立春[りっしゅん]の養生法 今年は2月4日から2月18日(雨水の前日)までの2週間が「立春」です。いよいよ春ですね。と言っても、すぐに麗らかなポカポカ陽気とはいきません。暦便覧には「春の気たつを以て也 」とあり、春の気が立つということで、これから春がはじまるという意味ですね。まだまだ寒い日もありますので冬の養生法も忘れずに! 立春は二十四節気では一年の始まりになります。太陽黄経を24等分して315度になった瞬間が立春になるのですが、今年は2月4日5時51分に立春になります。今年の春節(旧暦正月)は2月1日でしたので、旧暦では2月1日から今年の壬寅歳が始まっていますが、立春と旧暦正月は必ず同じ日になるわけではありません。立春は太陽黄経上の太陽の動き(実際には地球の動き)を基準にして決まりますが、春節は地球の周りをまわる月を基準にして立春近くの新月の日になります。 |
テレビなどで「暦の上では今日が春」などと言われ、「こんなに寒いのに春と言われても実感がわかないなぁ」と愚痴りたくなりますが、天地を覆い万物を支配する「気」は、冬の主気「寒」から春に主気「風」に少しずつ変わります。
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皮膚と肌肉の間隙に気血が巡る「腠理(そうり)」と呼ばれる門戸があり、そこにある衛気と言うバリアが外邪の侵入防いでいますが、気温が上がってくるとこの「腠理」が緩んで衛気バリアが薄くなり、大切な陽気が漏れ出たり風邪や寒邪などの外邪が侵入しやすくなります。『素問・陰陽応象大論』に「清陽は腠理を発す」や『金匱要略・臓腑経絡先後病脈証』に「腠は、三焦の元真を通会するところ、血気の注ぐところたり。理は、これ皮膚臓腑の紋理なり」とあります。少し寒いぐらいにして衣服で調整することで「腠理」を引き締めて漏れや侵入を防ぐことが出来ると考えるのです。
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新型コロナに感染すると匂いや味が鈍くなるそうですが、自分の体調に異変がないか?突然死と言われる心筋梗塞や脳梗塞なども事前に何らかのサインがあることが多いと言われます。子どももいつも喜んで食べている物を今日は残しているとか、得意な科目なのに成績が下がっていたり勉強や部活で思うような結果が出ていないなど、よく観察することでちょっとした行動から異変を感じ取ってあげられます。毎日乗る自動車もガタガタ異音がするなど、あとで大問題や大事件、大事故になることも必ずその前に「兆し」があるはずです。五感を研ぎ澄まし、この「兆し」を感じ取ることで大きな災いを避けることができるのです。食べ物なども、書いてある賞味期限だけ見て判断せずに、まず自分の目で見て異変や変色などがないか?叩いて変な音がしないか?匂いは大丈夫か?ちょっと指で触ったり押してみて異常がないか?そして舌先でちょっと舐めてみれば、身体に悪いものか悪くないものか判るはずです。怪しいものは食べない、野生の動物たちはみんなそうして食べ物を判断しています。 そして、五感を研ぎ澄ますとともに、「五感を癒す」こともとても大切です。毎日忙しい生活の中で、またコロナ禍の中、みんな緊張して生活しているので五感も張り詰めた状態です。だから鈍ってしまいます。鈍るから感じないという悪いスパイラル。ストレスフルな毎日で、そのストレス源は家庭や職場など身近なところにあることが多く、なかなか簡単に取り除けるものではありません。それを防ぐには常に自分の「五感を癒す」ことを心掛けましょう! 1日24時間の間にどれだけ五感を癒せるか!?心地よく過ごせるよう工夫してください。皆さまがより健やかにお過ごし下さることをお祈りしています。 |
心穏やかに過ごしましょう |
今年は、少しでも心穏やかになっていただけるように京都にある私の好きな庭園の写真をお届けしようと思い立ちました。 |
早春の冷たい空気で腠理を引き締め、静寂な空間に響く水琴窟や鹿威しで耳を癒し、きれいに調えられた枯山水の庭で目を癒し、お香の香りで鼻を癒しましたが、口卑しい私は、昼食直後に行ったためナマズが描かれた瓢鮎菓子を食べ損ねたのが何よりも心残りでした。紅枝垂桜が満開の頃にリベンジしよう!皆さまも「陰陽のお庭」を見て少しでも心が穏やかになり、健やかにお過ごしいただければと思います。 |
満開の枝垂れ桜の写真です(絵葉書より) |
京都伝統中医学研究所の"立春におすすめの薬膳茶&薬膳食材" 1.「滋陰養血」の薬膳茶&食材
2.カゼにおすすめの薬膳茶&薬膳食材
3.漢方入浴剤 |
中医学の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
次回は、2月18日「雨水」。 |