されていない。川本さんの表現によれば、回転するファンの隙間から「シミシミ」「ちょろちょろ」と浸入する汚水を完全にシャットアウトすることはできなかった。そのため、海外の水フィルター掃除機では吸引力を下げるか、汚水と電源ファンモーターとの間の距離をとる必要があり、どうしても機器そのものの大型化が避けられない。
この課題を川本さんが開発した液体分離機(ターボファンユニット)が解決した。これで水と空気を分離し、汚水はタンクに溜め、空気のみを掃除機内部に通す。さらに回転体の外周にリブを付け、外気導入口から空気を取り込み吸引とは逆方向の風を起こす、空気で壁(エアシール)をつくりしみ上がる水滴を押し戻す工夫など、先行技術にとらわれない独自の発想が独創的なアイデアを生み出したものといえる。



スイトル、究極のアナログ技術

川本さんは技術系の学歴もエンジニアとしての経験もなく、前職は食品メ―カーの営業マン。アイデアがひらめいたら、プリンの空きケースや水道管のパイプなどまず身の回りの材料を集めてすべて手作りで試作品を作る。繰り返し繰り返し実験を重ね、材料を削ったり、テープで補正したり、効果を検証する。設計図はおろか、簡単なスケッチらしきものすらない。プロジェクトのメンバーはこの手作りの試作機をもとにあとは川本さんの経験と勘、そして手ざわりの感触に基づく口頭での説明を聞いて理解していく。言葉は悪いが、工作の世界。このカラクリが、仕掛けが凄い。そこで川本さんについたあだ名が、平成の”平賀源内”。

AI、Iotを駆使したデジタル全盛の時代に、アナログによるモノづくり。
アナログならではの微妙な感覚、感触による絶妙の「水と空気のコントロール」で実現した「固液分離」。成熟・飽和化した掃除機市場に新たな市場を創造する水洗い洗浄機”スイトル”の誕生です。

2017年12月、川本栄一氏は日本の産業界で新しい産業やビジネスモデル、将来を支える新技術、世界に通じる新しい価値を作り上げた独創的な人材の一人として「日本イノベーター大賞・優秀賞」を授与される。

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【写真:竹井俊晴】

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