2022 春分の養生法

春分[しゅんぶん]の養生法

 二十四節気「春分(しゅんぶん)」ですね。お彼岸の中日で「暑さ寒さも彼岸まで」で、そろそろ暖かい春が訪れる頃でしょうか。
  暦便覧には「天の中を行て昼夜等分の時也」 とあり、また「春分者、陰陽相半也。故晝夜均而寒暑平」(春分なるもの、陰陽半々なり。ゆえに昼夜均しくして寒暖平なり)と言われ、太陽黄経は0度で太陽は真東から上り真西に沈み、夜と昼の長さが同じになります。
 国立天文台の予想では、東京の日の出は5:44、日の入りは17:43とされています。17日には早くも福岡で桜の開花宣言が出されましたね。これから少しずつ東から北に桜が開花していきますね。

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 最近忙しくてなかなか庭園に行く時間もないのですが、今日(3/21)は私の好きな京都の風景をお届けします。賀茂川の出雲路橋という橋から一つ上の北大路の橋を見た風景ですが、このような風景を見るとなんとなく癒されます。皆さんの地元でもこの風景を見ると癒されるなぁという場所があるでしょうね。ぜひ癒されに出かけてくださいね。

 両岸にある桜並み木の桜はまだ咲いていませんが、もう木全体がピンク色になるほど蕾が膨らんでいました。
 もう一つ京都と言えば良く登場する祇園の白川沿いの桜並木ですが、こちらも今日(3/21)はまだ少し早いようで数か所だけ咲いている木もありました。右側の写真の一番右に鷺が店の中をのぞいているのが偶然映っています。なにか美味しい物を見つけたのでしょうか?野生の動物たちも美味しい物には目が無いようです!

 さて、春分と言えば、昼と夜の長さが同じになり、陰陽が調和されるときですね。

 この時期は特に人体も陰陽のバランスの取れた状態を保つようにしなければいけません。陰陽バランスの取れた状態を「中庸」と言い、中医学では「陰平陽秘」と言います。精神・飲食・日常生活において、体内のバランスとともに、カラダと外側の自然界とも調和させて陰平陽秘を保ち体調不良が起こらないように努めることが養生の基本となります。
 日々、リラックスして愉しい・楽観的・気持ち良いなどの精神状態で過ごすように心掛けましょう。私は毎朝「今日も、美味しく、楽しく、気持ち良く」をスローガンに過ごすようにしています。
 陰平陽秘を保つためには、適切な運動をして、だいたい毎日同じぐらいの時間に睡眠・起床して、適切な食事を摂ります。適切な食事とは、自分の今のカラダの「寒熱虚実」の状態を知り、そのアンバランスを立て直すものを中心に、旬のものを美味しいいただきます。そして魚介類などの食事を摂る時はねぎ、生姜、酒などの温熱性の食材や調味料を合わせて脾胃の冷え避けたり、ニラやニンニク、エビ、羊肉などの陽を扶ける料理には、鶏卵ややま芋、百合根など陰を補う食材も併せて、陰陽を相互に補完するようにします。

この季節に現れやすい体質は、
1.陰虚(いんきょ)
2.陽虚(ようきょ)
3.血瘀(けつお)
4.湿痰(しつたん)です。

 

1.陰虚

 体形が細い筋肉質でやつれ気味、手足が熱く、イライラし、睡眠が少なく、便秘か乾燥便、尿の色が濃く、春、夏は弱く、冷たい飲食物を多く好むタイプ。


 陰虚の養生法は、短気でイライラしやすく怒りっぽく、のぼせやすいので、精神修養を高めて出来るだけ冷静沈着でいるよう心掛け、賭け事や勝負事は控え、性生活も控えめにしましょう。
 春夏には休暇を取り海や山などに行って自然の気を体内に取り込みましょう。遠くに行けない場合は近くの公園や川、湖などでも良いので、出来るだけ自然の気を取り入れるようにしましょう。
 家や職場では、出来ることなら静かな環境で南向きの部屋でゆったり過ごすことを心掛けましょう。
 飲食は陰を補うあっさりしたもの、カシューナッツ、ゴマ、粳米、桑の実、バナナ、ぶどう、はちみつ、牡蠣、しじみ、ホタテ、豚肉、白きくらげ、枸杞の実、松の実、百合根、緑豆などを食べ、刺激物、激辛、飲酒は少なめにしましょう。
 過激な運動は避け、肝経、腎経に効くヨガ、ストレッチ、太極拳を取り入れゆったりした腹式呼吸で気を静めるようにします。このような養生法が効果的です。


2.陽虚

 色白でややポッチャリ、顔も色つやがなく青白く、髪も細く張りがない、手足が冷たく、尿は清長(透明でチョロチョロと長く止まらない)、便は乾燥便も下痢便もどちらもある、温かい物を好み風呂も長風呂なのに出るとすぐ冷える。


 陽虚の養生法は、不安感や恐怖心、悲しんだりすることが多いので、心が温まる音楽やテレビ、映画を観るように心掛け、気の合う友達との飲食や会話を楽しみ、春夏には紫外線には気をつけながら日向ぼっこをしてカラダを温める。
 運動はウォーキング、ヨガ、太極拳や体調が良ければ少し負荷をかけ筋トレなども取り入れ体力アップを図る。
 飲食は、陽を扶け補腎するからし菜、にら、クルミ、ウイキョウ、クローブ、山椒、肉桂(シナモン)、エビ、うなぎ、鹿肉、羊肉、クリ、黒ゴマ、黒豆、黒きくらげ、白きくらげ、枸杞の実、マイカイ花、紅花、なつめ、高麗人参、などがオススメ。


3.血瘀

 顔色が暗く、唇や舌も暗紫色、舌下静脈が太くクッキリ。筋肉質だが肩こりなど固太り体質で皮膚も乾燥気味、目の下のクマや生理痛もひどく、すぐ青アザが出来る。

 

 血瘀の養生法は、鬱々とした気鬱タイプが多いので楽観的な気持ちを保ち楽しいことをする事。楽しい気持ちは気血を巡らせてくれる。
 運動は、激しすぎて心(心臓)に負担がかかり過ぎることは控え、社交ダンスやテニスなど気の合う仲間と楽しめるスポーツを。 一人で行う場合は太極拳やヨガや見晴らしの良い丘や公園でのウォーキングなど。
 飲食の養生法は、瘀血を取り除き血の巡りを良くする物。アブラナ、くわい、ゴボウ、しょうが、玉ねぎ、らっきょう、ニンニク、ナス、ニラ、バジル、蓮の葉、クルミ、黒豆、ゴマ、なた豆、バナナ、マンゴー、ウコン、山椒、肉桂(シナモン)、黒砂糖、ゴマ油、酢、酒、バラ(マイカイ花)、紅花、黒きくらげ、はと麦、かぼちゃの種、山査子など。 血虚タイプの血瘀は、サツマイモ、にんじん、ほうれん草、レンコン、クルミ、ゴマ、大豆、シイタケ、冬虫夏草、海苔、さくらんぼ、なし、ぶどう、霊芝、豆腐、黒砂糖、はちみつ、酒、アワビ、牡蠣、イカ、サワラ、タイ、タコ、タチウオ、ナマコ、ホタテ、カツオ、ウナギ、牛肉、鹿肉、鶏卵、鶏肉、羊肉、豚肉、牛・豚・鶏の肝、豚足、金針菜、菊花、松の実、黒きくらげ、枸杞の実、なつめ、竜眼なども一緒に。


4.湿痰

 太っていて脂肪が多くブヨブヨ、特にお腹、お尻、二の腕、太ももなど。甘い物が好き。疲れやすく横になりたがる。お腹が弱く、下痢気味。肉もタルミやすく、気持ちも下がり気味。


 湿痰の養生法は、湿気に要注意。梅雨や秋の長雨など湿度が多い時など、暗くて寒い、湿っぽい環境で過ごすと体調を壊す。
 あまり回りのことに気を使い過ぎたり他人を気にし過ぎないようにし、また物事にこだわり過ぎたり神経質になり過ぎない。クヨクヨしたりせず、だいたいでヨシとする「まっ、いいか」の精神。
 運動療法は、脂肪を燃焼させる有酸素運動を継続すること。出来れば少しずつスクワットやプランクなど筋トレ系も取り入れ筋力アップを!
 飲食の養生は、脾虚(お腹が弱い)なのでまず甘い物と食べ過ぎを控えてお腹を丈夫にすること。お腹が丈夫になると水の巡りが良くなり、むくみやポチャポチャ、関節炎などが改善されます。それらが続けられるようになったらさらに甘い物は避け、穀類、豆類、イモ類など食べ物の持つ自然な甘味を摂ります。春菊、しょうが、ねぎ、セリ、セロリ、だいこん、糸瓜、西瓜、冬瓜、苦瓜、小豆、大豆、クルミ、黒豆、陳皮、サケ、ニシン、キス、コイ、鴨肉、牛肉、豚肉、なつめ、はと麦、緑豆、ジャスミン、かぼちゃの種などがオススメの食材です。

 中医学的な体質は、生まれつきの体質もあれば、今さっきからという超短期なカラダの状態も体質と言います。カラダは内因・外因・不内外因などにより常にさまざまに変化しています。体質とは今のカラダがどのような状態に傾いていっているかのバロメーター。今は特に痛い、ツライ、しんどいといった症状が無くても、その体質がどんどん進んでいくといずれ何かしらの症状が現れるようになります。今の自分の体質傾向を知り、どんな体質でもその体質傾向を改善するよう自分に合った養生を続ければ、必ず生活の質を高め、健やかに過ごせるようになります。
黄色信号のうちに頑張って赤信号になる前に青信号に戻りましょう!


京都伝統中医学研究所の"春分におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

1.「陰虚」におすすめ薬膳茶&食材
薬膳茶では、「カラダ潤し茶」、「理気明目茶」、「五望茶」、「ダイエット応援爽快茶」など
薬膳食材では、「白きくらげ」、「枸杞の実」、「松の実」、「百合根」、「緑豆」など 

 

2.「陽虚」におすすめ薬膳茶&食材
薬膳茶では、「からだを温める黒のお茶」、「そろそろダイエット茶」、「なつめと生姜のチャイ」、「健やか茶」、「なつめ薬膳茶」、「全部食べる薬膳茶 桂棗黒豆茶など
薬膳食材では、「黒きくらげ」、「白きくらげ」、「枸杞の実」、「マイカイ花」、「紅花」、「新疆なつめ」、「枸杞の実」など 

 

3.「血瘀」におすすめ薬膳茶&食材
薬膳茶では、「気血巡茶」、「五望茶」、「崑崙雪菊茶」、「黒薔薇茶」、「ジャスミン茶」、「全部食べる薬膳茶 意棗紅豆茶」、「全部食べる薬膳茶 桂棗黒豆茶」など
薬膳食材では、「マイカイ花」、「紅花」、「黒きくらげ」、「はと麦」、「かぼちゃの種」、「山査子」など

 

4.「湿痰」におすすめ薬膳茶&食材
薬膳茶では、「水巡茶」、「なつめ薬膳茶」、「ダイエット応援爽快茶」、「増血美肌茶」など
薬膳食材では、「新疆なつめ」、「はと麦」、「緑豆」、「ジャスミン」、「かぼちゃの種」、「全部食べる薬膳茶 意棗紅豆茶」など

 

5.漢方入浴剤でリラックスもおすすめです!

ほっこりポカポカ温まり乃湯」、「スッキリさっぱり乃湯」、どちらも和漢の香りで癒されます


 いよいよこれから夏至に向けて陽の気がどんどん多くなります。
春の気は「生」、夏の気は「長」、万物はどんどん生長を続けます。私たちもこの春夏の「気」に合わせて過ごすことが天人合一です。

 

中医学の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。
商品は下記ショップでお買い求めいただけます。
京都伝統中医学研究所 楽天市場店

https://www.rakuten.co.jp/iktcm/

 

 中医学は難しい理論などもありますが、それよりも実際に暮らしに活かせる養生法や薬膳など健康に生きる知恵が満載です。 
専門用語や四文字熟語などもたくさん出てきますが、出来るだけわかりやすくお伝えしますので、少しでも実際の暮らしに活かしていただき、皆さまがより穏やかに健やかに過ごしていただきたいと願っています。

 

 次回は、4月4日「清明」です。陽気が増え万物が清らかで生き生きとする季節になりますね♪ 
年度が替わり新しい生活が始まる方も多いです。新しい環境や生活にストレスも多いと思いますが出来るだけ穏やかに過ごすよう心掛けてください。

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