品種名 |
特長・来歴・育成経過等 |
キャベツ
滋賀交配
さざなみ甘藍 |
7月播種で10〜11月収穫を目的として滋賀県農業試験場で育成された一代交配種である。交配親は川崎早生とサクセッションである
生育は極めて旺盛で、葉色は濃く、草姿はやや立性で、葉縁はやや波を打つ。耐暑性は強く、栽培は容易
球は腰高の扁円球で、播種後100日で1.5kg〜2.0kg前後になり、圃場での玉割れは少なく、出荷時の荷傷みも少ない品質のよい市場性の高い品種である
耐病性、特に黒腐れ病に強く、春蒔栽培においても軟腐病や菌核病による腐敗はほとんど見られない。しかし平坦部での夏穫りでは葉肉がかたくなる傾向がある。中山間地における春蒔夏どり品種としても有望 |
ダイコン
山田ねずみ大根 |
近畿地方には広く白上り群という品種群が分布している。毛茸が少なく、尻がつまって抽根し粗根が少ないなど北支系大根の特徴を強く持った品種群である。山田大根はその白上り京大根に分類されている
白首で根長25cm余りとやや短い。根部は純白で肌美しく、肉質はよくしまって特に柔らかい。葉柄も白色で食用に供することができる
この系統はバイラス(ウイルス病)に弱いので、無理な早まきは避けたい |
ダイコン
伊吹大根 |
坂田郡伊吹町大久保附近で古くより栽培されていた。このダイコンは峠(トウゲ)ダイコン、マムシダイコン、ネズミダイコン等と呼ばれている。『和漢三戈図会』(1713年)には「江洲ノ膽吹(イブキ)相洲ノ鎌倉共ニ鼠大根ヲ出ス形短而尾有味甚辛ク……」とあり、また『本草図譜』(1821)には「葉はダイコンに似て痩せ根も又細くして長さ一尺余上細く下太く根の先を切たる如くなることマムシの尾に似たり唯細き根を垂ること鼠の尾に似たりこれ全てダイコンの類にしてニンジンの類にあらず時珍ニンジンの条に入るは誤なるべし本朝食鑑に鼠大根という者あり短かく円く豊肥して其尾細く長し故に名く其味極めて美なりといへり」と書かれ図は三色刷りで印刷されている
また、後年の出版書ではこのダイコンから草津の山田、伏見の桃山、紀州の和歌山ダイコンなどが生れているが、当時種子は門外不出であったと思われることから、各地に分布したのは何者かが持ち去ったものと思われる |
カブ
日野菜かぶ |
原産地は滋賀県蒲生郡日野町といわれ、蒲生郡と、隣接の甲賀郡で多く作られていたが、現在では県外の生産量も多い
『日野町誌』によれば「日野菜は原と蒲生家の音羽城の附近、爺父渓(やぶそ)と称する地点の野生種にして葉及び根は紫紅色を帯べる蕪菁の一種なり 蒲生貞秀入道智閑、曽て爺父渓に在る観音堂に参詣せし時、見馴れぬ菜のあるを見て之を採り来り、試みに漬物となさしめしにその色澤桜花の如く艶美にて風味亦佳良なりしかば、野生しある地点を開墾し観音堂の僧に命じて栽培せしめたる菜を以て漬物とし之に一首の歌を添えて飛鳥井大納言雅親郷に贈れり。“ちぎりおきてけふはうれしく出づる日野菜とあかつきを恨みわびけんと”
更に之を後柏原天皇(104代、1501〜1526年)に献じ奉り喜ばせ給ひ、其の桜花に似たりとして桜漬と題された」とあり、『本草綱目啓蒙』(1802年)に「一種のあかかぶ一名あかな一名むらさきな一名日野菜一名近江なあり その葉油菜に似て紫色根長さ五六寸にして圓ならず色紫赤用てくきづちとなす江州日野の名産なり 他に移し栽ればその色変す」とありその後『證類本草引日華本草』『続江戸砂子』にも出てくる
本種は他県には分布せず本県のみに現存している
カブには珍しい長根で、径約3cmで長さ20〜30cmになる。抽根部があざやかな紫紅色、下部が白色で、その色の対比が非常に美しい。もっぱら漬物に加工され、独特の香りがあり、賞味されている
葉は立性でわずかに欠刻があり、紫紅色をおびている。保水力のある排水のよい土層の深いところが適している
本種は、滋賀県農業試験場と地元日野町の篤農家の協力の下、滋賀県種苗生産販売協同組合が系統の選抜をやり直し、往時の純系に近づけたものである
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カブ
北之庄かぶ |
豊臣秀次ゆかりの滋賀県近江八幡市の八幡山附近で古くから栽培されていた色カブの選抜種。日野菜かぶの変異種であると思われる
草姿は立性で径約3〜4cmで長さ12cmで中長型円筒形。抽根部があざやかな紫紅色、茎はやや紫色を帯び葉は欠刻があり無毛。尻づまりよく下部にふくらみがある
肉質は緻密で、幾分辛味と酸味があり、塩漬、粕漬、麹漬、酢漬などの漬物用として美味
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カブ
矢島かぶ |
永禄年間、織田信長が江州に兵を進めた際、現在の滋賀県守山市矢島町において寺院を焼き、境内で僧侶を殺した。後日その地にカブを蒔いたところ濃紫色の色彩のよいものができたといわれている。このカブの種子の出所も不明であるが、近江カブラと聖護院カブラの交雑種と考えられる
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カブ
ゆるぎかぶ
(万木かぶ、萬木かぶ) |
古くから蛭口カブラが西庄で栽培されていて、その後近江カブラか聖護院カブラのどちらかが導入され、それらの自然交雑によってできたものと考えられる。明治の初年万木の人、水口藤助氏が特に改良に意を用いて系統の選抜と採種に努められた結果優秀な形質になり当時藤助カブラと呼んでいた。万木を中心に普及し。青果、漬物として市場に出荷されるようになり明治中期に主産地である滋賀県安曇川町西万木にちなんで万木カブと命名された
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カブ
近江万木かぶ |
万木カブの産地において、根こぶ病の被害が年々増加し栽培上の問題となっていたため、滋賀県農業試験場では昭和56年秋に同湖西分場で選抜した万木カブの優良母本58個体を国の野菜・茶業試験場で鉢上げし、57年4〜5月に病気に抵抗性のあるカブ4品種と交配してF1種子を得た。その後、在来種との戻し交配をはじめ、現地の汚染圃場での抵抗性検定をはじめ、病土挿入法により幼病時の抵抗性検定を繰り返した。また、実用形質については、草姿をはじめ根形、根色、肉質について調査し、当初の育種目標に近く特性の優れた系統について種苗登録を出願し、平成5年3月10日付で品種登録(登録品種名:湖西1号)された
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カブ
琵琶湖紅かぶ |
滋賀県特産のゆるぎかぶからの変異株と思われる。茎は緑色、根部は美しい鮮紅色で中身にも赤色が入る。直径8〜10cmの中かぶ。肉質は緻密で品質がよく、糠漬にすると独特の風味がある。浅漬にも適する
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