2022立春の養生法

立春[りっしゅん]の養生法

 今年は2月4日から2月18日(雨水の前日)までの2週間が「立春」です。いよいよ春ですね。と言っても、すぐに麗らかなポカポカ陽気とはいきません。暦便覧には「春の気たつを以て也 」とあり、春の気が立つということで、これから春がはじまるという意味ですね。まだまだ寒い日もありますので冬の養生法も忘れずに!

 立春は二十四節気では一年の始まりになります。太陽黄経を24等分して315度になった瞬間が立春になるのですが、今年は2月4日5時51分に立春になります。今年の春節(旧暦正月)は2月1日でしたので、旧暦では2月1日から今年の壬寅歳が始まっていますが、立春と旧暦正月は必ず同じ日になるわけではありません。立春は太陽黄経上の太陽の動き(実際には地球の動き)を基準にして決まりますが、春節は地球の周りをまわる月を基準にして立春近くの新月の日になります。
今年のお正月に初詣に行けなかった人、安心して下さい!(笑)
まだまだこれからでも大丈夫!立春が過ぎてからでも時間を見つけて自分のパワースポットに出かけて今年の無病息災を祈り、「正気」を補充してきてください。

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 テレビなどで「暦の上では今日が春」などと言われ、「こんなに寒いのに春と言われても実感がわかないなぁ」と愚痴りたくなりますが、天地を覆い万物を支配する「」は、冬の主気「」から春に主気「」に少しずつ変わります。
 春の主気は「」、大切なことは変化の「兆し」を感じること。と『易経』は教えています。体感する現実はまだまだ寒い中にも、明らかに春の兆しが芽生えています。常日ごろから自分の五感を研ぎ澄まし、兆しを読み取ることが、古代より大変な時を生き抜く術かもしれません。


 暑さ寒さも彼岸までと言われるように、春分ごろまではまだまだ寒いので、中医学では「春捂秋凍」(しゅんごしゅうとう)を教えます。「」とは(口・耳・鼻・頭・体などを手や布などで)覆う、かぶせる、閉じ込めるという意味です。毎日ファッションメーカーから送られてくるSNSには、もう季節の先取りで春物の宣伝広告ですが、春になったからと言って「伊達の薄着」は禁物です。秋凍は、秋になったからと言って早くから厚着をしてはダメということで、どちらも季節の「」の変化に合わせて少しずつ調整していくのが養生の基本と言うことなのです。
 暖かい日もありますが三寒四温や寒の戻りで急に冷え込む日もあり、特に背中やお腹、足元は冷やさないよう注意し「上薄下厚」で下半身の保温が重要です。背骨の上を通る「督脈」という経絡は「陽脈の海」とも呼ばれ大椎至陽、命門など陽の気を調整するツボが多く集まるので背中も冷やさないようにしましょう。お腹の気海、関元や足元の三陰交、太谿などを保温することはすでに何度もお伝えしていますね。


 皮膚と肌肉の間隙に気血が巡る「腠理(そうり)」と呼ばれる門戸があり、そこにある衛気と言うバリアが外邪の侵入防いでいますが、気温が上がってくるとこの「腠理」が緩んで衛気バリアが薄くなり、大切な陽気が漏れ出たり風邪や寒邪などの外邪が侵入しやすくなります。『素問・陰陽応象大論』に「清陽は腠理を発す」や『金匱要略・臓腑経絡先後病脈証』に「腠は、三焦の元真を通会するところ、血気の注ぐところたり。理は、これ皮膚臓腑の紋理なり」とあります。少し寒いぐらいにして衣服で調整することで「腠理」を引き締めて漏れや侵入を防ぐことが出来ると考えるのです。


 衛気バリアとはつまり自己免疫力です。春は特に自己免疫力を高めておくことが大切です。コロナが流行する以前から春は感染症が流行しやすい季節と考えられています。今まさに日本でも新型コロナの第6波の感染が拡大しあっという間に新規感染者が10万人を越えました。3回目のワクチン接種も早めるように言われていますが、何よりも自分の免疫力を高めておくことが大切です。
 中医学では、免疫力は「正気」と捉えます。邪気がカラダに侵入ししないように衛気バリアを分厚くしておくことがまず第一。そして万一カラダに侵入したとしても体内で自分の正気と邪気が闘争して正気の方が強かったり多かったりすると邪気に打ち勝ちカラダから追い出すことが出来ると考えます。
 衛気バリアを分厚くして正気をたっぷり補充しておくには、きちんと気の旺盛な旬の新鮮な食べ物を食べて、しっかり睡眠をとり、何事もセカセカせずにゆったりペースにして、過労や心労を避け、穏やかな精神状態で過ごすように心掛けることです。

 新型コロナに感染すると匂いや味が鈍くなるそうですが、自分の体調に異変がないか?突然死と言われる心筋梗塞や脳梗塞なども事前に何らかのサインがあることが多いと言われます。子どももいつも喜んで食べている物を今日は残しているとか、得意な科目なのに成績が下がっていたり勉強や部活で思うような結果が出ていないなど、よく観察することでちょっとした行動から異変を感じ取ってあげられます。毎日乗る自動車もガタガタ異音がするなど、あとで大問題や大事件、大事故になることも必ずその前に「兆し」があるはずです。五感を研ぎ澄まし、この「兆し」を感じ取ることで大きな災いを避けることができるのです。食べ物なども、書いてある賞味期限だけ見て判断せずに、まず自分の目で見て異変や変色などがないか?叩いて変な音がしないか?匂いは大丈夫か?ちょっと指で触ったり押してみて異常がないか?そして舌先でちょっと舐めてみれば、身体に悪いものか悪くないものか判るはずです。怪しいものは食べない、野生の動物たちはみんなそうして食べ物を判断しています。

 そして、五感を研ぎ澄ますとともに、「五感を癒す」こともとても大切です。毎日忙しい生活の中で、またコロナ禍の中、みんな緊張して生活しているので五感も張り詰めた状態です。だから鈍ってしまいます。鈍るから感じないという悪いスパイラル。ストレスフルな毎日で、そのストレス源は家庭や職場など身近なところにあることが多く、なかなか簡単に取り除けるものではありません。それを防ぐには常に自分の「五感を癒す」ことを心掛けましょう! 1日24時間の間にどれだけ五感を癒せるか!?心地よく過ごせるよう工夫してください。皆さまがより健やかにお過ごし下さることをお祈りしています。 


心穏やかに過ごしましょう

 今年は、少しでも心穏やかになっていただけるように京都にある私の好きな庭園の写真をお届けしようと思い立ちました。
今回は当店の近くにある妙心寺の塔頭退蔵院の「陰の庭と陽の庭」に行ってみました。境内の池泉回遊式庭園「余香苑」を入ったすぐのところにあり真ん中の大きな枝垂桜を挟んで左側が白砂の陽の庭、右側が黒砂の陰の庭になっています。枝垂桜が満開の頃にはきっと見ごたえがあるでしょう。もうひとつ境内には枯山水庭園「元信の庭」もあります。行ったときは立春前の一番寒い時期でしたが、禅寺に似合うかのようにすべてが枯れた詫び寂びの風景に鹿威しが響いて心が落ち着きました。床の間には、国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」(模本)も掛けてあります。その前に座ってどうやって口のすぼんだ瓢箪でニュルニュルのナマズを捕るかしばらく禅問答をしてはいかがでしょう?

 早春の冷たい空気で腠理を引き締め、静寂な空間に響く水琴窟や鹿威しで耳を癒し、きれいに調えられた枯山水の庭で目を癒し、お香の香りで鼻を癒しましたが、口卑しい私は、昼食直後に行ったためナマズが描かれた瓢鮎菓子を食べ損ねたのが何よりも心残りでした。紅枝垂桜が満開の頃にリベンジしよう!皆さまも「陰陽のお庭」を見て少しでも心が穏やかになり、健やかにお過ごしいただければと思います。

満開の枝垂れ桜の写真です(絵葉書より)


京都伝統中医学研究所の"立春におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

1.「滋陰養血」の薬膳茶&食材  
陰を補い血を養うオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
 薬膳茶では、「なつめ薬膳茶」、「カラダ潤し茶」、「健やか茶」、「増血美肌茶」など
 薬膳食材では、「新彊なつめ」、「金針菜」、「竜眼」、「枸杞の実」、「松の実」、「マイカイ花」、「桂花」、「茉莉花」など 
 薬膳鍋セット「四物鍋スープ」、「手足冰凍鍋」、「冬の美肌薬膳鍋」は、薬膳食材もセットになってオススメ。


肝を過剰を調えるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
 薬膳茶では、「理気明目茶」、「そろそろダイエット茶」、「ジャスミン茶」、「なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」、「からだを温める黒のお茶」など
 薬膳食材では、免疫力を高めてくれる「黒きくらげ」、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「金針菜」、「紅花」、「マイカイ花」、「茉莉花」など

 

2.カゼにおすすめの薬膳茶&薬膳食材  
辛温解表…「薬膳火鍋」、「手足冰凍鍋」、「からだを温める黒のお茶」、「なつめと生姜のチャイ」、「黒薔薇茶」、「竜眼」、「マイカイ花」、「桂花」など
辛涼解表…「理気明目茶」、「五望茶」、「菊花」、「百合」など
どちらのカゼにもおすすめなのが、やはり「なつめ薬膳茶」です。弱った胃腸を調え、気血を補い、疲れた体を癒してくれます。

 

3.漢方入浴剤 
ヨモギがたっぷり入った「ポカポカあたため乃湯

ヨモギ、川芎、当帰、陳皮をブレンド。カラダの芯まで温まり、なかなか冷めにくい。ヨモギの香りが浴室に広がりとても癒されます。鼻や皮膚からもヨモギの成分が取り込まれ、とても心地良いバスタイムです。まだまだ寒い早春の養生にオススメです。

中医学の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。
商品は各ショップでお買い求めいただけます。
京都伝統中医学研究所 楽天市場店

https://www.rakuten.co.jp/iktcm/

 

 次回は、2月18日「雨水」。
空から降ってくるものが雪から雨に変わる頃。少し寒さが緩んでくる頃ですね。
まだまだ三寒四温で寒い日もありますから、春捂してまだまだ冬の養生もしながら自然界の気と調和してお過ごしくださいね♪

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