真言宗
お数珠の持ち方と
選び方-お数珠の豆知識

お数珠は、お通夜、お葬式、法事、お墓参りの時に手にする
最も身近な仏具でございます。

常にお数珠を持って仏様・ご先祖様に手を合わせれば、人間が持つ108個の煩悩が消滅し、有難い功徳を得られるといわれています。お数珠は合掌する手に掛け、仏様・ご先祖様と心と心を通い合わせる大切な法具で、日本人にとって忘れてはならない必需品でございます。日本の仏教には様々な宗派があり、それそれ異なるご本尊や教えがあり、お数珠も宗派によって違いがあります。ご自身の宗派がある場合は、ご先祖さまから受け継がれた宗派の信仰を尊重し、ご自身の宗派の「本式数珠」を持たれる方が多くいらっしゃいます。

真言宗のお数珠とは

真言宗のお数珠は、真言宗のお客様だけがお使いいただける、正式なお数珠でございます。男性用数珠と女性用数珠がございます。真言宗のお数珠は、主玉が108個あり、男性用、女性用共に同じ形で、大きさだけが異なります。

真言宗では、他の宗派に比べ、特にお数珠を重要視しております。例えば、108の玉数は、金剛界の百八尊を差し、親玉は大日如来の智慧を表し、それを取り囲む天玉(四天)は、宇宙を表現した曼荼羅の四方四仏(弥陀・室生・あしゅく・釈迦)、あるいは、普賢菩薩・観音菩薩・文殊菩薩・弥勒菩薩の四菩薩をさす、という解釈がございます。

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真言宗のお数珠の名称と形

一般的に使用される真言宗のお数珠の形は、主玉108個からなる二重タイプでございます。主玉が108個、親玉が2個、四天玉が4個に、浄名玉が1個、弟子玉(記子)が20個、露玉が4個に梵天房が4個ついています。
親玉から7つ目と、21個目に四天玉があります。長い一連の数珠を二重にして使用する形状なので、振分(ふりわけ)数珠とも呼ばれることもございます。

真言宗のお数珠の名称と形
親玉 大日如来の智慧を表します。
主玉(108個) 金剛界の百八尊を差します。
天玉 宇宙を表現した曼荼羅の四方四仏(弥陀・室生・あしゅく・釈迦)、あるいは、普賢菩薩・観音菩薩・文殊菩薩・弥勒菩薩の四菩薩をさします。

真言宗の数珠の持ち方・使い方・作法

真言宗(密教)では、数珠をすり鳴らして音をたてます。昔、鳥羽僧正が修法の終わりを知らせる為に合図として音をたてたことが始まりのようでございます。数珠を「する」ことは、108の煩悩をすり砕き、悟りえた無上の境地を、清浄な慈悲と智慧で磨きだすことだと言われています。それを心がけるようにと、『金剛瑜伽念珠教』に説かれています。

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数珠を両手の中指にかけます。

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そのまま手を合わせて合掌します。

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自分の為の行の時は、房を手のひらの内側に入れます。

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そのまま房を包むようにして合掌します。

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数珠を持つときは左手で、親玉を上にし、二重にしてかけ、

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房を握るようにして持ちます。

※ただし、真言宗では、流派やお師匠様によって教え方が異なるようでございます。ご自身の流派に沿ってお使いいただければと思います。

真言宗のお数珠の選び方

お数珠はお客様のお好みでご自由にお選びいただけます。お数珠には沢山の種類がありますが、素材・ご予算・色・玉サイズなどからご自由にお選び頂けます。

一般的に、男性の方は「尺二サイズ」、女性の方は「8寸サイズ」がおすすめでございます。女性の方で、8寸サイズの玉が小さいと感じられる方は、「尺寸サイズ」をおすすめしております。また、四国八十八カ所のお遍路に行かれる方の中には、女性の方でも男性用の「尺二サイズ」をお持ちになり、首から掛けてご使用いただく方もいらっしゃいます。

「これいいな。」と思ったお数珠や「この素材が気になる・・・」というお客様の直感を大切にお選びされることをおすすめしております。お数珠は何度も買い替えるものではなく、一度買えば、房や中糸を修理することで、何十年ももちます。気に入ったお数珠をお選び頂き、永く大切にご愛用頂くことが良いと考えております。

真言宗のお数珠の素材

真言宗のお数珠の素材には、天然木を使用した木製のお数珠と、艶やかな輝きが美しい天然石を使用したお数珠があります。

天然木・木製素材の真言宗のお数珠

木製素材は、使えば使うほどに玉の表面に艶が出来たり、趣のある色合いに変わったり、素材の風合いの移り変わりをお楽しみいただくことが出来ます。主な素材としては、黒檀(こくたん)、紫檀(したん)、柘植(つげ)、正梅(しょううめ)、屋久杉(やくすぎ)、菩提樹(ぼだいじゅ)などがあります。香木には、白檀があり、香りには心身をリラックスさせる効果があると言われています。木製素材のお数珠の中でも有名なのは、菩提樹でございます。お釈迦様が菩提樹の木の下で悟りを開かれたことから、有名になりました。その為、菩提樹の数珠は他の素材に比べ尊ばれ、経典にも「無量の福、最勝の益」を得ると説かれています。菩提樹の種類としましては、星月菩提樹(せいげつぼだいじゅ)、天竺菩提樹(てんじくぼだいじゅ)などの種類がございます。

天然石・貴石素材の真言宗のお数珠

天然石素材のお数珠は、艶やかな表面の輝きと、様々な色合いの素材が魅力的でございます。天然石には、それぞれの石の持つ効力・意味があり、意味合いからお数珠を探される方も数多くいらっしゃいます。男性には、仕事運や勝負運アップで有名な虎目石・青虎目石が人気の素材で、女性には、女性らしい色合いのローズクォーツや紫水晶などが人気の素材でございます。その他にも、本水晶・オニキスは、定番素材として、男性、女性共に人気がございます。

天然木と天然石が入った真言宗のお数珠

お数珠に使用されている素材が、全て天然木、全て天然石のものもございますが、天然木と天然石の両方が入ったお数珠もございます。どちらの素材の良い部分を併せ持ており、また、天然石がアクセントとなり、大変人気がございます。

真言宗のお数珠の品質

お数珠の品質は、「素材の品質」、「加工の品質」、「仕立ての品質」により異なります。この3つの品質が全て揃ったとき、とても素晴らしいお数珠になります。「素材の品質」は、素材の特性により異なりますので、全て同じ品質でというわけにはいきません。色の均一さ、その素材のランク・稀少性、美しさにより変わってきます。「加工の品質」は、通し穴加工と研磨加工です。通し穴は、素材の真ん中に真っ直ぐに通っており、通した糸が切れにくい仕上げになっていることなどが品質の良い加工です。さらに、研磨技術が優れており、美しい磨き加工で有名な、山梨県甲府で磨き上げられた玉は、海外加工のものとは違い、本当に美しい光沢と輝きがございます。「仕立の品質」は、数珠の本場、京都で認められた職人が作る本物の京念珠であることかどうかで左右されます。

当店のお数珠は本物の「京念珠」でございます。仕立ての丁寧さ、中糸の切れにくさ、なによりもお数珠の作りが海外製品のものや、京念珠ではないものと全く違う美しさがございます。その為、品質の高いお数珠になってきますと、価格も上がってまいります。

真言宗のお数珠の値段

お数珠のお値段は、3,000円台のお数珠から40万円を超える最高級数珠まで、豊富にございます。お値段が高ければ良い数珠というのではなく、基本的にお数珠のお値段は、素材の稀少性により変わります。お客様のご予算の中から、お気に召していただいたお数珠をお選び頂ければと思います。

真言宗のお数珠の手入れ・保管

お数珠の素材が汚れたり、くすんできたな、と感じられましたら、眼鏡ふきなどの柔らかい布を使って優しく吹いてください。菊梵天房のお数珠をお持ちの方で、万が一、房に癖がついてしまいましたら、お鍋にお湯を沸かし、湯気が出てきたらその蒸気にあて、丸く形を整えるように房を撫でていただくと綺麗に戻ります。

お数珠をお持ち歩き頂くときは、素材に傷がつかないように、お数珠袋に入れて頂くことをおすすめしております。ただし、お数珠をお数珠袋に入れたまま保管いたしますと、 房に癖がつきやすくなります。お数珠をご自宅で保管される際には、専用の箱に入れ、形を綺麗に整えた状態で保管して頂くか、お数珠掛けにかけていただくことをおすすめします。

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細かい毛玉からなる、菊梵天房

真言宗のお数珠の修理・メンテナンス

お数珠も長年ご愛用頂きますと、大切にお使い頂いても、お数珠の「中糸」と「房」は痛んでしまいます。「お数珠が切れると縁起が悪い。」とよくおっしゃられますが、そんなことはございません。

大切な数珠を修理して、再びご愛用頂くことはとても素晴らしいことでございます。お修理の際に、房の色を変更し、以前とは違った雰囲気を楽しまれるお客様もいらっしゃいます。お手元で眠っている大切な数珠をぜひお修理にて甦らせてあげて下さい。お数珠のお修理に関しましては、お電話・メールにて、お気軽にご相談下さい。

真言宗について

本山 高野山金剛峯寺(和歌山県)
開祖 空海(弘法大師)
本尊 大日如来(※本尊はどの仏像でもよいとされます)
経典 大日経 金剛頂経
念仏 南無大師遍照金剛
高野山金剛峰寺(本堂)

高野山金剛峰寺(本堂)

高野山金剛峰寺(多宝塔)

高野山金剛峰寺(多宝塔)

空海(弘法大師)

空海(弘法大師)

真言宗系の宗派

高野山真言宗、真言宗智山派、真言宗豊山派、真言宗醍醐派、東寺真言宗、真言宗泉湧寺派、真言宗御室派、真言宗山階派、真言宗大覚寺派、真言宗善通寺派、信貴山真言宗、真言宗中山寺派、真言三宝宗、真言宗須磨寺派、新義真言宗(狭義)、真言宗室生寺派、など

由来

真言宗は、空海(弘法大師)によって平安時代の初めに開かれた、日本の仏教宗派の一つでございます。桓武天皇の時代、遣唐使に従って唐に渡り、密教の唯一の正統な後継者となった空海は、唐から新しい考えの仏教を学び、日本にもち帰りました。唐の青龍寺で恵果から学んだ密教を基盤とし、日本的な仏教に改編し、日本で初めて独立の一宗として真言宗を開きました。

開祖・空海について

平安時代初期の僧で、讃岐の国(香川県)の豪族のご子息で、弘法大師の名で知られる真言宗の開祖でございます。日本天台宗の開祖、最澄(伝教大師)と共に入唐し、帰朝後、宮中真言院や後七日御修法の説営によって朝廷と深く結びつき、真言宗を定着させました。能書家としても知られ、嵯峨天皇・橘逸勢と共に三筆のひとりに数えられています。

教えの特徴

真言宗の教えは大日如来によって説かれ、宗祖・弘法大師が、密教の修行の体験をして広めたものでございます。その教えの中心となるのが、即身成仏。今現在生きているこの身のまま成仏できるというものでございます。

経典

根本経典は『大日経』『金剛頂経』などでございます。『大日経』は密教の儀式作法など修行の実践法を説く『胎蔵界法』(慈悲の体現)と呼ばれ、これに対し、『金剛頂経』は密教の理論面を説く『金剛界法』(智慧の体現)と呼ばれています。

宗派の流れ

真言宗は日本の仏教宗派の中では分派の多いもののひとつでございます。13世紀末に古義真言宗と新義真言宗に別れ、さらにそこから多種多様な教義ができて、現在に至っているのが特徴です。

古義派は、大日如来の本地法身説(真言宗最高仏である大日如来が自ら説法するとする)を説いています。高野山真言宗、東寺真言宗、真言宗善通寺派、真言宗醍醐派、真言宗御室派、真言宗山階派、真言宗泉涌寺派、真言宗大覚寺派の八宗でございます。

新義派は、覚鑁(興教大師)を派祖とし、大日如来の加持身説(大日如来が説法のため加持身となって教えを説くとする)を説いています。真言宗豊山派と真言宗智山派の二派に分かれ、それぞれの宗派は更に分派してそれぞれに本山を持ちます。分派を重ねて七十余流とも、百数十派ともいわれています。

主な寺院

・古儀派
和歌山県:高野山金剛峯寺
京都府:教王護国寺(東寺)・醍醐寺・仁和寺〈御室派〉・勧修寺〈山階派〉・泉涌寺・大覚寺(香川県)・善通寺

・新義派
奈良県:長谷寺〈豊山派〉・室生寺〈豊山派から派生した室生寺派の大本山〉
神奈川県:金剛山金乗院平間寺〈川崎大師〉
千葉県:成田山新勝寺
東京都:高尾山薬王寺院の智山派三大本山

四国八十八箇所お遍路

現代でも有名な巡礼は、江戸時代頃から西国三十三所観音霊場、熊野詣、善光寺参りなど庶民の間に巡礼が流行するようになり、そのうちの一つが、四国八十八箇所でございます。空海(弘法大師)が42歳の時に人々の災難を除くために開いた霊場だと言われています。

四国にある88の寺院の総称で、全国の霊場の中でも特に有名でございます。八十八箇所、あるいはお四国さんとも呼ばれています。他の巡礼地と異なり、四国八十八箇所を巡ることを特に遍路といい、地元の人々は巡礼者をお遍路さんと呼んでいます。

どこから始めてもよいお遍路ですが、一番札所から番号順に巡る「順打ち」が一般的な巡礼方法です。これに対し、八十八番のお寺から巡礼することを「逆打ち」といい、順打ち3回分のご利益があると言われています。さらに、4年に一度の閏年(うるうどし)に、「逆打ち」巡礼することで、弘法大師とさらにご縁を結べるといわれております。

真言宗のお数珠のよくあるご質問

真言宗の本式数珠を持って、違う宗派の方の葬儀・法事で使用してもよいのですか?
真言宗のお数珠を持って、真言宗のお数珠とは違う宗派の方の法事や葬儀に参列して頂いて問題ございません。ただ、気にされる方は、お身内関係でお数珠を持つときは「真言宗の本式数珠」を使い、それ以外では「略式数珠」をというように、「本式数珠」と「略式数珠」の両方をお持ちいただいて使い分ける方も多くいらっしゃいます。
「真言宗の本式数珠」にしようか、「略式数珠」にしようか悩んでします。どちらがよいですか?
ご自身のお家で、必ず真言宗の本式数珠を持たなければならない、という決まりがなければ、特に真言宗のお数珠にこだわる必要がないかもしれませんが、折角、ご自身の宗派があるのであれば、ご先祖さまから受け継がれた宗派の信仰を尊重し、「本式数珠」を持たれる方が良いのではないかと思います。
男性用の尺二サイズ、女性用の8寸サイズってどの部分の長さですか?

真言宗のお数珠の長さの測り方は、お数珠を1重の状態に広げていただき、ピンッと張った状態で、親玉から親玉までの長さを測ります。男性用の尺二サイズは、正式には「一尺二寸」という大きさになり、略して「尺二サイズ」と読んでしまので、長さは約36cmとなります。女性用の8寸サイズは、約24cmとなります。
ただし、男性用数珠、女性用数珠、共に主玉は108玉ございますので、その時々の加工の状況で、ひと玉の大きさがコンマ何ミリかの誤差でも、108玉つなげますと、輪の長さは数センチ変わってまいりますので、あくまでも目安として頂ければと思います。

真言宗の本式数珠 男性用数珠と女性用数珠の大きさの比較

測る位置は、親玉の通し穴から、向かい側の親玉の通し穴までとなります。

真言宗の女性用数珠の8寸サイズは、玉が小さいと感じるのですが、女性用でそれより大きなサイズはありませんか?

ございます。一般的には、8寸サイズ(主玉約5ミリ)が女性用のお数珠の主流ですが、大きめの玉のものをお探しの方、輪の大きさが広いものをお探しの方には、尺寸サイズ(主玉約6ミリ)をおすすめしております。気になる素材で尺寸サイズのご用意がない場合、お作りできる素材もございますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

8寸と尺寸の比較

左側:尺寸サイズ(主玉約6mm) 
右側:8寸サイズ(主玉約5ミリ)

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