GFX 50R インタビュー

レンジファインダースタイル誕生の理由 「GFX 50R」と「GFX 50S」の違い センサー開発について
中判センサーの優位性 レンズ・周辺機器の展開 将来の展望

センサー開発について

センサープロセッサー
マップカメラ 今回の50Rは50Sをより外に持ち出しやすく組み替えたというコンセプトだと伺いました。開発の際にはセンサーを新規で開発するといった考えはあったのでしょうか?
上野氏 基本的にはありませんでした。その最大の理由はやはりコストです。
50S はレンズ性能・画質含めて「やっぱりフルサイズと比べてもワンランク違うね」と絶賛していただいて、多くのプロ写真家の方に買っていただいている状況です。それでも、GFX はけっしてプロ写真家のためだけのカメラではないし、アマチュア写真家の方にも使っていただきたい、この画質の素晴らしさをもっと多くの人に体感していただきたい、という思いがありました。

正直、50Sでも十分安くした自信はあったのですが、ボディ1台+ 単焦点レンズ1本で80〜90万円くらいになると躊躇してしまう、といったお声もいただいておりましたので、それならデジタル中判をフィルム中判と価格的にもサイズ的にも同じ存在になれる様にしようと。雲の上の存在だとか、自分には関係ないカメラだからというのではなく、ちょっと考えてみようかなと思っていただける値段にしよう、という目標を立てたんです。そのためには同じデバイスを使う、ということが前提となります。そこに新たなデバイスや仕組みを入れてしまうと、開発費というのが上乗せされてしまいます。そうでなくてもボディは新規開発ですから。そこにデバイスやソフトウェアまで新規にしてしまうと結局形の違う50Sが出来上がり、より多くの人に中判画質を味わっていただきたいという、目標が達成できなくなってしまいます。

50Sでいただいていたユーザーの方からのご不満点もいくつかあり、そこを進化させるというのももちろん大切です。でも、50Sの性能は用途を考えると十分なものを持っています。であれば、今の性能のまま、より多くの方に中判画質を体感していただくということを優先させたい、というのが私たちの思いでした。実際価格はGFレンズ1本分くらい下がっています。他社さんのフルサイズミラーレスも高画素タイプですと結構高額ですよね。そう考えるとプラス10万円くらいで中判の世界が待っているというのは十分リーズナブルな値段なのかなと。そういうこともあり、センサーやプロセッサーなどは変えませんでした。
マップカメラ 中判カメラならではのボケ感や階調性能を体感していただきたいということで、中判へのハードルを下げたのがこの50Rということでしょうか。
上野氏 そうです。狙ったのは中判画質の普及です。
マップカメラ Photokina2018 で100メガピクセル(1億画素)のセンサーGFX100メガコンセプトを発表していますが、それ以外にも新規でセンサーの開発はされているのでしょうか?
上野氏 フォトキナ前に発表したX-T3も新センサーでしたから、それと1億画素センサーの2つが新規開発です。特に1億画素はボディ内手振れ補正機構も同時開発ですから本当に大変です。APS-Cやフルサイズ以上に高い精度が必要とされますし、手振れ補正ユニットの重量もかつてないものになりますから。
マップカメラ 広く中判カメラを普及させたい50Rと、よりプロユースに対するアタックをする100メガ機の両輪で今回は50R を先行して発売開始ということでしょうか?
上野氏 そうですね。50R は新規デバイスを抑えたおかげで開発期間の短縮化が出来ました。100メガ機は先ほども言ったように新しい挑戦が非常に多いので、じっくりやらせていただきます。
マップカメラ 実際に購入する人の立場からすると、新製品の発表と同時にさらにその次のモデルの影が見えてくるとすぐ飛びつくのは…というためらいみたいなものが出てくるかもしれません。今後1億画素のモデルがどういったスケジュール感で製品化されるのか、また現在の5000万画素の中判カメラがしっかりと市場のシェアを掴んでいける自信のようなものはお持ちなのでしょうか?
上野氏 正直なところ100メガ機はある意味別物だと捉えており、こちらと5000 万画素機を比較する人はあまりいないのではないかと考えています。
Photokina で「1億画素のモデルは1万ドル以上にはなるだろう」とアナウンスしているのですが、それすら現時点での目標価格でしかなく、今後の開発次第ではどうなるかわかりません。デバイスや機能を考えると1万ドルを大きく下回るということはかなり難しいということだけがはっきりしているわけです。1万ドルというと日本円に換算して100 万円は超えてきますから、最低でも50Rの倍くらいの値段にはなります。画素数も倍ですから非常にわかりやすいですけどね。50S を買おうとしている方が50R と迷うのはわかりますが、50Sと100メガ機にもそれなりの値段差が出てくると考えられますので、それらが競合することは少ないだろうと考えています。100メガ機は本当に1 億画素という高解像が必要な方が真剣にお考えになるのではないかな、という気がしています。
普通に考えて、1億画素が趣味の写真などに必要なのかというと、必要ではないですよね? もちろん買ってはいただきたいですが。まぁその話をしてしまうと、GFX 自体どうなの? X でいいじゃん!ということになりかねませんけど。
なので、我々としては3機種のGFXの序列を全く決めていません。値段が違うのでヒエラルキーはどうしてもできてしまいますが、あまりにも3機種のキャラクターが違うので、我々の意識としては完全に並列なんです。だから50R に対して100メガ機が全てにおいて優れているのか?といえばそうではないです。まだ100メガ機の重量は決まっていませんが、大きく重くなるならカメラバッグの収納性含めて50R の方がいいな、という方もいらっしゃるでしょうし、ファイルが大きすぎてHD がすぐいっぱいになってしまうのが嫌だという方もいらっしゃるでしょう。そう考えると、自分の用途に合った最適な道具は何か?という観点で選んでいただければ、どれを選択してもご満足いただけるのがGFXシリーズだと思います。
マップカメラ 仮に100万円だとしてスタジオフォトで使うような他社製品と比較したら相当ユーザーからの反応がありそうです。産業用としての方向性はお考えでしょうか?
上野氏 今のところ考えておりません。もちろん100メガ機を手にして、それを何かしらの産業用として使われる方はいらっしゃると思います。例えば「フォトグラフィーとは別の研究用途でこの解像度が必要なんだ」という方や、「絵画のアーカイブ用途でどうしても超高解像度で複写をしたい」という使われ方などですね。ただ、それ専用にカスタマイズしたシステムを作るかといえば、今のところその予定はございません。
Photokina2018発表 GFX100MPhotokina2018 GFX50Sと50R



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