真珠の価格と品質について

店長井口が徹底解説する、真珠の選び方
花珠真珠の価格と品質評価

良い買い物をするためには、まず真珠の品質を理解することが必要です。真珠は特に品質を見極めるが難しい宝石です。しかし、価格を評価を行う際には「品質」を検査し「価格」を算出するように、真珠製品をお買い求め頂く際にはお客様自身も、ある程度、真珠の品質をご理解頂く必要がございます。
当店では「販売のための売り文句」ではなく「真珠の知識」を最重要視し、お客様に「正しい知識」をご提供する事を心がけています。こちらのページでは少しでもお客様に「正しい品質・価格評価」をご理解頂けるよう、真珠の品質の良し悪しを比較写真を用いて解説しています。

真珠の価格は品質をじっくりと検査することにより、正確に価格の評価を行います。真珠の品質とは、珠のキズ・シワ、形、巻き、テリ、連相、表面のお色、干渉色が主な評価項目となり、これら全ての項目を考慮し、一つの価格を算出致します。そのため、同一価格の商品であっても、一方はテリに優れた珠、もう一方はキズ・シワに優れた珠のように特徴の違いが生まれます。お客様にとって、どの品質項目が優れた珠をお求め頂きたいかという点を絞り込む事が、商品選びでは大切です。

花珠真珠の品質と価格

自然キズの評価

真珠の成長に伴い出来る、通称「エクボ」と呼ばれるものや、珠の染み抜き・調色の程度によって出来る加工キズの具合を検査します。自然キズが無く、加工もおとなしい珠になるにつれ価格の評価も高くなります。

形の評価

アコヤ真珠ではバロックの形からパーフェクトラウンド(真円)まで様々な形が御座います。パーフェクトラウンドのように、真円に近ければ近いほど、評価は高くなります。花珠真珠やオーロラ花珠真珠は、当社の品質検査ではセミラウンドからが合格基準となっております。
花珠真珠鑑別書などはすべてラウンド系という評価がされますが、商品の形が当社の判断で少しでも変形と判断した場合には各商品ページに細かく記載致しております。 例外として、無核真珠のケシは不形成であっても希少性から価値が高いとされています。

巻きの評価

巻きとは

一般のお客様にとって最も見極めるのが難しい点が「巻き」です。直接的に分かる指標は無く、多くの経験が無ければ見る事が出来ない要素です。一般の小売店や卸業者でも、「真珠層の巻き方」を見極める目を持った人は非常に少ないと言えます。真珠のプロだけが見ることの出来る最も繊細な検査です。

「巻き」とは真珠層を指します。真珠は、「核」と呼ばれる貝片に真珠層が何千層にも巻きつくことで形成され、その層の質や厚みが品質に大きな影響を与えます。


厚みよりも巻きの「質」が重要。
必ずしも「厚みが厚い=良い珠」とは限りません。

巻きに関する誤解の一つに「厚み」があります。厚みは確かに重要な要素の一つですが、"厚ければ良い珠"というのは大きな誤解の一つです。
どれほど厚い巻きがあろうと、その巻き自体が質の高いものでなければ、珠は綺麗な色・テリを出しません。対照的に、巻きが薄くとも、緻密で透明感のある巻きであれば、珠には綺麗な色・テリがみられます。つまり、実際に重要な要素は巻きの厚さでは無く、どのように真珠層が形成されているかという「巻き方」が重要になります。 鑑別書上に記載されている「巻き厚値」が高ければ高い程、巻きの良い珠だと思われがちですが、巻きの厚さはあっても、テリが弱い珠というものは価格面の評価も低く、質の良い真珠層で形成されいる且つテリの強い珠になるほど価格評価も高くなります。


巻きのイメージ

A:最も優れた巻き。綺麗な真珠層が緻密に巻かれている状態。テリが強く、鮮やかな干渉色を発色します。

B:品質が高いとされる巻き。真珠層の質が良く、しっかりと真珠層が何千層も巻かれている。テリ感があり、干渉色もご覧頂けます。

C:真珠層自体に透明度が無く、高い品質とは言えない巻きです。僅かなテリ感と干渉色を感じられる程度。

D:真珠核が大きく偏ってしまっている状態の巻き。左右の色とテリ感にばらつきが生まれ、珠質は良い場合でも、高い評価とはなりません。

テリと干渉色の評価

テリと干渉色の構造

真珠の輝きに影響する最も重要な要素となるものが「テリ」です。テリと巻きについては大変深く関係しており、質の良い真珠層で形成された巻きの良い珠には珠の中心部に丸くグリーンが見られその周りにピンクが見られます。この現象を干渉現象と呼び、光の透過や屈折によって御覧いただけるお色を干渉色と呼びます。
 干渉色の評価では上記の干渉色の見え方が最も高い評価とされます。その次にグリーン・ピンク片方のお色しか見られない単色での干渉色が評価され、干渉色の見えない珠の中心部が白い珠は評価が低くなります。濃くはっきりとピンクとグリーンが見えるものほど評価の高い珠となります。


テリがある珠、テリの無い珠の比較

光が反射し、ピンクとグリーンの強い干渉色がご覧頂けるのが左側写真の高品質な珠。一方、ぼんやりとしたテリ感と白に近い表面色の右側のお写真は、通常品質となります。

緻密で美しい真珠層を持つ珠の場合には、真珠層に屈折した光が強く反射し、強いテリと干渉色となります。しかしながら、真珠層自体の品質が良く無い場合には、光の反射は鈍くなり、テリや干渉色は薄くなります。

色の評価

実体色とも言われる真珠表面のお色です。花珠真珠ではホワイト、ホワイトピンク色から黄色味が挿しているものまで御座います。鑑別書上では黄色味が挿している商品であってもホワイト色との記載となっており、鑑別書上での実体色の比較は難しくなっております。

当社では例え鑑別書上で実体色ホワイト系となっている商品であっても、当社の検査にて黄色味が挿している珠にはホワイトクリーム系との記載となっております。表面色の評価としては透明感のあるホワイト色が最も高い評価となり、黄色味が挿しているお色の珠ほど価格評価の低いお品となります。また、一部アコヤ真珠の無調色ナチュラルゴールドなど、黄色味が非常に濃いゴールド色の珠になれば高い評価の珠となります。

連相の評価

連相とは上記に記載した真珠の品質要素を考慮し、出来る限り一本のネックレスにした際に、同じ品質の珠にてバランスを整える作業を示します。真珠は個々が異なる環境で成長するため、全てのネックレスを同品質の珠で組み上げることは不可能です。

そこで重要なのが、連相技術です。同じネックレス用の素材の珠を使用し組み上げても、出来栄えは組み上げる人の技術により様々です。当社では大卸として培った独自の連相技術によって、他社様には決して真似をすることの出来ない技術に自信を持っております。この技術を用いて組み上げたネックレスに対しても再度、出来栄えを検査し連相評価を行います。