中医学的春の養生法
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[春は2月4日立春から雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨の最終日5月4日まで]
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春の養生は「風」と「肝」がポイント 2月4日の立春が過ぎ「春」を迎えると、自然界では「陽」の気が少しずつ多くなり、冬眠していた万物は活動を開始し、新しい芽が出て命が生まれる季節です。春の主気は「風」で、東から暖かい風が吹き山々を青く変えていきます。寒くて縮こまっていた冬から、うららかな春の訪れに心もウキウキしますが、まだまだ寒さが厳しい気候が続きます。季節の変わり目は油断をすると体調を崩しやすくなります。春は、環境の変化も多くストレスも溜まりやすい時期なので、心と体をしっかり養って春を元気に過ごしましょう。 五行では「木」に属し、気質は「曲直」と言って曲がりくねりながらも、根は地中を縦横無尽に広がり栄養を吸収し、幹は天に向かってどんどん成長し、枝葉は横に横に伸び広がる特質があります。 |
「春」も木の気質に属し万物が伸びやかに生まれ育つ季節で、新陳代謝も活発になり、体内の陽気も動き始めます。初春のころはカラダがこの変化ついていけず、頭がぼーっとしたり、だるさを感じたりしますが、無理をせず少しずつ体を動かすことが大切です。 |
ココロの養生 肝を養い伸びやかに |
肝の元気が足りないタイプ[肝血虚証] 疲労や睡眠不足、不規則な食事など冬の養生が足りないと蔵血作用が低下して肝血が不足し「肝血虚」体質になります。肝血虚になりさらに肝の機能が低下すると気が上昇しにくくなり、元気がない、やる気が出ないなど気鬱や不安、不眠、生理不順などの症状が現れます。 春は、年度末で環境が変わる季節でもあります。環境を変えるのが苦手な人も多いです。職場や学校など生活環境が変わり、なにかとストレスも多くなり五月病や登校拒否、うつ病なども起こりやすい季節です。
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■めまいや生理不順 |
■ドライアイやかすみ目
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エネルギーが上昇し過ぎのタイプ[肝鬱気滞証] 元気不足とは反対に、肝の気が上昇しすぎると、怒りっぽい、興奮しやすい、イライラするといった精神症状や、それに伴い頭痛、めまい、血圧の上昇といった症状が現れます。 春になると陽気が多くなり地面からメラメラと陽気が立ち昇るように、身体の中でも陽の気が多くなってきますが、その陽気がストレスやイライラや朝から晩まで怒ってばかりいると、どんどん体内でも陽の気が上に上昇し「肝陽上亢」と言う状態になります。こうなってくるとのぼせやほてりを感じ、肩が凝り、首が張り、目が充血し、鼻が詰まり、咽喉や口が乾き、口内炎や吹き出物などの症状が現れます。(陰虚火旺とも言います) このタイプは、上昇し過ぎてしまった気を下降させ、肝を冷ますことが必要です。“涼性”の食材、肝を鎮める“苦味”、上昇し過ぎないように収れんする“酸味”、また玫瑰花(マイカイ花)やジャスミン茶など発散作用のある花類や香りの良いお茶を楽しむのもおすすめです。 |
毎日ストレスフルな中で、みんな緊張して生活しているので五感も張り詰めた状態です。だから鈍ってしまいます。鈍るから感じないという悪循環。ストレスフルな毎日ですが、そのストレス源は家庭や職場など身近なところにあることが多く、なかなか簡単に取り除けるものではありません。出来るだけストレス源とまともにぶつからず、ストレスを溜めないよう、自分なりの上手な発散法を見つけましょう。 |
五感を喜ばせて、気を巡らせる |
怒りという感情が、肝に非常に悪影響を及ぼしますが、瞬間湯沸かし器などと評される激情家で、いきなりキレて急にカーッとなる人もかなり危ないですが、それよりも「自分がこうなったのは、あのせいだ(あの人のせいだ)」とか「自分ばっかり損な役回りだ」とか「あの人は絶対許せない」など沸々とした怒りというようなマイナスの感情を長く持ち続けるのも肝を徐々に蝕んでいきます。お釈迦さまも四苦八苦の元は「執着」と教えているように、負の執着心を捨ててこだわっているものを手放すことで抑鬱心が解き放たれ、鬱結していた気が巡りはじめるかもしれません。 そのための一つの方法が自分の「五感を喜ばす」ことだと思います。
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カラダの養生 「風邪(ふうじゃ)」を寄せつけない体質づくり
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もう一つの春の養生テーマは『養陽防風 』です。 春はよく風が吹くので「風邪(ふうじゃ)」による病気が起こりやすくなります。(いわゆる風邪(カゼ)のことは中医学では感冒と言います。) この季節のカラダの養生は、風邪(ふうじゃ)を発散することが大切です。陽の気が生まれる朝は、早めに起きて春の陽気を取り入れ、朝日をたっぷり浴びながらの太陽礼拝などがオススメです。衣服はあまりぴっちりした服などで締め付けないようにして、ゆったり服装がおすすめです。
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「衛気(えき)」を養って身体の抵抗力をアップ! |
■花粉症・予防のポイントと症状別セルフケア
■健康に良い環境は自分でつくる
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春の薬膳処方 肝の働きを調えてくれる「酸味」ですが、酸味は収斂・固渋といってカラダを引き締めて出過ぎる物を抑え、渋らせる作用があり、陽気の成長や発散を抑えてしまうので使い方に少し注意が必要です。若い人や健康な人、また高血圧や怒りやすい人は、酸味を摂る方が気の巡りを良くしますが、冷え症や虚弱体質の人は酸味はやや控え目にして、まだまだ寒い日も多いので、温性・辛味・甘味の食材や「気」を上昇・発散させる食材がおすすめです。
1.滋陰補血するには涼性、平性、温性、甘味、酸味、鹹味の食材
2.平肝作用は涼性、酸味の食材
3.風邪を追い出す食材
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美味しい食事を楽しんだり、友人や家族とおしゃべりをしたり、毎日を心地よく過ごしてココロを元気にすることも大切です。暮らしの環境は自分自身でつくっていけます。ストレスを溜めず、いきいきと元気な毎日を過ごすことを意識して心がけましょう。
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